GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
146 / 300
― 第四章・西陸行路 ―

第146話 採石場へ

しおりを挟む
タリアノの質問に、

「ある程度の大きさに切り出された岩を販売している店であれば、都内に幾つかあるが…。」
「建築関係の職人だったり、彫刻家などが、購入しているみたいな。」

フゥーリカンが述べる。

「それは、石工いしくの方々によって刻まれ、長方形とかになっている代物ですよね?」
「商品として。」

タリアノが言わんとするところを、

「まぁ、そうだけど……。」
「ん??」
「〝岩そのものが欲しい〟って事か?」

フゥーリカンが察した。

これに、タリアノが〝ええ〟と頷く。

「だったら、“採石場”が一番いいだろうな。」
「北に向かう道中にも在るから、案内してやるよ。」

「分かりました。」
「よろしくお願いします。」

二人の会話が終わったのを見計らい、

「“岩”を、どうするつもりなのだ??」

撫子なでしこが伺う。

「ゴーレムを造りかえようと思いましてね。」

そう告げたタリアノに、

「え?!」
「そのようなことが可能なのですか??」

涼音すずねが目を丸くする。

他の面子も驚いているようだ。

ただ一人冷静なタリアノが、

「旅に出る前の私では無理でしたが……、冒険での数々の戦闘経験を積んで魔力が増えた今であれば、これまでよりも強いゴーレムに変える事が出来るかと…。」
「何せ、“樹木型”は、もう限界のようですからね。」

このように語った。

確かに、 [ウッドゴーレム]は、斬られたり刺されたりした傷跡や、火炎系で焦げていたり、爆発で陥没した箇所が、至る部分に見受けられる。

「それで?」
「どのような方法で新しくしますの??」

フランソワが尋ね、

「体内の中心に“魔鉱石”がありますので、これを活用します。」

タリアノが返した。

「んん~、イマイチ理解できねぇけど……、なんだか楽しみだな!」

瞳を輝かせたのはグーランだ。

「それじゃあ当初の予定どおり、お買い物を済ませましょう。」
「ね? 紫蓮しれん。」

ペイニーに促され、

「ああ。」

と頷くリーダーだった。


翌日、一同は[カーチーの首都]を発った。

【戦士】であるフゥーリカンは、[バトルアックス戦斧]を扱う。

“鉄の柄”の長さは1.5Mであろう。

片刃の斧であり、反対側は鋭く尖っている。

また、先端には“槍の穂”が付属していた。

なお、三点ともに銀製であり、模様が刻まれている。

[黒鉄の甲冑]は、全体的に角ばっているようだ。

そんな彼のスキルは【地撃】であった。


何度か魔物の群れに遭遇しながらも、順調に北上していき、四日が過ぎている。

フゥーリカンは、早くも、[ゴッドスレイヤーズ]に馴染んでいた。

なかでも、撫子やグーランといった賑やかなタイプと気が合うみたいだ。

いずれにしろ、タリアノが望んだ目的地に辿り着いたのである。


採石場にて。

40歳ぐらいの男性が、

「関係者以外立ち入り禁止だぞッ!!」

紫蓮たちに怒鳴った。

しかし、あちらこちらで響いている作業の音によって、彼らにはよく聞こえなかったらしい。

歩みを止めようとしない紫蓮達を、

「おい!」

「待て、コラッ!!」

「そっから先は危ねぇから行くな!」

「つーか、出てけよ!!」

数いる石工のなかで、作業を中断した10人ほどが取り囲んでいくのであった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

闇属性転移者の冒険録

三日月新
ファンタジー
 異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。  頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。  強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。 ※週に三話ほど投稿していきます。 (再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります) ※一話3,000字〜4,000字となっています。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...