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― 第四章・西陸行路 ―
第159話 時空を越えて・其之伍
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武術マスターが、大聖女からの手紙に書かれていた内容を伝えたところ、
「〝やがて神々を倒すべく旅しながら腕を磨いている〟という訳ですか…。」
「……、分かりました。」
ランダ―が頷いて、
「皆さんが構わないのであれば、お供させていただきます。」
「“未来の記録”においても、僕はパーティーに加わっているみたいですからね。」
そう承諾した。
「“スリア”だったっけ??」
「難しい話しはイマイチよく分かんなかったけど…、俺達は、これから“闇商人の隠れ家”に赴けばいいのか?」
グーランの質問に、
「んん~。」
「どうだろう??」
「歴史を良い流れに変えていくのであれば、違った選択をするべきなんじゃないかと、アタシは思う。」
“褐色肌の女性”が返す。
「ソヤツラの拠点は、何処に在るか知っておるのか?」
このように訊ねたのは利通だ。
「“北方領主の別邸”と記されていたかと。」
スリアが伝えたら、
「何ッ!?」
「あれほどまでに誠実な人物が、そのような者どもと繋がっておるとは……、信じられん。」
武術マスターが目を丸くしたのである。
「いや、その館は、北方領主の次男が去年あたりから使うようになったらしく…、この男が悪巧みしたようだ。」
「別邸に近い町を、雇った賊と“成れの果て”たちに襲撃させて騒ぎを起こし、ミーノン中の意識が、そちらに向いている間に、“西陸第八神国”が東方に攻め込んで来る。」
「次男坊の所為もあって、この国は“神の軍勢”への対応が遅れてしまうのだが……、結局は退却させることに成功するという話しだ。」
「国主殿を失いながらも…。」
スリアの説明が終わったところで、
「その次男は、何が狙いだったんだ??」
紫蓮が首を傾げた。
「うぅ~ん……。」
「“GOD SLAYER’S”などが、北方領主の別邸に到着したときには、既に次男坊は逃げていたらしい。」
「で。」
「“西陸第八神国”が敗北した直後に、自害したそうだ。」
「“未来の祖父”は、〝神と何かしらの密約を交わしていたのではないか?〟〝例えば、ゆくゆくは、ミーノン国の半分を貰うなり、国主に就任させてもらう、といった感じで〟と、推測していた。」
「ま、真実は不明だけど…。」
スリアの語りを聞きながら考え込んでいた利通が、
「ふむ。」
「では、“成れの果て”に関しては北方領主に一任するとしよう。」
「〝そなたの領内で闇商人どもが暗躍しているとの情報がある故、徹底的に調査せよ〟〝解決できなかったり、隠し立てした場合は、然るべき処罰を覚悟すべし〟とな。」
「……、“第八”の件は、中央、東方、南方で、当たるとするかのッ。」
「一ヶ月以内に彼奴等との国境付近に軍勢を集結させて。」
「ランダ―は、それまでに、“ゴッド・スレイヤーズ”に馴染んでおけ。」
そうまとめたのである―。
「〝やがて神々を倒すべく旅しながら腕を磨いている〟という訳ですか…。」
「……、分かりました。」
ランダ―が頷いて、
「皆さんが構わないのであれば、お供させていただきます。」
「“未来の記録”においても、僕はパーティーに加わっているみたいですからね。」
そう承諾した。
「“スリア”だったっけ??」
「難しい話しはイマイチよく分かんなかったけど…、俺達は、これから“闇商人の隠れ家”に赴けばいいのか?」
グーランの質問に、
「んん~。」
「どうだろう??」
「歴史を良い流れに変えていくのであれば、違った選択をするべきなんじゃないかと、アタシは思う。」
“褐色肌の女性”が返す。
「ソヤツラの拠点は、何処に在るか知っておるのか?」
このように訊ねたのは利通だ。
「“北方領主の別邸”と記されていたかと。」
スリアが伝えたら、
「何ッ!?」
「あれほどまでに誠実な人物が、そのような者どもと繋がっておるとは……、信じられん。」
武術マスターが目を丸くしたのである。
「いや、その館は、北方領主の次男が去年あたりから使うようになったらしく…、この男が悪巧みしたようだ。」
「別邸に近い町を、雇った賊と“成れの果て”たちに襲撃させて騒ぎを起こし、ミーノン中の意識が、そちらに向いている間に、“西陸第八神国”が東方に攻め込んで来る。」
「次男坊の所為もあって、この国は“神の軍勢”への対応が遅れてしまうのだが……、結局は退却させることに成功するという話しだ。」
「国主殿を失いながらも…。」
スリアの説明が終わったところで、
「その次男は、何が狙いだったんだ??」
紫蓮が首を傾げた。
「うぅ~ん……。」
「“GOD SLAYER’S”などが、北方領主の別邸に到着したときには、既に次男坊は逃げていたらしい。」
「で。」
「“西陸第八神国”が敗北した直後に、自害したそうだ。」
「“未来の祖父”は、〝神と何かしらの密約を交わしていたのではないか?〟〝例えば、ゆくゆくは、ミーノン国の半分を貰うなり、国主に就任させてもらう、といった感じで〟と、推測していた。」
「ま、真実は不明だけど…。」
スリアの語りを聞きながら考え込んでいた利通が、
「ふむ。」
「では、“成れの果て”に関しては北方領主に一任するとしよう。」
「〝そなたの領内で闇商人どもが暗躍しているとの情報がある故、徹底的に調査せよ〟〝解決できなかったり、隠し立てした場合は、然るべき処罰を覚悟すべし〟とな。」
「……、“第八”の件は、中央、東方、南方で、当たるとするかのッ。」
「一ヶ月以内に彼奴等との国境付近に軍勢を集結させて。」
「ランダ―は、それまでに、“ゴッド・スレイヤーズ”に馴染んでおけ。」
そうまとめたのである―。
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