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― 第四章・西陸行路 ―
第132話 弓の女王
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二日後のPM13:00過ぎ――。
紫蓮らは、件のギルドに訪れていた。
例の如く、サーヴァント達と[ピースメーカーズ]は外で待機している。
その建物は石造りで、1Fが受け付けになっていた。
室内は、なかなかに広い。
壁に貼られている“クエスト用紙”を確認している人間や獣人に半獣もいれば、窓口で、何やら話し込んでいたり、報酬を貰っている者たちもいるようだ。
ちなみに、受付窓口は1番から10番まで設けられている。
紫蓮達は、たまたま空いていた8番の窓口へと足を運ぶ。
白髪交じりで50代前半ぐらいの男性が、
「本日は、どのようなご用向きでしょうか?」
穏やかに尋ねてきた。
割と紳士的な印象である。
「あー、ええっと…、うちの爺さんから“弓の女王”への手紙を預かってきたんで、会わせてくんねぇかな??」
大雑把すぎるグーランの説明に、
「はぁ?」
流石のジェントルマンも困惑したみたいだ。
見兼ねたタリアノが、
「彼の祖父は、騎士王とも呼ばれている“ビーゼェーンの国主”です。」
さり気なくフォローし、
「!」
「少々お待ちください。」
一礼した担当者が奥へと引っ込む。
おそらく、誰かに伝えに行ったのだろう。
数十秒後。
男性と共に現れたのは、[ゴッド・スレイヤーズ]の面々と同じぐらいの年齢と思しき女性だった。
身長は167~168㎝といったところだ。
腰あたりまでの長さがある髪は“白金色”である。
また、肌も透き通るように白く美しい。
瞳はライトグリーンで、耳は僅かに尖っているようだ。
この女性が、
「今、ご案内しますので、あちらの扉まで、どうぞ。」
軽く会釈した後に、そのドアの反対側へと回り込むべく移動する。
彼女が指示した扉は、10番窓口の側に在り、“STAFF ONLY”とのプレートが付けられていた。
ドアへと歩きながら、
「噂に聞いた事のある“エルフ”だろうか??」
撫子が疑問を口にした。
これに対して、
「んんー、……、純血であれば、髪は濃い金色、瞳は深緑、で、耳の先端がもっと鋭いわよ。」
「だから、多分、混血なんでしょうけど…、“ハーフエルフ”なら、銀色の髪に、群青色の瞳、だし?」
ペイニーが首を傾げる。
そこへ、〝ガチャッ〟という鍵の音が聞こえてきた。
ドアを開けつつ顔を覗かせた女性が、
「それでは、お祖母様の所まで、ご一緒しましょう。」
〝ニッコリ〟と微笑む…。
紫蓮達は、階段を上がり、四階の広間に赴いていた。
2Fは従業員のロッカールームや休憩室に仮眠室となっており、3Fには資料室と執務室が幾つか在るのだそうだ。
さて。
アンティークなディスク席では、ベリーショートの髪型である女性が、タリアノから渡った書状を黙読している。
白銀の髪・ライトブルーの瞳・少し尖った耳という特徴の彼女こそが、ここのギルド長を務める[弓の女王]であった。
40代半ばくらいに見えるが、おそらくは、もっと年上であろう。
彼女の左側には、30代後半といった感じの男女が佇んでいる。
男性の髪と瞳はブラウンだが、女性は、白金の髪と、ライトブルーの瞳だった。
ギルド長の右側には、紫蓮らを連れてきてくれた女性と、10代前半の少年が、立っている。
その少年の髪も白金ではあるが、瞳はライトグリーンのようだ。
30代の女性も、10代の男性も、耳の先端が僅かに尖っている。
誰もが静観するなか、机の上に手紙を〝そっ〟と置いた[弓の女王]が、
「“イングーラ”に、“名も無き旅団”とは……、懐かしいわね。」
どこか嬉しそうに目を細めたのだった―。
紫蓮らは、件のギルドに訪れていた。
例の如く、サーヴァント達と[ピースメーカーズ]は外で待機している。
その建物は石造りで、1Fが受け付けになっていた。
室内は、なかなかに広い。
壁に貼られている“クエスト用紙”を確認している人間や獣人に半獣もいれば、窓口で、何やら話し込んでいたり、報酬を貰っている者たちもいるようだ。
ちなみに、受付窓口は1番から10番まで設けられている。
紫蓮達は、たまたま空いていた8番の窓口へと足を運ぶ。
白髪交じりで50代前半ぐらいの男性が、
「本日は、どのようなご用向きでしょうか?」
穏やかに尋ねてきた。
割と紳士的な印象である。
「あー、ええっと…、うちの爺さんから“弓の女王”への手紙を預かってきたんで、会わせてくんねぇかな??」
大雑把すぎるグーランの説明に、
「はぁ?」
流石のジェントルマンも困惑したみたいだ。
見兼ねたタリアノが、
「彼の祖父は、騎士王とも呼ばれている“ビーゼェーンの国主”です。」
さり気なくフォローし、
「!」
「少々お待ちください。」
一礼した担当者が奥へと引っ込む。
おそらく、誰かに伝えに行ったのだろう。
数十秒後。
男性と共に現れたのは、[ゴッド・スレイヤーズ]の面々と同じぐらいの年齢と思しき女性だった。
身長は167~168㎝といったところだ。
腰あたりまでの長さがある髪は“白金色”である。
また、肌も透き通るように白く美しい。
瞳はライトグリーンで、耳は僅かに尖っているようだ。
この女性が、
「今、ご案内しますので、あちらの扉まで、どうぞ。」
軽く会釈した後に、そのドアの反対側へと回り込むべく移動する。
彼女が指示した扉は、10番窓口の側に在り、“STAFF ONLY”とのプレートが付けられていた。
ドアへと歩きながら、
「噂に聞いた事のある“エルフ”だろうか??」
撫子が疑問を口にした。
これに対して、
「んんー、……、純血であれば、髪は濃い金色、瞳は深緑、で、耳の先端がもっと鋭いわよ。」
「だから、多分、混血なんでしょうけど…、“ハーフエルフ”なら、銀色の髪に、群青色の瞳、だし?」
ペイニーが首を傾げる。
そこへ、〝ガチャッ〟という鍵の音が聞こえてきた。
ドアを開けつつ顔を覗かせた女性が、
「それでは、お祖母様の所まで、ご一緒しましょう。」
〝ニッコリ〟と微笑む…。
紫蓮達は、階段を上がり、四階の広間に赴いていた。
2Fは従業員のロッカールームや休憩室に仮眠室となっており、3Fには資料室と執務室が幾つか在るのだそうだ。
さて。
アンティークなディスク席では、ベリーショートの髪型である女性が、タリアノから渡った書状を黙読している。
白銀の髪・ライトブルーの瞳・少し尖った耳という特徴の彼女こそが、ここのギルド長を務める[弓の女王]であった。
40代半ばくらいに見えるが、おそらくは、もっと年上であろう。
彼女の左側には、30代後半といった感じの男女が佇んでいる。
男性の髪と瞳はブラウンだが、女性は、白金の髪と、ライトブルーの瞳だった。
ギルド長の右側には、紫蓮らを連れてきてくれた女性と、10代前半の少年が、立っている。
その少年の髪も白金ではあるが、瞳はライトグリーンのようだ。
30代の女性も、10代の男性も、耳の先端が僅かに尖っている。
誰もが静観するなか、机の上に手紙を〝そっ〟と置いた[弓の女王]が、
「“イングーラ”に、“名も無き旅団”とは……、懐かしいわね。」
どこか嬉しそうに目を細めたのだった―。
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