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― 第四章・西陸行路 ―
第176話 蜂起・前編
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一夜が明けて、とある隊が“闇商人のアジト”を目指して宿営地から発った。
兵数は5千である。
更に一日が経ち、朝食を済ませたミーノン軍が、国境を越えた。
当然、[ゴッド・スレイヤーズ]も…。
正午を迎える頃に、彼らは、敵地の西端に在る“要塞”に到着しようとしていた。
この要塞は軽く1万人を収容できるらしいので、なかなかの大きさだ。
そこから、馬に乗った5人の男女が、こちらへと向かって来る。
男性3:女性2のようだが、誰も甲冑などを身に着けていない。
その者達とミーノン軍とが止まった。
双方の距離は150Mくらいである。
先頭にいる40代前半の男が、馬上より、
「某は要塞の最高指揮官である!」
「“ミーノンの国主様”に、お会いしたい!!」
「武器と防具を装備していないのは、敵意が無い証である!」
「どうか、要望を聞き入れたし!!」
このように告げたのであった。
ミーノン軍の本隊に囲まれるなか、下馬した5人が跪いている。
代表である男性が、
「この国の神々を倒すべく、傘下に加えていただきとうございます。」
そう述べた。
最高指揮官だという男の髪は、茶色で、短く刈っている。
眉と瞳もブラウンだ。
一方、馬に跨っている[武術マスター]が、
「ふぅむ……。」
「〝我が軍に取り込まれた後に、騒動を起こし、内側から崩す〟という罠の可能性もあるのぉ。」
このように指摘した。
「ご懸念なさるのは、ごもっともでございます。」
「そこで。」
「これから先は、我々が最前線に立ちましょう。」
「あと…、要塞を差し上げます。」
「信頼を得るために。」
男が提案したところ、
「…………。」
利通が暫し考え込んで、
「よかろう。」
「二時間後に、あの要塞に居る全ての兵を連れて合流せよ。」
「儂らは、この場で昼食に致す。」
そう下知したのである……。
ミーノン軍から二千人の“小隊”が要塞を任された。
これ以外は、[西陸第八神国]の王都へと歩を進めている。
その間に、西方領土の幾つかの砦や町から、兵たちが続々と馳せ参じた。
15日が過ぎ、もうじき都に着くあたりで、中央領と南方領からも兵士らが駆け付けた。
神々を見限り、武術マスターに忠誠を誓うためである。
西方や南方の領主たる神どもは、ミーノン軍に討ち取られたので、これらで生活している人々は割と自由が利くようになったらしい。
中央の神々は、王都に籠っているので、似たようなものだ。
しかし、北方と東方は、どちらも、領主である神が生き残っているので、兵や民衆は迂闊に動けずにいた。
そのような状況において、利通が、都の東西南北に設けられている門に、軍勢を振り分けている。
どの門であっても、危険な特攻役を、この国の兵士達が担当する事になったみたいだ。
各方面で敵味方が睨み合うなか、あの【武士】が、ミーノン軍の本陣に呼ばれていた。
彼は、捕虜になりかけた者らの代表である。
「――、という考えじゃ。」
「能うか?」
武術マスターに問われた相手が、
「必ずや成功させてみせます故、四日ほど猶予をくださいませ。」
と、答えるのだった―。
兵数は5千である。
更に一日が経ち、朝食を済ませたミーノン軍が、国境を越えた。
当然、[ゴッド・スレイヤーズ]も…。
正午を迎える頃に、彼らは、敵地の西端に在る“要塞”に到着しようとしていた。
この要塞は軽く1万人を収容できるらしいので、なかなかの大きさだ。
そこから、馬に乗った5人の男女が、こちらへと向かって来る。
男性3:女性2のようだが、誰も甲冑などを身に着けていない。
その者達とミーノン軍とが止まった。
双方の距離は150Mくらいである。
先頭にいる40代前半の男が、馬上より、
「某は要塞の最高指揮官である!」
「“ミーノンの国主様”に、お会いしたい!!」
「武器と防具を装備していないのは、敵意が無い証である!」
「どうか、要望を聞き入れたし!!」
このように告げたのであった。
ミーノン軍の本隊に囲まれるなか、下馬した5人が跪いている。
代表である男性が、
「この国の神々を倒すべく、傘下に加えていただきとうございます。」
そう述べた。
最高指揮官だという男の髪は、茶色で、短く刈っている。
眉と瞳もブラウンだ。
一方、馬に跨っている[武術マスター]が、
「ふぅむ……。」
「〝我が軍に取り込まれた後に、騒動を起こし、内側から崩す〟という罠の可能性もあるのぉ。」
このように指摘した。
「ご懸念なさるのは、ごもっともでございます。」
「そこで。」
「これから先は、我々が最前線に立ちましょう。」
「あと…、要塞を差し上げます。」
「信頼を得るために。」
男が提案したところ、
「…………。」
利通が暫し考え込んで、
「よかろう。」
「二時間後に、あの要塞に居る全ての兵を連れて合流せよ。」
「儂らは、この場で昼食に致す。」
そう下知したのである……。
ミーノン軍から二千人の“小隊”が要塞を任された。
これ以外は、[西陸第八神国]の王都へと歩を進めている。
その間に、西方領土の幾つかの砦や町から、兵たちが続々と馳せ参じた。
15日が過ぎ、もうじき都に着くあたりで、中央領と南方領からも兵士らが駆け付けた。
神々を見限り、武術マスターに忠誠を誓うためである。
西方や南方の領主たる神どもは、ミーノン軍に討ち取られたので、これらで生活している人々は割と自由が利くようになったらしい。
中央の神々は、王都に籠っているので、似たようなものだ。
しかし、北方と東方は、どちらも、領主である神が生き残っているので、兵や民衆は迂闊に動けずにいた。
そのような状況において、利通が、都の東西南北に設けられている門に、軍勢を振り分けている。
どの門であっても、危険な特攻役を、この国の兵士達が担当する事になったみたいだ。
各方面で敵味方が睨み合うなか、あの【武士】が、ミーノン軍の本陣に呼ばれていた。
彼は、捕虜になりかけた者らの代表である。
「――、という考えじゃ。」
「能うか?」
武術マスターに問われた相手が、
「必ずや成功させてみせます故、四日ほど猶予をくださいませ。」
と、答えるのだった―。
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