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― 第四章・西陸行路 ―
第155話 時空を越えて・其之壱
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「まず、アタシの祖父は、一昔前に、ここの国主殿と冒険していたらしい。」
スリアと目が合った[武術マスター]が、
「うむ。」
「“名も無き旅団”の解散後、儂が新たに組んだパーティーのメンバーじゃったよ、“ウェル”は。」
このように肯定した。
「暫く一緒に行動していた祖父は、職人になるべく“ハーリマーの首都”に腰を据えた。」
「ほぉう…。」
「あそこは工業都市じゃし、国主は代々ドワーフだからのう。」
「ハーフドワーフであり、手先が器用だった、ウェルらしいのッ。」
スリアと利通が会話していたところ、
「“ハーリマー”って、ロンド―たち“ピース・メーカーズ”を送り届けた所だよな。」
グーランが口を開いたのである。
皆が頷くなか、
「待ってくれ!」
「彼らを知っているのか?!」
スリアが驚く。
「え?」
「あ、ああ。」
グーランを始め、多くの者が〝キョトン〟とした。
「それは、おかしい。」
「本来、“ゴッド・スレイヤーズ”との面識は無い筈だ。」
「いや……、既に、ある程度は歴史が変わっているから、有り得るか。」
右手を顎に当て、考え込もうとするスリアに、
「どういう事だ??」
紫蓮が訊ねた。
「あぁ、すまない。」
「取りあえず、順を追って話しをさせてくれ。」
断りを入れたスリアが、
「ある夜のこと、まだ修行の身だった祖父の部屋に、突然、箱が出現したらしい。」
「“アダマンタイト”で作られた。」
そう述べるなり、
「アダマンタイト!?」
「この世に実在しているのですか??!」
タリアノが珍しく大きな声を出し、
「私も本に書かれているのしか見たことがありません。」
ルウェーが目を丸くする。
こういった反応の二人に、
「それって、凄ぇのか?」
フゥーリカンが伺う。
「はい。」
「“幻の物質”と呼ばれており、掌サイズであっても相当な値段が付くかと…。」
「少なくとも金貨5万枚ぐらいになるかもしれませんね。」
タリアノが答えたところ、
「マジか?!」
「そんなに!?」
「ちょっとした城が買えんじゃねぇの??」
といった具合に、誰もがザワついた。
「お前ら、冷静になれよ。」
「そういうのは後回しにして、本題を聞こうぜ。」
紫蓮に諭され、
「また騒いでしまって悪かった。」
「ごめんなさい。」
「すまねぇ。」
「申し訳ありません。」
それぞれに謝る。
この流れで、スリアが、
「では、続けさせてもらおう。」
「……、およそ40年前、“アダマンタイトの箱”を、当時の祖父が開けてみたところ、中には、厚めの手記が一冊あったそうだ。」
「それは、未来の祖父が送ってきた物らしい。」
そのように伝えた。
これに対して、全員が〝は?!〟と首を傾げたのである―。
スリアと目が合った[武術マスター]が、
「うむ。」
「“名も無き旅団”の解散後、儂が新たに組んだパーティーのメンバーじゃったよ、“ウェル”は。」
このように肯定した。
「暫く一緒に行動していた祖父は、職人になるべく“ハーリマーの首都”に腰を据えた。」
「ほぉう…。」
「あそこは工業都市じゃし、国主は代々ドワーフだからのう。」
「ハーフドワーフであり、手先が器用だった、ウェルらしいのッ。」
スリアと利通が会話していたところ、
「“ハーリマー”って、ロンド―たち“ピース・メーカーズ”を送り届けた所だよな。」
グーランが口を開いたのである。
皆が頷くなか、
「待ってくれ!」
「彼らを知っているのか?!」
スリアが驚く。
「え?」
「あ、ああ。」
グーランを始め、多くの者が〝キョトン〟とした。
「それは、おかしい。」
「本来、“ゴッド・スレイヤーズ”との面識は無い筈だ。」
「いや……、既に、ある程度は歴史が変わっているから、有り得るか。」
右手を顎に当て、考え込もうとするスリアに、
「どういう事だ??」
紫蓮が訊ねた。
「あぁ、すまない。」
「取りあえず、順を追って話しをさせてくれ。」
断りを入れたスリアが、
「ある夜のこと、まだ修行の身だった祖父の部屋に、突然、箱が出現したらしい。」
「“アダマンタイト”で作られた。」
そう述べるなり、
「アダマンタイト!?」
「この世に実在しているのですか??!」
タリアノが珍しく大きな声を出し、
「私も本に書かれているのしか見たことがありません。」
ルウェーが目を丸くする。
こういった反応の二人に、
「それって、凄ぇのか?」
フゥーリカンが伺う。
「はい。」
「“幻の物質”と呼ばれており、掌サイズであっても相当な値段が付くかと…。」
「少なくとも金貨5万枚ぐらいになるかもしれませんね。」
タリアノが答えたところ、
「マジか?!」
「そんなに!?」
「ちょっとした城が買えんじゃねぇの??」
といった具合に、誰もがザワついた。
「お前ら、冷静になれよ。」
「そういうのは後回しにして、本題を聞こうぜ。」
紫蓮に諭され、
「また騒いでしまって悪かった。」
「ごめんなさい。」
「すまねぇ。」
「申し訳ありません。」
それぞれに謝る。
この流れで、スリアが、
「では、続けさせてもらおう。」
「……、およそ40年前、“アダマンタイトの箱”を、当時の祖父が開けてみたところ、中には、厚めの手記が一冊あったそうだ。」
「それは、未来の祖父が送ってきた物らしい。」
そのように伝えた。
これに対して、全員が〝は?!〟と首を傾げたのである―。
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