GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第146話 採石場へ

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タリアノの質問に、

「ある程度の大きさに切り出された岩を販売している店であれば、都内に幾つかあるが…。」
「建築関係の職人だったり、彫刻家などが、購入しているみたいな。」

フゥーリカンが述べる。

「それは、石工いしくの方々によって刻まれ、長方形とかになっている代物ですよね?」
「商品として。」

タリアノが言わんとするところを、

「まぁ、そうだけど……。」
「ん??」
「〝岩そのものが欲しい〟って事か?」

フゥーリカンが察した。

これに、タリアノが〝ええ〟と頷く。

「だったら、“採石場”が一番いいだろうな。」
「北に向かう道中にも在るから、案内してやるよ。」

「分かりました。」
「よろしくお願いします。」

二人の会話が終わったのを見計らい、

「“岩”を、どうするつもりなのだ??」

撫子なでしこが伺う。

「ゴーレムを造りかえようと思いましてね。」

そう告げたタリアノに、

「え?!」
「そのようなことが可能なのですか??」

涼音すずねが目を丸くする。

他の面子も驚いているようだ。

ただ一人冷静なタリアノが、

「旅に出る前の私では無理でしたが……、冒険での数々の戦闘経験を積んで魔力が増えた今であれば、これまでよりも強いゴーレムに変える事が出来るかと…。」
「何せ、“樹木型”は、もう限界のようですからね。」

このように語った。

確かに、 [ウッドゴーレム]は、斬られたり刺されたりした傷跡や、火炎系で焦げていたり、爆発で陥没した箇所が、至る部分に見受けられる。

「それで?」
「どのような方法で新しくしますの??」

フランソワが尋ね、

「体内の中心に“魔鉱石”がありますので、これを活用します。」

タリアノが返した。

「んん~、イマイチ理解できねぇけど……、なんだか楽しみだな!」

瞳を輝かせたのはグーランだ。

「それじゃあ当初の予定どおり、お買い物を済ませましょう。」
「ね? 紫蓮しれん。」

ペイニーに促され、

「ああ。」

と頷くリーダーだった。


翌日、一同は[カーチーの首都]を発った。

【戦士】であるフゥーリカンは、[バトルアックス戦斧]を扱う。

“鉄の柄”の長さは1.5Mであろう。

片刃の斧であり、反対側は鋭く尖っている。

また、先端には“槍の穂”が付属していた。

なお、三点ともに銀製であり、模様が刻まれている。

[黒鉄の甲冑]は、全体的に角ばっているようだ。

そんな彼のスキルは【地撃】であった。


何度か魔物の群れに遭遇しながらも、順調に北上していき、四日が過ぎている。

フゥーリカンは、早くも、[ゴッドスレイヤーズ]に馴染んでいた。

なかでも、撫子やグーランといった賑やかなタイプと気が合うみたいだ。

いずれにしろ、タリアノが望んだ目的地に辿り着いたのである。


採石場にて。

40歳ぐらいの男性が、

「関係者以外立ち入り禁止だぞッ!!」

紫蓮たちに怒鳴った。

しかし、あちらこちらで響いている作業の音によって、彼らにはよく聞こえなかったらしい。

歩みを止めようとしない紫蓮達を、

「おい!」

「待て、コラッ!!」

「そっから先は危ねぇから行くな!」

「つーか、出てけよ!!」

数いる石工のなかで、作業を中断した10人ほどが取り囲んでいくのであった―。
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