GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第156話 時空を越えて・其之弐

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「あー、まぁ、そういう反応になるよな。」
「アタシも、初めて祖父に教えられたときは、似たようなもんだった。」

苦笑いしたスリアが、

「その手記には、いろんな事が書かれていて…。」

真顔になって続けていく。

「未来の祖父は、タイムマシンとかいう“時間と空間を越える装置”を造ったらしい。」
「で。」
「それを使って、本人が、過去の自分に会い、全てを伝えようと考えたみたいなんだが……、どうやら一方通行しか出来ない機械だったみたいで〝これだと未来に帰るすべが無い〟との理由で、諦めたそうだ。」
「また、〝時を旅する際、かなりの圧力が掛かって、生身では耐え切れず、途中で死んでしまうかもしれん〟と懸念して、〝押し潰されずに済むであろうアダマンタイトを採用した〟と記されていた。」
「そのアダマンタイトを、どういう経緯で入手したかまでは書かれていなかったが…。」

スリアの説明に、

「未来から過去に遡るとは……、原理が気になりますね。」

タリアノが興味を示し、

「ええ、確かに。」

ルウェーが瞳を輝かせた。

どうやら二人には理解できているようだ。

それに対して、

「分かるか?」

撫子なでしこに聞かれたグーランが、

「さっぱり。」

首を左右に振って、

「俺もだ。」

フゥーリカンが眉間にシワを寄せる。

紫蓮しれん涼音すずね/ペイニー/ランソワは、

「つまり…。」

「あー、成程です。」

「でも、それだと……。」

「いえ、きっと合っていますよ。」

割と付いていけていた。

「それで?」
「他には、どのようなことが記されていたんです??」

タリアノが質問したところ、

「ああ、幾つかの製品が設計図入りで書かれていたな。」
「例えば…、皆が手首に嵌めている“ブレスレット”だったり、多くの国に広まっていってる“魔道機関車”あたりが、有名だろう。」

スリアが答えたのである。

「なにッ!?」
「これらは“ウェル”が作成したものなのか??!」

驚きを隠せなかったのは[武術マスター]だ。

頷いて肯定したスリアが、

「修行を終えて独立した祖父は“フューチャーカンパニー”を創業し、まずは“ブレスレット”をヒットさせた。」
「その後、およそ30年がかりで“機関車”を完成させたという訳だ。」
「レールを敷いたり、駅を設けるには、民衆の理解と、政府の許可が、必要だからな。」
「その為に“魔道トロッコ”から着手したらしい。」

このように語った。

〝ふぅ~む〟と唸った利通としみちの傍で、“藍色の道着姿”であるランダ―が、

「それらの話しと、僕が呼ばれたのには、何か繋がりがあるんですか?」

疑問を呈す。

「ん??」
「あぁ、すまない。」
「ここまでは、アタシの祖父に関する情報だ。」
「本題に入ろう。」
「実に言いにくいのだが……、“未来の手記”によれば、今ここに居る全員が数年以内に死んでしまうらしい。」
直近ちょっきんでは、国主殿だ。」

そう告げるスリアだった―。
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