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― 第四章・西陸行路 ―
第148話 浮かれ気分で真剣に
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[カーチーの首都]を出発してから約1ヶ月半が経っている。
季節は、すっかり冬となっていた。
“ヤーマートゥー国”の北を越えて[エーチゼェン国]に入った一同は、それぞれ長袖かつ厚着になっている。
ただし。
黒龍の新羅&白虎の美麗。
撫子のサーヴァントであるアルミラージ&サンダーバード。
鈴音のところの白狐&朱雀。
ペイニーのところのサラマンダー&コカトリス。
タリアノのところのマンティコア&岩石ゴーレム。
グーランのところのワーバット・モスマン・グリフォン・ケルベロス。
ランソワのところのホワイトドラゴン・パピヨン・ユニコーン・白山羊。
フゥーリカンのところの蠍&ジャイアントアント。
それらの面子は、何も纏っていない。
来夢たちスライムは気温を感じにくいので、衣服は必要ないのだが…、オシャレとして着用しているらしい。
いずれにしろ、事前情報にあったように、西陸の北部は、冬場ともなれば雪景色になる。
ちなみに、膝あたりまで降り積もっているようだ。
雪そのものは知っている[ゴッド・スレイヤーズ]ではあったが、あたり一面の銀世界には〝おおー!!〟と感動していた。
ホワイトドラゴン以外は生まれて初めての経験みたいだ。
「そういえば、かような国々では“雪合戦”なるものがあると、聞き及ぶ。」
言い出したのは撫子である。
「あー、確かにな。」
「……、やるか?!」
瞳を輝かせながら提案したのはグーランだ。
「じゃあ、チームを二つに分けようぜ。」
「〝負けた方は次の町で食事を奢る〟というのは、どうだ!?」
フゥーリカンの提案に、
「面白いわね!」
ペイニーがノッた。
「断れる雰囲気じゃありませんね。」
軽く〝はぁ〟と溜息を吐いて肩を落とすタリアノに、涼音とランソワが〝クスッ〟と笑う。
「メンドくせぇが…、しゃあねぇな。」
「取り敢えず、クジ引きしようぜ。」
リーダーたる紫蓮に促され、誰もが頷いたのである。
およそ5分後――。
紫蓮/撫子/タリアノ/ランソワがA班に、涼音/ペイニー/グーラン/フゥーリカンがB班となった。
まずは一人につき十個の“雪玉”を準備してから、スタートするようだ。
なお、試合中も“スノーボール”を作成して構わない。
サーヴァントらは、雪を握って団子状にすることが出来ない“四足歩行のタイプ”もいるので、公正を期すため全員が観戦する約束になっている。
各自、整え終えたタイミングで、
「ふッ、ふッ、ふッ、ふーッ。」
「我らの勝利は約束されたも同然!!」
「“こてんぱん”にして、タダ飯を食ろうてくれるわぁッ!」
撫子が何故だかイキった。
これに対して、グーランが、
「フンッ!!」
「返り討ちにしてくれるぜ!」
「秒殺されても泣くんじゃねぇぞッ!!」
と、挑発する。
両陣営の間で目に見えない火花が散るなか、地上10M程の位置に浮いている新羅が、
「始めぇいッ!」
そう告げたことによって、紫蓮らの[第一次スノーウォーズ]が幕を開けたのであった―。
季節は、すっかり冬となっていた。
“ヤーマートゥー国”の北を越えて[エーチゼェン国]に入った一同は、それぞれ長袖かつ厚着になっている。
ただし。
黒龍の新羅&白虎の美麗。
撫子のサーヴァントであるアルミラージ&サンダーバード。
鈴音のところの白狐&朱雀。
ペイニーのところのサラマンダー&コカトリス。
タリアノのところのマンティコア&岩石ゴーレム。
グーランのところのワーバット・モスマン・グリフォン・ケルベロス。
ランソワのところのホワイトドラゴン・パピヨン・ユニコーン・白山羊。
フゥーリカンのところの蠍&ジャイアントアント。
それらの面子は、何も纏っていない。
来夢たちスライムは気温を感じにくいので、衣服は必要ないのだが…、オシャレとして着用しているらしい。
いずれにしろ、事前情報にあったように、西陸の北部は、冬場ともなれば雪景色になる。
ちなみに、膝あたりまで降り積もっているようだ。
雪そのものは知っている[ゴッド・スレイヤーズ]ではあったが、あたり一面の銀世界には〝おおー!!〟と感動していた。
ホワイトドラゴン以外は生まれて初めての経験みたいだ。
「そういえば、かような国々では“雪合戦”なるものがあると、聞き及ぶ。」
言い出したのは撫子である。
「あー、確かにな。」
「……、やるか?!」
瞳を輝かせながら提案したのはグーランだ。
「じゃあ、チームを二つに分けようぜ。」
「〝負けた方は次の町で食事を奢る〟というのは、どうだ!?」
フゥーリカンの提案に、
「面白いわね!」
ペイニーがノッた。
「断れる雰囲気じゃありませんね。」
軽く〝はぁ〟と溜息を吐いて肩を落とすタリアノに、涼音とランソワが〝クスッ〟と笑う。
「メンドくせぇが…、しゃあねぇな。」
「取り敢えず、クジ引きしようぜ。」
リーダーたる紫蓮に促され、誰もが頷いたのである。
およそ5分後――。
紫蓮/撫子/タリアノ/ランソワがA班に、涼音/ペイニー/グーラン/フゥーリカンがB班となった。
まずは一人につき十個の“雪玉”を準備してから、スタートするようだ。
なお、試合中も“スノーボール”を作成して構わない。
サーヴァントらは、雪を握って団子状にすることが出来ない“四足歩行のタイプ”もいるので、公正を期すため全員が観戦する約束になっている。
各自、整え終えたタイミングで、
「ふッ、ふッ、ふッ、ふーッ。」
「我らの勝利は約束されたも同然!!」
「“こてんぱん”にして、タダ飯を食ろうてくれるわぁッ!」
撫子が何故だかイキった。
これに対して、グーランが、
「フンッ!!」
「返り討ちにしてくれるぜ!」
「秒殺されても泣くんじゃねぇぞッ!!」
と、挑発する。
両陣営の間で目に見えない火花が散るなか、地上10M程の位置に浮いている新羅が、
「始めぇいッ!」
そう告げたことによって、紫蓮らの[第一次スノーウォーズ]が幕を開けたのであった―。
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