GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第163話 それもまた一興

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いくさの準備に一週間近くはかかるだろう〟との国主の言葉を受けて、[GOD SLAYER’S]は先に東へと向かった。

〝連携を試しておきたい〟との理由で、[武術マスター]に許可をもらい、“雪の大地”を進んでいる。

どうやら、道中に遭遇するであろう魔物や賊を討伐していき、一つ一つ確認して、最適な陣形を完成させたいらしい。


首都を出て三日後に、その機会が訪れた。

100数を超えるモンスターの集団に鉢合わせしたのである。

この時のバトルにて、[ゴッド・スレイヤーズ]の誰もが驚いた。

何故なら、スリアが、自身の“ブレスレット”を操作して、[ロボット]なるものを出現させたからだ。

彼女は、サーヴァントと契約するスキルを持ち合わせていない。

なので、それを補うため、創意工夫したとの事だった。


【機工士】であるスリアの年齢は21歳だ。

武器は[ビームライフル]で、先端には“細剣の刃”を付属させていた。

防具は、メガネ型ゴーグルに、鉄製のヘッドギア・肩当て・胸当て・肘当て・籠手・膝当て・脛当て、である。

そんな彼女が造った[ロボット]とやらをチェックしていこう。

ちなみに、全種類、“動物型”だ。


全長2Mのアルマジロは、目からビームを発射する。

また、体を丸めて、車輪のように前後進したり、敵にブツかっていく。


全長3Mの鳥は、鷹をモチーフにしているらしい。

背中の左右に、ビームライフルが搭載されている。


全長4Mのライオンは、口から直径50㎝のビームを一直線に放つ。


全長5Mのサイも、口からビームを飛ばすが、こちらは、長さ50㎝×最大幅25㎝の楕円形である。


背丈が6Mのゴリラは、両手をロケットパンチとして飛ばす。

他にも、目からビームを発射できる。


ライオンやサイに体当たりされると結構な衝撃だ。

ゴリラは、普通に拳を振るわれただけでも、かなりの破壊力である。

なお、ロボット達は、銀製であった。


この日の夕食中に、

「それにしても…、トライクや、機械馬きかいうまに、ロボットなどは、商品化すれば、売れるんじゃないですか?」

タリアノが尋ねた。

「まぁ、今は価格が高くなりすぎるだろうから、一般市場で展開していくのは無理だろうな。」
単位であれば、購入してもらえるかもしれないだろうけど……。」
「あと、安全性を考慮して、アタシが集めたデータを、実家である会社に、月一つきいちで送っているところだ。」
「なので、まだまだ実用化されないだろう。」
「それに…、“フューチャーカンパニー”は、現在、祖父と父に兄を中心として、〝空飛ぶ船〟を開発しているところだから、トライクとかは後回しになっているのが現状さ。」

スリアが解説したところ、

「船が空を飛ぶの?!」

ペイニーがビックリして、

「想像がつきませんね。」

涼音すずねが天井を仰ぎ、

「どのような仕組みなのでしょうか??」

ルウェーが瞳を輝かせる。

「ビームは!?」
「ビームは出るのか??!」

興奮気味なのは、撫子なでしこだ。

「なんだか、夢がありますねぇ~。」

ランソワは穏やかな笑みを浮かべた。

男性陣も、何かと質問したいらしく、〝そわそわ〟している。

また、各サーヴァントも注目していた。

「“飛空艇”という名称で、やはり魔鉱石が動力となる。」
「ビームは……、空の魔物に襲撃されるかもしれないから、備え付けるかもな。」

スリアが述べたら、全員が〝ほ、ほぉー〟といった具合に感心したのである。

その流れで、

「なぁ、紫蓮しれん。」
「スリアもパーティーに加えようぜ!」

グーランが提案した。

「いいな、それ!!」
「俺は賛成だぜ!」
「皆も異論はないだろ!?」

フゥーリカンが同意しつつ周囲を促し、誰もが頷く。

「いや、しかし、アタシは、歴史上、メンバーにはなっていないから…。」

遠慮して断ろうとするスリアを、

「未来を良くしていきたいのであれば、いろいろな変化を投じてみるべきでしょう。」

タリアノが説得する。

「いいのか、な?」

窺ってきたスリアに、

「ああ、勿論だ。」

と、快諾する紫蓮だった―。
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