GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第171話 逆撃・其之漆

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涼音すずねが【治癒ヒール】を、ルウェーが【恵みの雨ブレスト・レイン】を、ほぼ同時に発動した。

それによって、[ゴッド・スレイヤーズ]の人々とサーヴァント達が回復していく。

現時点の二人は、どちらも、パーティーメンバーの半数ほどの怪我を治せるようだ。

ただし、機械馬きかいうまトライク三輪バイク/ロボット/ゴーレムには効かない。

当然ながら。

メカ類は少なからず破損しているが、これらは後でスリアが修理してくれる。

ゴーレムに関しては、丁度いい“岩石”さえあればタリアノが補修できるので問題ないみたいだ。

[GOD SLAYER’S]の傷が癒されたタイミングで、かなり背後の方から銅鑼ドラの音が幾重にも鳴り響いてきた。

ランダ―が、ブレスレットの“一斉通話”にて、

「突撃を告げる叩き方です。」

このように伝える。

「おし。」
「行くぞ!」

そう告げた紫蓮しれんが、我先にと自身が跨っている機械馬を走らせた。

本来、大将というものは最後尾に控えるものだが、紫蓮は先頭を受け持つのが常である。

これは〝危険な任を自ら担うことで仲間を鼓舞する〟という意図らしい。

彼の場合は、口ではなく“背中で語る”タイプであり、行動で示してきた。

そんな紫蓮の事を、パーティーの誰もが頼もしく思っている。

また、〝リーダーを単騎駆けさせた結果、死なせてしまうのは、メンバーの恥〟と、今まで各々に奮戦してきた。

これは、此度も同様である。

何はともあれ。

[西陸さいりく第八神国しんこく]の軍勢は、数百個のラッパを吹いていた。

どうやら敵も徹底抗戦を辞さないようだ。

両軍が、小細工なしで、ぶつかり合っていく。

機械馬を停めた紫蓮たちは、前方や上空から襲撃してくる連中に対応している。

スキルや魔法を放とうとした彼らではあったが、あることに気が付いてめておいた。

各自、温存・・を選択したのである。

「次から次へと…。」

〝フッ〟と苦笑いした紫蓮の視線の先には、敵軍の後方から押し上がってくる“三柱の神”が居た。

どの神も、身長は3Mぐらいであり、翼は一対(計二枚)みたいなので、[中級]であろう。

そのうちの一柱が、真っ直ぐに紫蓮らへと向かって来る。

互いの距離は、おおよそ200Mといったところだ。

右手の[刀]を高々と掲げた紫蓮が、

「返り討ちにするぞ!!」

〝ブンッ!〟と振り下ろし、〝ピタッ〟と切っ先・・・で神の方を指し示す。

彼の方針に、

「おうッ!!」

「はいッ!」

と、仲間が応じた。

なお、残りの二柱は、左右に広がっていっている。

紫蓮達との間合いを詰めてくる神が、

「先程は、お見事でした。」
の仇、討たせてもらいます。」

こう述べたのであった。

顔は[騎士の兜]で隠れているため分からないが、声からして女性に違いない。

右腰には[鞭]を帯びているようだ。

地上6~7Mに浮いている“女神”が、左のてのひらで、直径3Mの魔法陣を構築していく―。
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