176 / 300
― 第四章・西陸行路 ―
第176話 蜂起・前編
しおりを挟む
一夜が明けて、とある隊が“闇商人のアジト”を目指して宿営地から発った。
兵数は5千である。
更に一日が経ち、朝食を済ませたミーノン軍が、国境を越えた。
当然、[ゴッド・スレイヤーズ]も…。
正午を迎える頃に、彼らは、敵地の西端に在る“要塞”に到着しようとしていた。
この要塞は軽く1万人を収容できるらしいので、なかなかの大きさだ。
そこから、馬に乗った5人の男女が、こちらへと向かって来る。
男性3:女性2のようだが、誰も甲冑などを身に着けていない。
その者達とミーノン軍とが止まった。
双方の距離は150Mくらいである。
先頭にいる40代前半の男が、馬上より、
「某は要塞の最高指揮官である!」
「“ミーノンの国主様”に、お会いしたい!!」
「武器と防具を装備していないのは、敵意が無い証である!」
「どうか、要望を聞き入れたし!!」
このように告げたのであった。
ミーノン軍の本隊に囲まれるなか、下馬した5人が跪いている。
代表である男性が、
「この国の神々を倒すべく、傘下に加えていただきとうございます。」
そう述べた。
最高指揮官だという男の髪は、茶色で、短く刈っている。
眉と瞳もブラウンだ。
一方、馬に跨っている[武術マスター]が、
「ふぅむ……。」
「〝我が軍に取り込まれた後に、騒動を起こし、内側から崩す〟という罠の可能性もあるのぉ。」
このように指摘した。
「ご懸念なさるのは、ごもっともでございます。」
「そこで。」
「これから先は、我々が最前線に立ちましょう。」
「あと…、要塞を差し上げます。」
「信頼を得るために。」
男が提案したところ、
「…………。」
利通が暫し考え込んで、
「よかろう。」
「二時間後に、あの要塞に居る全ての兵を連れて合流せよ。」
「儂らは、この場で昼食に致す。」
そう下知したのである……。
ミーノン軍から二千人の“小隊”が要塞を任された。
これ以外は、[西陸第八神国]の王都へと歩を進めている。
その間に、西方領土の幾つかの砦や町から、兵たちが続々と馳せ参じた。
15日が過ぎ、もうじき都に着くあたりで、中央領と南方領からも兵士らが駆け付けた。
神々を見限り、武術マスターに忠誠を誓うためである。
西方や南方の領主たる神どもは、ミーノン軍に討ち取られたので、これらで生活している人々は割と自由が利くようになったらしい。
中央の神々は、王都に籠っているので、似たようなものだ。
しかし、北方と東方は、どちらも、領主である神が生き残っているので、兵や民衆は迂闊に動けずにいた。
そのような状況において、利通が、都の東西南北に設けられている門に、軍勢を振り分けている。
どの門であっても、危険な特攻役を、この国の兵士達が担当する事になったみたいだ。
各方面で敵味方が睨み合うなか、あの【武士】が、ミーノン軍の本陣に呼ばれていた。
彼は、捕虜になりかけた者らの代表である。
「――、という考えじゃ。」
「能うか?」
武術マスターに問われた相手が、
「必ずや成功させてみせます故、四日ほど猶予をくださいませ。」
と、答えるのだった―。
兵数は5千である。
更に一日が経ち、朝食を済ませたミーノン軍が、国境を越えた。
当然、[ゴッド・スレイヤーズ]も…。
正午を迎える頃に、彼らは、敵地の西端に在る“要塞”に到着しようとしていた。
この要塞は軽く1万人を収容できるらしいので、なかなかの大きさだ。
そこから、馬に乗った5人の男女が、こちらへと向かって来る。
男性3:女性2のようだが、誰も甲冑などを身に着けていない。
その者達とミーノン軍とが止まった。
双方の距離は150Mくらいである。
先頭にいる40代前半の男が、馬上より、
「某は要塞の最高指揮官である!」
「“ミーノンの国主様”に、お会いしたい!!」
「武器と防具を装備していないのは、敵意が無い証である!」
「どうか、要望を聞き入れたし!!」
このように告げたのであった。
ミーノン軍の本隊に囲まれるなか、下馬した5人が跪いている。
代表である男性が、
「この国の神々を倒すべく、傘下に加えていただきとうございます。」
そう述べた。
最高指揮官だという男の髪は、茶色で、短く刈っている。
眉と瞳もブラウンだ。
一方、馬に跨っている[武術マスター]が、
「ふぅむ……。」
「〝我が軍に取り込まれた後に、騒動を起こし、内側から崩す〟という罠の可能性もあるのぉ。」
このように指摘した。
「ご懸念なさるのは、ごもっともでございます。」
「そこで。」
「これから先は、我々が最前線に立ちましょう。」
「あと…、要塞を差し上げます。」
「信頼を得るために。」
男が提案したところ、
「…………。」
利通が暫し考え込んで、
「よかろう。」
「二時間後に、あの要塞に居る全ての兵を連れて合流せよ。」
「儂らは、この場で昼食に致す。」
そう下知したのである……。
ミーノン軍から二千人の“小隊”が要塞を任された。
これ以外は、[西陸第八神国]の王都へと歩を進めている。
その間に、西方領土の幾つかの砦や町から、兵たちが続々と馳せ参じた。
15日が過ぎ、もうじき都に着くあたりで、中央領と南方領からも兵士らが駆け付けた。
神々を見限り、武術マスターに忠誠を誓うためである。
西方や南方の領主たる神どもは、ミーノン軍に討ち取られたので、これらで生活している人々は割と自由が利くようになったらしい。
中央の神々は、王都に籠っているので、似たようなものだ。
しかし、北方と東方は、どちらも、領主である神が生き残っているので、兵や民衆は迂闊に動けずにいた。
そのような状況において、利通が、都の東西南北に設けられている門に、軍勢を振り分けている。
どの門であっても、危険な特攻役を、この国の兵士達が担当する事になったみたいだ。
各方面で敵味方が睨み合うなか、あの【武士】が、ミーノン軍の本陣に呼ばれていた。
彼は、捕虜になりかけた者らの代表である。
「――、という考えじゃ。」
「能うか?」
武術マスターに問われた相手が、
「必ずや成功させてみせます故、四日ほど猶予をくださいませ。」
と、答えるのだった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる