GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第四章・西陸行路 ―

第137話 荒れし山城にて

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受け付け窓口の“兎の獣人”によれば、

「皆さんが、こちらに訪れる2時間ほど前に、都の正規兵1000名と、冒険者150人が、北西の古城へと出発している筈ですよ。」
「予定では。」
「ですので、今から追いかければ、どこかで合流できるかもしれませんね。」

との事であった。

紫蓮しれんたちは、相談の結果、このクエストを受けることにしたようだ。

それは決して、先んじて廃城へと向かった者らを当てにした訳ではない。

[GOD SLAYER’S]のサーヴァント達も含めれば、どうにかなるであろうとの、希望的観測からだった。


あれから二日後。

紫蓮たちは、首都の北門を出て、目的地へと足を運んでいた。

道中、テント(ゲル)で一泊し、更に歩く。

こうして、ギルドで受注してから三日目のPM13:30頃に、山の麓へと到着したのである。

「結局、“先発隊”には会わなかったわね。」

ペイニーが軽く周囲を見回した。

「うむ。」
「とっくに、山頂へと登っていったのであろう。」

撫子なでしこが述べ、

「俺らも続こうぜ!」

グーランが促す。

「ああ。」

応えた紫蓮を筆頭に、入山する一同であった……。


日が暮れていく。

みなが頂上に近づくにつれて、叫んだり怒鳴ったりしている声と、ぶつかり合う金属にスキルや魔法が放たれる音が、大きくなってきた。

「イナバ―ンの正規兵と、冒険者が、既に戦闘を開始していたようですね。」

涼音すずねが推測し、

「ええ。」
「きっと間違いないですわ。」

ランソワが同意する。

振り返った紫蓮が、

「気を引き締めていくぞ。」

後方に告げ、全員が頷く。


いただきは、切り拓かれおり、割と広い。

そこに建築されていた城壁も、三階建ての城も、用いられていた“灰色の石”の多くが、地面に落ちていた。

風化もあるのだろうが、この場所で何度か繰り広げられたバトルにもよるものかと思われる。

「まずは、事前の打ち合わせどおり、配置を整えましょう。」

発案者であるタリアノの言葉に従い、誰もが陣を備えていく。

それは…、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

               紫蓮とサーヴァント達

              グーランとサーヴァント達

 ペイニーとサーヴァント達   ピースメーカーズ   撫子とサーヴァント達

               涼音とサーヴァント達

    ランソワとサーヴァント達        タリアノとサーヴァント達

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

このようなものであった。

紫蓮・来夢らいむ権蔵ごんぞう新羅しんら夜摩やま美麗みれいが、最前を請け負っている。

グーラン/ペイニー/撫子/涼音の各グループは、六人組の少年少女を護りつつ戦う。

ランソワとタリアノらは、後方支援といったところだ。


戦闘用の装備をまとった紫蓮たちは、城内を進んでいる。

朽ち果てた建物の、あちらこちらに、人間や獣人に半獣の遺体が横たわっていた。

また、それなりの数の[魔鉱石]も転がっている。

この惨状によって、討伐隊とモンスター達が激しく争ったことが窺えた。

それを目にしつつ、彼らは、より騒がしい方へと向かっていく―。
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