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― 第四章・西陸行路 ―
第135話 夏の終わりに・前編
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ランソワが[GOD SLAYER’S]に加入して約一ヶ月が経っている。
季節は初秋であるため、まだまだ残暑が厳しい。
[イナバ―ンの首都]の“南大通り”を歩きながら、それぞれが会話に花を咲かせるなか、一人だけ何やら考え込んでいた金髪の少年騎士が、
「あの、さ!」
「ちょっと、いいかな??」
皆に声を掛けた。
「どうした? ロンド―。」
「腹でも痛てぇのか??」
首を傾げるグーランに、
「違ぇスよッ!!」
少年騎士がツッコむ。
「そうじゃなくって……。」
「俺ら、もうじき、お別れじゃないっすか?」
「だから、“ハーリマーの都”に着く前に、全員で〝冒険者らしいクエスト〟を受けときたいなって思ったんスよ。」
「兄貴たちや、姐御がたとの、旅を、忘れないようにするためにも、イベント的なことを一緒に体験しときたくって。」
やや照れくさそうにロンド―が述べたところ、
「ふむ。」
「悪くないな。」
「どうだろう? 紫蓮。」
「その望み、叶えてやるのは!!」
撫子が味方に付いてくれたのである。
「でも、私たちは、“カーチーの国主”に書状を届けなければいけないので…。」
「お手紙を預かっているランソワ次第でしょう。」
涼音が視線を送る。
彼女と目が合ったランソワが、
「私は構いませんよ。」
「そこまで急ぐ必要はなさそうですし。」
優しく微笑んだ。
「ペイニーと、タリアノは、賛成か??」
グーランが確認してみたら、
「ま、面白そうだしね。」
「紫蓮が良いのであれば。」
との事だった。
誰もが注目するなか、
「じゃあ……、ギルドを訪ねてみるか?」
紫蓮が方針を定める。
これに、[PEACE MAKER’S]の六人が、
「うん!!」
「はい!」
などといった感じで、瞳を輝かせながら頷いた…。
時刻はAM11:00を回ったあたりだ。
一同は、南区に在る三階建てのギルドに赴いていた。
サーヴァント達は、いつものように外で待機している。
ちなみに、1Fの受付窓口は五つ程のようだ。
紫蓮たちは、壁に貼られている“クエスト用紙”をチェックしていた。
すると、一枚の紙に、
「!!」
「“成れの果て”だと!?」
紫蓮が釘付けになったのである。
ルーシャ(赤髪ボブショートの少女武闘家)が、
「“成れの果て”って、なんですか??」
質問したところ、
「〝神を喰った結果、容姿が変わってしまったうえに、知能が著しく低下した魔物〟よ。」
ペイニーが教えてくれた。
この流れで、
「あれって、確か……、攻撃を仕掛けさえしなければ、危険は無いんじゃなかったっけ?」
グーランが、左隣のタリアノに尋ねる。
「ええ。」
「ですが…、“成れの果て”の元には、至る所から様々なモンスター達が集まってくるそうです。」
「まるで、惹かれるかのように。」
「これを放置しておくと、後々、問題が起きかねないので、どの国でも〝討伐するのが常〟となっています。」
タリアノの説明に、
「私も、子供の頃に聞いたことがありますわ。」
ランソワが続き、
「私もよ。」
ペイニーが首を縦に振った。
更には、撫子が、
「我が祖国でも〝過去に戦った事がある〟と言っていた人たちがいたな。」
「“忍者マスター”であったり……。」
記憶を辿ったのである。
暫しの沈黙を破り、
「取り敢えず…、詳しい情報を得る為に、窓口に行ってみよう。」
紫蓮が促した―。
季節は初秋であるため、まだまだ残暑が厳しい。
[イナバ―ンの首都]の“南大通り”を歩きながら、それぞれが会話に花を咲かせるなか、一人だけ何やら考え込んでいた金髪の少年騎士が、
「あの、さ!」
「ちょっと、いいかな??」
皆に声を掛けた。
「どうした? ロンド―。」
「腹でも痛てぇのか??」
首を傾げるグーランに、
「違ぇスよッ!!」
少年騎士がツッコむ。
「そうじゃなくって……。」
「俺ら、もうじき、お別れじゃないっすか?」
「だから、“ハーリマーの都”に着く前に、全員で〝冒険者らしいクエスト〟を受けときたいなって思ったんスよ。」
「兄貴たちや、姐御がたとの、旅を、忘れないようにするためにも、イベント的なことを一緒に体験しときたくって。」
やや照れくさそうにロンド―が述べたところ、
「ふむ。」
「悪くないな。」
「どうだろう? 紫蓮。」
「その望み、叶えてやるのは!!」
撫子が味方に付いてくれたのである。
「でも、私たちは、“カーチーの国主”に書状を届けなければいけないので…。」
「お手紙を預かっているランソワ次第でしょう。」
涼音が視線を送る。
彼女と目が合ったランソワが、
「私は構いませんよ。」
「そこまで急ぐ必要はなさそうですし。」
優しく微笑んだ。
「ペイニーと、タリアノは、賛成か??」
グーランが確認してみたら、
「ま、面白そうだしね。」
「紫蓮が良いのであれば。」
との事だった。
誰もが注目するなか、
「じゃあ……、ギルドを訪ねてみるか?」
紫蓮が方針を定める。
これに、[PEACE MAKER’S]の六人が、
「うん!!」
「はい!」
などといった感じで、瞳を輝かせながら頷いた…。
時刻はAM11:00を回ったあたりだ。
一同は、南区に在る三階建てのギルドに赴いていた。
サーヴァント達は、いつものように外で待機している。
ちなみに、1Fの受付窓口は五つ程のようだ。
紫蓮たちは、壁に貼られている“クエスト用紙”をチェックしていた。
すると、一枚の紙に、
「!!」
「“成れの果て”だと!?」
紫蓮が釘付けになったのである。
ルーシャ(赤髪ボブショートの少女武闘家)が、
「“成れの果て”って、なんですか??」
質問したところ、
「〝神を喰った結果、容姿が変わってしまったうえに、知能が著しく低下した魔物〟よ。」
ペイニーが教えてくれた。
この流れで、
「あれって、確か……、攻撃を仕掛けさえしなければ、危険は無いんじゃなかったっけ?」
グーランが、左隣のタリアノに尋ねる。
「ええ。」
「ですが…、“成れの果て”の元には、至る所から様々なモンスター達が集まってくるそうです。」
「まるで、惹かれるかのように。」
「これを放置しておくと、後々、問題が起きかねないので、どの国でも〝討伐するのが常〟となっています。」
タリアノの説明に、
「私も、子供の頃に聞いたことがありますわ。」
ランソワが続き、
「私もよ。」
ペイニーが首を縦に振った。
更には、撫子が、
「我が祖国でも〝過去に戦った事がある〟と言っていた人たちがいたな。」
「“忍者マスター”であったり……。」
記憶を辿ったのである。
暫しの沈黙を破り、
「取り敢えず…、詳しい情報を得る為に、窓口に行ってみよう。」
紫蓮が促した―。
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