GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
143 / 300
― 第四章・西陸行路 ―

第143話 カーチー国

しおりを挟む
[ゴッド・スレイヤーズ]は、ハーリマー国の北部を進んでいた。

ここら辺りは“砂漠地帯”である。

[西の大陸]の中央に位置する諸国は、冬でも温暖な気候なのだそうだ。

ちなみに、現在の季節は“秋真っ盛り”となっている。

紫蓮しれんたちは、蒸し暑いなかで、砂地に足を取られながらも、確実に歩いていた。

時折、吹く突風にて、舞い上がる砂を、誰もが全身に浴びてしまう。

事前に、首都で、対策用の品物を購入してはいたが、衣服の隙間から砂が入り込んでくることが、しばしばあるようだ。

人間や、獣人型タイプは、[フード付きマント]をまとい、顔の下半分を布で覆っている。

それ以外のサーヴァント達…、例えば“黒龍の新羅しんら”であったり、四足歩行の生物などは、マントを着ていない。

ただし、鼻と口元は、大きめの布をマスク代わりに使って、流砂から守っていた。

ウッドゴーレム樹木人形には必要ないらしく、何も装備していない。

いずれにせよ、休憩の度に、シャワーで“砂”を洗い流すのが日課となっている。


[ピース・メーカーズ]と別れてから暫くの間は淋しい空気が漂っていた。

しかし、グーラン&撫子なでしこの“陽気なコンビ”によって、明るさを保つ事が出来たようだ。

また、ウッドゴーレム以外のサーヴァントらが喋れるようになったので、より賑やかになっている。

これらによって、全体的に暗く沈まずに済んでいた。


砂漠にも魔物は出現するようだ。

例えば、[ワーム]という“蠕虫ぜんちゅう”である。

個体差にもよるが、直径は50㎝~1.5Mで、長さが2M~10Mといった、巨大な虫であり、円形の口には何本もの鋭い牙が見受けられた。

また、全長が5Mを超える[サソリ]や、同じぐらいの大きさで体の至る所が尖っている[ツノトカゲ]も生息している。

他に、5M~15Mという長さで“コブラ”みたいな容姿の[バジリスク]に、2M~5Mといった[ハゲワシ]も、襲撃してきた。

紫蓮たちは、そういう類を倒しつつ、北上していく。


カーチーに入国して二日が過ぎている。

砂漠地帯を抜けたあたりで、ペイニーが、フードを脱ぎ、顔の布を、左手で〝グイッ〟と下げて、

「今度は、石が〝ゴロゴロ〟と転がっているわね。」

眉間にシワを寄せた。

これに、ランソワが、

「確か、この国は、“採石場”が割と多いはずですわよ。」

記憶を辿ったのである。

「あー、〝上質な岩が豊富だ〟って、ガキん頃に聞いたことあったな。」

そう述べたのは、グーランだ。

この情報に、

「“いわ”ですか。」

タリアノが、顎に右手を当て、〝ふむ〟と、何かしら考え込んでいた……。


ハーリマーの首都を発ってから約一ヶ月後。

草原地帯にて、

「見えてきましたね。」

涼音すずねが微笑む。

紫蓮らの視線の先には、目的地である[カーチーの首都]が確認できた―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

処理中です...