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― 第四章・西陸行路 ―
第154話 不分明
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「つまり、こういう事か?!」
「俺らは、自分たちでも気付かないうちに〝有名になっていた〟と!」
「どうだ?? 当たっただろ!?」
推理したのはグーランである。
それに、
「ふむ、成程な。」
「であれば、辻褄が合うなッ!!」
撫子と、
「まぁ、道中、いろんな魔物や賊どもを倒してきたからな、俺達の噂が広まるのは必然だろうぜ。」
フゥーリカンが、納得した。
「いや、きっと違うだろうから、黙ってろよ、“三馬鹿”。」
「ややこしくなっちまうだろ。」
ツッコんだのは、リーダーの紫蓮だ。
「異議あり!」
「俺はバカじゃねぇッ!!」
「紫蓮よ。」
「この2人は、そうだとしても、私を一緒にするでない!」
「いやいやいやいやいや。」
「俺は別として……、グーランと撫子の頭が悪いのは事実なんだから、諦めろ!!」
3人が〝ギャー ギャー〟と騒ぎだしたところ、〝コホンッ〟と咳払いしたタリアノが、
「一旦、落ち着いてください。」
「そして、きちんと聞こうじゃありませんか。」
「何故、我々のことを存じていらっしゃるのか、その理由を。」
このように述べたのである。
タリアノの意見に、
「ああ。」
「説明させてもらおう。」
スリアが応じつつ、
「だが、その前に……、まだ9人しかいないみたいだな。」
「それぞれの特徴からして、足りていないのは、おそらく、“ランダ―”だろ。」
「国主殿、すまないが、呼び寄せてもらいたい。」
「この場に居る誰もの未来に関わることなので。」
そう告げた。
「ランダ―の事も知っておるのか?!」
驚いた武術マスターではあったが、
「…………。」
「良かろう。」
「いろいろと興味深いからのぉ。」
「包み隠さず語ってもらおうぞ。」
結局は承諾したようだ。
「誰ぞある!?」
国主の声に、
「はいッ!!」
廊下に待機していた者が返す。
紫蓮たちの背後の障子を開けたのは、“熊の半獣”である。
正座しているので、確かなことは不明だが、背丈は150㎝ほどであろう。
性別は女であり、着用している和服からジョブは【巫女】だと判断できた。
「ランダ―を、此れへ。」
武術マスターの命令を受け、
「かしこまりました。」
お辞儀する“半熊”だった…。
再び障子が開かれ、
「お待たせしました。」
「利道様。」
一礼した流れで入室してきたのは、身長160㎝ぐらいの、青年だ。
銀色の髪はマッシュショートで、瞳は青く、爽やかな印象である。
年齢は紫蓮と大差ないだろう。
「うむ。」
「ここに。」
招かれたランダ―が、国主の右斜め前に正座した。
紫蓮達の方に体を向けて。
武術マスターこと“利道”に、
「では、話してもらおうか、ウェルの孫娘よ。」
静に促されたレッドブラウンヘアーの女性が、
「これから伝えることは、アタシも半ば疑っていたんだけど……、本当の事みたいなんで、無作法とは思いながらも、足を運んだ次第だ。」
前置きから入ったのであった―。
「俺らは、自分たちでも気付かないうちに〝有名になっていた〟と!」
「どうだ?? 当たっただろ!?」
推理したのはグーランである。
それに、
「ふむ、成程な。」
「であれば、辻褄が合うなッ!!」
撫子と、
「まぁ、道中、いろんな魔物や賊どもを倒してきたからな、俺達の噂が広まるのは必然だろうぜ。」
フゥーリカンが、納得した。
「いや、きっと違うだろうから、黙ってろよ、“三馬鹿”。」
「ややこしくなっちまうだろ。」
ツッコんだのは、リーダーの紫蓮だ。
「異議あり!」
「俺はバカじゃねぇッ!!」
「紫蓮よ。」
「この2人は、そうだとしても、私を一緒にするでない!」
「いやいやいやいやいや。」
「俺は別として……、グーランと撫子の頭が悪いのは事実なんだから、諦めろ!!」
3人が〝ギャー ギャー〟と騒ぎだしたところ、〝コホンッ〟と咳払いしたタリアノが、
「一旦、落ち着いてください。」
「そして、きちんと聞こうじゃありませんか。」
「何故、我々のことを存じていらっしゃるのか、その理由を。」
このように述べたのである。
タリアノの意見に、
「ああ。」
「説明させてもらおう。」
スリアが応じつつ、
「だが、その前に……、まだ9人しかいないみたいだな。」
「それぞれの特徴からして、足りていないのは、おそらく、“ランダ―”だろ。」
「国主殿、すまないが、呼び寄せてもらいたい。」
「この場に居る誰もの未来に関わることなので。」
そう告げた。
「ランダ―の事も知っておるのか?!」
驚いた武術マスターではあったが、
「…………。」
「良かろう。」
「いろいろと興味深いからのぉ。」
「包み隠さず語ってもらおうぞ。」
結局は承諾したようだ。
「誰ぞある!?」
国主の声に、
「はいッ!!」
廊下に待機していた者が返す。
紫蓮たちの背後の障子を開けたのは、“熊の半獣”である。
正座しているので、確かなことは不明だが、背丈は150㎝ほどであろう。
性別は女であり、着用している和服からジョブは【巫女】だと判断できた。
「ランダ―を、此れへ。」
武術マスターの命令を受け、
「かしこまりました。」
お辞儀する“半熊”だった…。
再び障子が開かれ、
「お待たせしました。」
「利道様。」
一礼した流れで入室してきたのは、身長160㎝ぐらいの、青年だ。
銀色の髪はマッシュショートで、瞳は青く、爽やかな印象である。
年齢は紫蓮と大差ないだろう。
「うむ。」
「ここに。」
招かれたランダ―が、国主の右斜め前に正座した。
紫蓮達の方に体を向けて。
武術マスターこと“利道”に、
「では、話してもらおうか、ウェルの孫娘よ。」
静に促されたレッドブラウンヘアーの女性が、
「これから伝えることは、アタシも半ば疑っていたんだけど……、本当の事みたいなんで、無作法とは思いながらも、足を運んだ次第だ。」
前置きから入ったのであった―。
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