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― 第四章・西陸行路 ―
第134話 真夏を往く
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紫蓮たちは、[イッズーモの首都]の北門を目指している。
この道中、撫子が、
「なぁ、ランソワ。」
「あくまで素朴な疑問なのだが…。」
「そなたの一族は“エルフの血筋”なのか??」
と、尋ねた。
それに、
「はい。」
「私の、お祖母様が、エルフとの“クォーター”ですので。」
ランソワが答える流れで、寿命に関して教えてくれる。
例えば……、“純血のエルフ”は800~1000年は生きるのだそうだ。
ハーフの一生涯は400~500年で、クォーターは200~250年といったとこらしい。
クォーターの子や孫は生きたとしても100~150年なのだそうだ。
無論、純血であれ、混血であれ、病や戦などで短命に終わる者もいるとの話しであった。
グーランの、
「でも、まぁ、通常であれば人間よりも長く生きられるんだろ。」
「それって、幸せなことだよなぁ。」
との発言に、
「どうでしょうか?」
軽く首を傾げたランソワが、
「お祖母様は、私などよりも長寿のため、ご自身の子孫が先に旅立つのを見送らねばなりません。」
「それは、きっと、辛く悲しい事でしょう。」
寂しげに胸中を吐露したのである。
暫しの沈黙のあと、
「今のは、完全に、あんたが悪いわよ、グーラン。」
ペイニーが口を開き、涼音が、
「確かに、そうですね。」
同意した。
「いや、その、悪気は無かったんだけど…、すまなかった!」
グーランが頭を下げ、
「いえいえ、私の方こそ、皆さんを暗くさせてしまったようで、申し訳ございません。」
ランソワも謝る。
「ん~、これは、あれだな。」
「お詫びのしるしとして、今日の晩ご飯は、グーランの奢りということで手を打とう!!」
「当然、全員分!」
撫子の提案に、
「なんでだよ!?」
「ランソワだけ……、いいや、出したとしてランソワのサーヴァント達まで、だろッ!!」
「お前らは割り勘にすべきだ!」
グーランが主張する。
「ふッ、男らしくないのぉう。」
「年長者だというに、器が小さいわッ!!」
撫子が挑発したところ、
「なにをッ!」
「上等だ!!」
「まとめて支払ってやらぁッ!」
乗ってしまい、
「あ!!」
「しまった…。」
我に返って後悔するグーランに、誰もが笑う。
ペイニーと涼音による、
「単純よねぇ~。」
「ええ、本当に。」
との喋り声が聞こえてくるなか、
「だいぶ賑やかになりましたね。」
タリアノが述べ、
「ああ、そうだな。」
紫蓮が、にこやかに頷く……。
都を出た紫蓮らは、“北西”に位置する[イナバ―ン国]へと進路を取っていた。
その国の北隣に[ハーリマー国]が在るため。
つまり、[ピース・メーカーズ]の目的地であるハーリマーに辿り着くには、イナバ―ンを通過する必要があるのだ。
何はともあれ、時折、襲ってくる賊や魔物どもを蹴散らしながら、紫蓮達は冒険を続けていく。
ランソワは、戦闘の際に、グリーンを基調とした“エルフ服”と、白銀のサークレット/胸当て/肘当て/籠手/膝当て/脛当て、といった装備になる。
武器は、弓の上部に“槍の穂(刀身)”が付属している[弭槍]だ。
ランソワが弓を構えて弦を引くと、何も無かった場所からオレンジ色とホワイト色が入り混じったかのような“矢”が出現する。
この“不思議な矢”が、生命体や物質に当たると、[爆発]を起こす。
範囲は、直径2.5Mのようだ。
今のところは。
また、槍の部分で突かれたり斬られたりしても、爆発が発生する。
規模は小さめだが。
いずれにしろ、黒髪ボブの少女こと真凪は、ランソワに稽古をつけてもらうようになって、弓矢の腕前が上達しているみたいだ。
