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― 第四章・西陸行路 ―
第165話 逆撃・其之壱
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およそ20Mの位置で敵軍が止まり、[成れの果て]どもから紫色の【光線】が放たれた。
それを察知していた涼音が、既に【結界】を張っている。
このため、[GOD SLAYER’S]は無傷で済んでいた。
他にも【結界】が間に合った兵士らは難を逃れているが、そうでない者達はダメージを負ったり絶命している。
[成れの果て]の顔ぶれは、オーク/インキュバス/オーガ/セイレーン/ウェンディゴのようだ。
それらが、“ミーノン軍の中央”を足止めしているうちに、敵の左翼と右翼が回り込んでいく。
おそらく、こちらの両翼を脇から突く考えなのだろう。
「ぬぅ~ッ。」
「五体も居ると、なかなか厄介だな。」
〝ギリッ〟と歯軋りしたのはブラックミノタウロスの[夜摩]である。
「ただ、まぁ、このまま防戦一方というわけにはいかないわね。」
「どうにかして攻略しないと。」
提言したのは白虎たる[美麗]だ。
「ワタシが、行く。」
コンフュージョンスライムの[来夢]が立候補した流れで、
「では、護衛しましょう。」
ホブゴブリンである[権蔵]が述べた。
宙に浮いて聞いていた黒龍の[新羅]が、
「“成れの果て”に混乱などを使用するのは下策であろう。」
そう指摘する。
「それは、やらない。」
「“ちっそく”させる。」
来夢が返したところで、
「いっそ、全員で突撃するか。」
[機械馬]に跨っている紫蓮が呟いた。
なお、彼らのみの陣形は、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
来夢 権蔵
紫蓮
美麗 夜摩
新羅
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このようになっている。
何はともあれ。
紫蓮が[ブレスレット]を操作して、自身のパーティーに、一斉に方針を伝えていく…。
[成れの果て]たちの“ビーム”が、一旦、止んだ。
様子を窺っていた涼音が【結界】を解除する。
直後にルウェーが【冥護】を施して仲間のステータスを向上させるなり、球体になった来夢が弾みながら前進していく。
それに、紫蓮達が続いた。
狙うは、正面の“元オーガ”である。
背丈は5M前後だ。
迫る彼らに焦った敵兵の一人が、オーガの左脚を剣で刺そうとするも、気付いた夜摩が、
ヴオオオオ――ッ!!
と吼えて、動きを止めた。
ちなみに、新羅と美麗も同じ事が出来るそうだ。
さて。
兵隊の一部が、すくみ上っている隙に、ジャンプした来夢が大きく広がって、オーガの顔に貼り付こうとする。
体を後ろに反らして躱そうとするオーガではあったが、来夢は以前に比べて速度もアップしていたので、逃れられなかったようだ。
顔面に纏わりついたスライムを、
「がぁッ!」
オーガが両手で剥がそうとするも、〝ヌルヌル〟しており、不可能であった。
「今だ!!」
紫蓮の合図で、権蔵が最大幅45㎝の[火炎]を口から吹いて、オーガの左太腿を焼く。
更には、美麗が30㎝大の[氷の礫]を150個ほど飛ばして、胸元にヒットさせる。
これらによって、
「ぐぅッ。」
軽く呻いたオーガが、直径5Mの魔法陣を構築し始めたのだった―。
それを察知していた涼音が、既に【結界】を張っている。
このため、[GOD SLAYER’S]は無傷で済んでいた。
他にも【結界】が間に合った兵士らは難を逃れているが、そうでない者達はダメージを負ったり絶命している。
[成れの果て]の顔ぶれは、オーク/インキュバス/オーガ/セイレーン/ウェンディゴのようだ。
それらが、“ミーノン軍の中央”を足止めしているうちに、敵の左翼と右翼が回り込んでいく。
おそらく、こちらの両翼を脇から突く考えなのだろう。
「ぬぅ~ッ。」
「五体も居ると、なかなか厄介だな。」
〝ギリッ〟と歯軋りしたのはブラックミノタウロスの[夜摩]である。
「ただ、まぁ、このまま防戦一方というわけにはいかないわね。」
「どうにかして攻略しないと。」
提言したのは白虎たる[美麗]だ。
「ワタシが、行く。」
コンフュージョンスライムの[来夢]が立候補した流れで、
「では、護衛しましょう。」
ホブゴブリンである[権蔵]が述べた。
宙に浮いて聞いていた黒龍の[新羅]が、
「“成れの果て”に混乱などを使用するのは下策であろう。」
そう指摘する。
「それは、やらない。」
「“ちっそく”させる。」
来夢が返したところで、
「いっそ、全員で突撃するか。」
[機械馬]に跨っている紫蓮が呟いた。
なお、彼らのみの陣形は、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
来夢 権蔵
紫蓮
美麗 夜摩
新羅
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このようになっている。
何はともあれ。
紫蓮が[ブレスレット]を操作して、自身のパーティーに、一斉に方針を伝えていく…。
[成れの果て]たちの“ビーム”が、一旦、止んだ。
様子を窺っていた涼音が【結界】を解除する。
直後にルウェーが【冥護】を施して仲間のステータスを向上させるなり、球体になった来夢が弾みながら前進していく。
それに、紫蓮達が続いた。
狙うは、正面の“元オーガ”である。
背丈は5M前後だ。
迫る彼らに焦った敵兵の一人が、オーガの左脚を剣で刺そうとするも、気付いた夜摩が、
ヴオオオオ――ッ!!
と吼えて、動きを止めた。
ちなみに、新羅と美麗も同じ事が出来るそうだ。
さて。
兵隊の一部が、すくみ上っている隙に、ジャンプした来夢が大きく広がって、オーガの顔に貼り付こうとする。
体を後ろに反らして躱そうとするオーガではあったが、来夢は以前に比べて速度もアップしていたので、逃れられなかったようだ。
顔面に纏わりついたスライムを、
「がぁッ!」
オーガが両手で剥がそうとするも、〝ヌルヌル〟しており、不可能であった。
「今だ!!」
紫蓮の合図で、権蔵が最大幅45㎝の[火炎]を口から吹いて、オーガの左太腿を焼く。
更には、美麗が30㎝大の[氷の礫]を150個ほど飛ばして、胸元にヒットさせる。
これらによって、
「ぐぅッ。」
軽く呻いたオーガが、直径5Mの魔法陣を構築し始めたのだった―。
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