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― 第四章・西陸行路 ―
第153話 武術マスター
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“本丸”とも呼ばれる[一の曲輪]に、テント(ゲル)を設営させてもらい、この中でサーヴァント達が待機している。
〝外は寒かろう〟との[ミーノン国主]の計らいにて。
紫蓮たちは、この国主の屋敷内に在る畳張りの部屋に通されていた。
広さは二十畳あたりだろう。
ルウェーが渡した手紙を、60代半ばの男性が、座布団上で黙読している。
1㎝ほどの長さである坊主頭は、白髪交じりだ。
鼻の下と、顎の、髭も、割と白い。
背丈は170㎝くらいであろう。
それなりにシワがあるものの、精悍な顔立ちをしている。
服装は、紺色を基調とした武闘家らしい道着だ。
この[武術マスター]が、
「スーロに、“名も無き旅団”か…。」
目を細めた。
“スーロ”とは、[大聖女]の名前である。
「しかし……、そなたらの旅に、誰か一人を同行させるとなると、悩むのぉう。」
ミーノン国主が腕を組んで〝うぅ~むッ〟と考え出したところに、障子の向こうから、
「失礼します!」
との男性の声が聞こえてきた。
「如何した??」
武術マスターが訊ねたところ、障子を〝スゥー〟と開けた男が、
「国主様に面会を請う者が訪問しております。」
「本人は〝ウェルの孫と伝えてもらいたい〟と申しておりました。」
このように報告したのである。
「なんと?!」
「“ウェル”とは…。」
「これまた懐かしいのう。」
「ふむ。」
「良かろう、ここに連れて来い。」
国主が促し、
「はッ!!」
頭を下げた30歳ぐらいの男性が、障子を閉じて、去っていく。
「すまんが、少し待っといてくれ。」
武術マスターの言葉に、紫蓮達が頷いた……。
2~3分後。
入室してきたのは、赤茶色でソバージュの髪をポニーテールにしている女性だった。
背丈は165㎝くらいだろう。
年齢は、20代前半のようだ。
ブラウンのロングコート・ブラックの革手袋・オレンジのパンツ・ライトブルーの靴下といった格好の彼女は、凛々しいルックスをしている。
明らかに活発そうな印象だ。
紫蓮らの左隣に胡坐座りした“褐色肌の女性”が、
「会ってもらえたこと、感謝する。」
「アタシは、ウェルの孫娘で、名を“スリア”という。」
国主に挨拶した流れで、紫蓮たちに視線を送り、
「…、そちらは“GOD SLYEAR’S”だな?」
そう確認してきた。
皆が〝!?〟と不思議がるなか、
「俺たちを知っているのか??」
紫蓮が尋ね、
「どこかで、ご一緒しましたしかしら?」
ランソワが続いて伺う。
これらの疑問に対して、
「いや、初めてだ。」
スリアが首を横に振る。
その返しに、全員が、意味を理解できず眉をひそめた―。
〝外は寒かろう〟との[ミーノン国主]の計らいにて。
紫蓮たちは、この国主の屋敷内に在る畳張りの部屋に通されていた。
広さは二十畳あたりだろう。
ルウェーが渡した手紙を、60代半ばの男性が、座布団上で黙読している。
1㎝ほどの長さである坊主頭は、白髪交じりだ。
鼻の下と、顎の、髭も、割と白い。
背丈は170㎝くらいであろう。
それなりにシワがあるものの、精悍な顔立ちをしている。
服装は、紺色を基調とした武闘家らしい道着だ。
この[武術マスター]が、
「スーロに、“名も無き旅団”か…。」
目を細めた。
“スーロ”とは、[大聖女]の名前である。
「しかし……、そなたらの旅に、誰か一人を同行させるとなると、悩むのぉう。」
ミーノン国主が腕を組んで〝うぅ~むッ〟と考え出したところに、障子の向こうから、
「失礼します!」
との男性の声が聞こえてきた。
「如何した??」
武術マスターが訊ねたところ、障子を〝スゥー〟と開けた男が、
「国主様に面会を請う者が訪問しております。」
「本人は〝ウェルの孫と伝えてもらいたい〟と申しておりました。」
このように報告したのである。
「なんと?!」
「“ウェル”とは…。」
「これまた懐かしいのう。」
「ふむ。」
「良かろう、ここに連れて来い。」
国主が促し、
「はッ!!」
頭を下げた30歳ぐらいの男性が、障子を閉じて、去っていく。
「すまんが、少し待っといてくれ。」
武術マスターの言葉に、紫蓮達が頷いた……。
2~3分後。
入室してきたのは、赤茶色でソバージュの髪をポニーテールにしている女性だった。
背丈は165㎝くらいだろう。
年齢は、20代前半のようだ。
ブラウンのロングコート・ブラックの革手袋・オレンジのパンツ・ライトブルーの靴下といった格好の彼女は、凛々しいルックスをしている。
明らかに活発そうな印象だ。
紫蓮らの左隣に胡坐座りした“褐色肌の女性”が、
「会ってもらえたこと、感謝する。」
「アタシは、ウェルの孫娘で、名を“スリア”という。」
国主に挨拶した流れで、紫蓮たちに視線を送り、
「…、そちらは“GOD SLYEAR’S”だな?」
そう確認してきた。
皆が〝!?〟と不思議がるなか、
「俺たちを知っているのか??」
紫蓮が尋ね、
「どこかで、ご一緒しましたしかしら?」
ランソワが続いて伺う。
これらの疑問に対して、
「いや、初めてだ。」
スリアが首を横に振る。
その返しに、全員が、意味を理解できず眉をひそめた―。
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