GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第172話 逆撃・其之捌

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先に仕掛けたのは、[ゴッド・スレイヤーズ]のサーヴァントらのなかでも、空中戦に対応できる者たちだった。

黒龍の新羅しんらを始めとした面子が、スキルを放つ。

「!!」

これに気付いた女神が、急上昇して回避する。

地面から15Mぐらいの所で止まった神に、翼や羽を有しているサーヴァント達が迫っていく。

「ふんッ。」
「身の程をわきまえなさい。」

女神が、改めて、左のてのひらで直径3Mの魔法陣を展開した。

「むッ。」
「いかん!」
「散れぇいッ!!」

黒龍が告げた事によって、誰もが体を反転させて逃れようとする。

そこに、魔法陣と同じ大きさの【光線ビーム】が落とされた。

地上では、紫蓮しれんなどの空を飛べない人々やサーヴァントなどが、敵兵と交戦している。

この近くに、

ズドォオ――ンッ!!!!

と、ビームが直撃し、周囲に突風が起きた。

そんな光景に、黒肌かつコーンロウヘアーの【戦士】たるフゥーリカンが、

「おいおい。」
「噂には聞いちゃいたが…、味方ごと殺すのかよ。」
「確かに、ってぇのは、血も涙もねぇみたいだな!」

怒りを露わにする。

ミーノン軍ともども、配下の兵を死傷させた女神が、意にも介さず、悠々と下降してきた。

「相変わらず、やりすぎだッ。」

銀髪マッシュショートの【武闘家】であるランダ―が神を睨んで、30㎝大の[氷のつぶて]を150個くらい発射する。

これ・・を、宙で〝ヒラリ〟と躱した神が、直径3Mの魔法陣を左手で構築していく。

[GOD SLAYER‘S]の多くは、先ほど空中で退避していた面子の安否が気がかりで、注意が疎かになっているようだ。

そのような状況にて、

「いけ。」

紫蓮が呟きながら〝ニッ〟と笑みを浮かべた。

いつの間にか女神の後ろ斜め下に位置取っていた新羅が、全身を縦に回転させながら昇ってゆく。

これに呼応するかの如く、最小幅20㎝×最大幅5M×高さ8Mで黒色と紫色が入り混じった[トルネード竜巻]が出現したのである。

「なッ?!」

神が[風の渦]に巻き込まれ、〝ぐるぐる〟と回り、兜が脱げた。

竜巻が〝フッ〟と消えたところで、女神が〝ヒュゥ――〟と落下してくる。

「ぬぅッ。」

神は三半規管を揺さぶられたのか、眩暈めまいで〝クラクラ〟しているみたいだ。

ドォンッ!!

結局、背中を地に打ち付けた女神が、

「ぐあッ!」

痛みに声をあげる。

落下地点を予測していたらしいフゥーリカンが“機械馬きかいうま”を駆けさせており、神の4Mほど近くまで寄せた。

その流れで、馬から下りたフゥーリカンが、[バトルアックス戦斧]のを地面に走らせる。

これによって、10㎝、20㎝、30㎝、40㎝、…、と、段々に隆起していく“雪の大地”が、2.5Mぐらいの高さになって、神の左側面に〝ドンッ!!〟と、ぶつかった。

鎧が破損しつつ〝ゴロゴロ〟と転がり、うつ伏せになった女神が、苦しみながら起き上がろうとする。

「頑丈だな。」

半ば呆れつつ感心したフゥーリカンの背後で、ランダ―が下馬した。

「僕に任せてもらっても構わないでしょうか?」

ランダ―に尋ねられたフゥーリカンが、

「ああ。」
「おもいっきり、やっちまえ!」

笑みを浮かべながら答える。

「ありがとうございます。」

軽く会釈したランダ―が前へと出た。

膝立ちになった神は、ダメージが蓄積されているようで、割と辛そうだ。

その右頭部に、長さ2M×最大幅1Mといった[歪なクリスタル形の氷]が、

ガツンッ!!

モロに当たったのである。

「がッ!?」

女神が血を噴射するのと共に、左へと倒れた。

〝ピクッ、ピクピクッ〟と痙攣した神が、動かなくなる。

どうやら、ランダ―が放った一発が決定打となり、命を絶たれたようだ―。
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