そんなこんなで、夏の日差しが強まっていくなか、こまめに休憩を取りつつ、旅路を進んでいく紫蓮たちであった―。
この道中、撫子が、
「なぁ、ランソワ。」
「あくまで素朴な疑問なのだが…。」
「そなたの一族は“エルフの血筋”なのか??」
と、尋ねた。
それに、
「はい。」
「私の、お祖母様が、エルフとの“クォーター”ですので。」
ランソワが答える流れで、寿命に関して教えてくれる。
例えば……、“純血のエルフ”は800~1000年は生きるのだそうだ。
ハーフの一生涯は400~500年で、クォーターは200~250年といったとこらしい。
クォーターの子や孫は生きたとしても100~150年なのだそうだ。
無論、純血であれ、混血であれ、病や戦などで短命に終わる者もいるとの話しであった。
グーランの、
「でも、まぁ、通常であれば人間よりも長く生きられるんだろ。」
「それって、幸せなことだよなぁ。」
との発言に、
「どうでしょうか?」
軽く首を傾げたランソワが、
「お祖母様は、私などよりも長寿のため、ご自身の子孫が先に旅立つのを見送らねばなりません。」
「それは、きっと、辛く悲しい事でしょう。」
寂しげに胸中を吐露したのである。
暫しの沈黙のあと、
「今のは、完全に、あんたが悪いわよ、グーラン。」
ペイニーが口を開き、涼音が、
「確かに、そうですね。」
同意した。
「いや、その、悪気は無かったんだけど…、すまなかった!」
グーランが頭を下げ、
「いえいえ、私の方こそ、皆さんを暗くさせてしまったようで、申し訳ございません。」
ランソワも謝る。
「ん~、これは、あれだな。」
「お詫びのしるしとして、今日の晩ご飯は、グーランの奢りということで手を打とう!!」
「当然、全員分!」
撫子の提案に、
「なんでだよ!?」
「ランソワだけ……、いいや、出したとしてランソワのサーヴァント達まで、だろッ!!」
「お前らは割り勘にすべきだ!」
グーランが主張する。
「ふッ、男らしくないのぉう。」
「年長者だというに、器が小さいわッ!!」
撫子が挑発したところ、
「なにをッ!」
「上等だ!!」
「まとめて支払ってやらぁッ!」
乗ってしまい、
「あ!!」
「しまった…。」
我に返って後悔するグーランに、誰もが笑う。
ペイニーと涼音による、
「単純よねぇ~。」
「ええ、本当に。」
との喋り声が聞こえてくるなか、
「だいぶ賑やかになりましたね。」
タリアノが述べ、
「ああ、そうだな。」
紫蓮が、にこやかに頷く……。
都を出た紫蓮らは、“北西”に位置する[イナバ―ン国]へと進路を取っていた。
その国の北隣に[ハーリマー国]が在るため。
つまり、[ピース・メーカーズ]の目的地であるハーリマーに辿り着くには、イナバ―ンを通過する必要があるのだ。
何はともあれ、時折、襲ってくる賊や魔物どもを蹴散らしながら、紫蓮達は冒険を続けていく。
ランソワは、戦闘の際に、グリーンを基調とした“エルフ服”と、白銀のサークレット/胸当て/肘当て/籠手/膝当て/脛当て、といった装備になる。
武器は、弓の上部に“槍の穂(刀身)”が付属している[弭槍]だ。
ランソワが弓を構えて弦を引くと、何も無かった場所からオレンジ色とホワイト色が入り混じったかのような“矢”が出現する。
この“不思議な矢”が、生命体や物質に当たると、[爆発]を起こす。
範囲は、直径2.5Mのようだ。
今のところは。
また、槍の部分で突かれたり斬られたりしても、爆発が発生する。
規模は小さめだが。
いずれにしろ、黒髪ボブの少女こと真凪は、ランソワに稽古をつけてもらうようになって、弓矢の腕前が上達しているみたいだ。
そんなこんなで、夏の日差しが強まっていくなか、こまめに休憩を取りつつ、旅路を進んでいく紫蓮たちであった―。
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