GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第173話 メタモルフォーゼ

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[ゴッド・スレイヤーズ]の活躍で、二柱の神々が続けざまに倒された事によって、敵軍の中央隊が崩れ出した。

戦意を喪失してしまい、武器を捨て、両手を上げ、態度で降伏を示す者らが割といたこともあって。

そんな状況で、紫蓮しれんのサーヴァント達に新たな変化が現れたのである。

まずは、来夢らいむを確認しよう。

身長は165㎝ぐらいで、容姿は17歳前後と、ここら辺に関しては、今までのままだ。

ただし、全体的に赤色になっていた。

本人曰く、

「パラライズスライム、に、なった。」
「マヒ、使える。」

との事だ。

権蔵ごんぞうは、背丈が5㎝ほど伸びて、175㎝になっている。

それ以外は変わりない。

新羅しんらは、全長が倍の10Mとなった。

「またデカくなったな。」
「これだと部屋に入りきれねぇだろう。」

紫蓮が声を掛けたところ、

「案ずるでない。」
「とある能力を収得した故に。」

このように返した黒龍が、体を〝カッ!〟と光らせる。

次の瞬間、背丈が2Mくらいの人型・・になった。

首の正面や、胸元に腹部と、股間は、赤色だ。

他は黒い鱗に覆われている。

顔や尻尾も龍のままであった。

それは、人や、人などの、[ドラゴニュート]と呼ばれている。

“リザードマン”あたりも、これに該当するそうだ。

「私も、似たようなことが出来るようになりましたよ。」

そう伝えて来た美麗みれいが、白虎から人の姿・・・になった。

身長は180㎝といったとこだろう。

ホワイトの髪は、腰あたりまで伸びている。

頭には耳が生えていた。

また、手から肘にかけて、足から膝にかけて、尾は、耳と同じように白虎としての特徴を残している。

これら以外は、人間の女性にしか見えない。

「いや、取り敢えず、お前ら元に戻れよ。」
「どっちも“素っ裸”じゃねぇか。」

紫蓮が顔をそむけたら、

吾輩わがはいは問題ございませんぞ。」

そのように告げた夜摩やまもまた、人型になった。

背丈は190㎝前後である。

ショートの髪は黒く、頭の左右に角が生えていた。

夜摩の場合は、装備品が伸縮自在なので、よく分からなかったが、美麗と同じような現象が起きているみたいだ。

つまり、手から肘にかけて、足から膝にかけて、尻尾が、黒牛のままなのである。

この他は、人間の男性であった。

ちなみに、美麗は自身の名に負けぬ“美女”で、夜摩は意外と“美男びなん”のほうだ。

「本来の姿になっても構わんが…、あとで、我や美麗に、人型に合う衣類などを購入してもらえんか?」

新羅の頼みを、

「分かった。」
「約束しよう。」

視線をズラしたままで紫蓮が承諾したところ、

あるじよ、吾輩も新調していただきたい。」

夜摩が便乗したのである。

「ああ、まとめて買い揃えてやるよ。」

紫蓮の言葉を受けて、快くなり、元の形態になる三体だった……。


ミーノン軍の本隊およそ10万の所に、人間はもとより、誰かしらのサーヴァントであろう“ハーピー”や“セイレーン”などが、四十数ほど訪れ、跪いている。

どうやら“伝令係”のようだ。

各自の報告に、

「ふむ。」
「そうか。」

馬上で頷いた[武術マスター]こと“利通としみち”が、

「にしても。」
「“成れの果て”だけでなく、神々をも討つとは…。」
「ランダ―たちも、やりおるのぉう。」

嬉しそうに目を細めた。

「いかん。」
いくさが終わるまでは喜ぶべきではなかったな。」
「気を引き締め直さんと……。」

独り呟いて真顔になった国主が、周囲に控えている百名の[護衛隊]に、

「このまま敵が退けば、何も言う事はないが…。」
「念の為に警戒を強めよ。」

と、告げたのであった―。
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