GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第157話 時空を越えて・其之参

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「およそ1ヶ月後、降雪が緩まる頃に、この国の東に隣接している“西陸さいりく第八神国しんこく”が進軍してくる。」
「完全な雪解けを待たずの攻撃に、“ミーノン国”は対応が遅れてしまい、領土が制圧されていく。」
「そこで、どうにか巻き返そうと、国主殿が自ら前線に立つが…、敵の“王”によって、命を奪われてしまうらしい。」

スリアが述べたところ、

「む?」
「儂より、ソヤツの方が強いという事か??」

[武術マスター]が少し不服そうにした。

「さぁ?」
「それは、どうだろう??」
「“未来の祖父”の記録には〝不意打ち〟とあったから。」
「詳しいことは書かれていないので、よくは分からないけど。」

スリアの説明を受け、

「ふぅむ。」
「……、ま、事前に判明しておれば、いくらでも対応できるわな。」

利通としみちが〝フッ〟と笑みを零す。

「で?」
「そこからは??」

紫蓮しれんの問いに、

「あぁ。」
「国主殿の子息らを中心とした軍勢によって、ミーノン国から敵を完全に撃退する、という流れだ。」

スリアが答える。

「私達も、それらの戦いに加わっているってこと?」

訊ねたのは、ペイニーだ。

「やや遅れてな。」
「…、そこに居る“ランダ―”を新たな仲間とした“GOD SLAYER’S”が、この国に在る“闇商人の拠点”に乗り込んでいる時に、敵が侵略を開始したらしい。」
「それから、状況を知った皆は、戦地へと赴くが、雪の影響で、国主殿の最期には間に合わなかったようだ。」

スリアが喋り終えたタイミングで、

「闇商人とは、“成れの果て”を売買している集団の事でしょうか?」

タリアノが伺った。

「ああ、そうだ。」
「しかし、そこ・・に“元締め”はいなかったらしい。」
「ま、それでも、2~3体の“成れの果て”を倒し、何人かの幹部を捕らえたみたいなので、ある程度の収穫はあったみたいだ。」

このように語ったスリアに、

「それで、私たちが亡くなってしまうというのは、どのようにしてなのでしょうか??」

ランソワが新たな質問を投げかける。

スリアが軽く〝うむ〟と頷き、

「そこなんだが……。」

再び口を開く。

「これから先、“ゴッド・スレイヤーズ”は、西と南の大陸における幾つかの神国とのいくさで武功を立てていく。」
「それによって、5年後には〝神に匹敵せし十傑〟と謳われるようになる。」
「だが、“神々の頂点”たる“大帝”が、これを危険視して、“中央の大陸”から動き出した結果、全滅してしまう。」
「そこから2年が経ち、台頭した“PEACE MAKER’S”が〝次世代の十人衆〟と呼ばれるようになるが、こちらも誰一人として…。」

スリアが、両目を閉じながら、首を左右に振る。

「いや、待てよ。」
「“ピースメーカーズ”は六人組・・・だぞ。」

指摘したのは、グーランだ。

「やはり、そうか。」
「……、 “ハーリマーの首都”の大飯店で勧誘していたからな、これからメンバーが増えていくんだろう。」

そう推測したルリンに、

「話したのか?」
「あの者らと。」

撫子なでしこが尋ねる。

「いや、アタシは、たまたま、その場に居合わせただけだ。」
「近くのテーブル席で、自分達と同じぐらいの年齢の少年少女に声を掛けていた。」
「一人ずつ自己紹介していき、パーティー名も教えていたよ。」
「それが耳に入ったアタシは〝もしや〟と思い、家に帰ってから“祖父の手記”を読み直してみたのさ。」
「すると…、彼らの名前と特徴が一致したんだ。」
「ま、容姿に関しては、本人たちが二十歳ごろのものが書かれているので、若干は違うんだが…。」
「いずれにしろ、それで、アタシは、もともと疑っていた“未来の記録”を信じることにした訳さ。」

と告げるスリアであった―。
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