126 / 303
― 第四章・西陸行路 ―
第126話 ビーゼェーン国
しおりを挟む
[ビーゼェーン国]は、“西の大陸”の最南端に位置している。
そんなビーゼェーン国の南に拠を構える港町にて、大食堂での朝食を済ませた一同は、首都へと北上していた。
幅広の“土の道”を歩きながら、撫子が、
「ふ…む?」
「〝西の大陸は、砂漠が多い〟と、かつて聞いた事があったが……。」
「基本的に草原が広がっているし、遠くには森林も見受けられる。」
「あれは、嘘の情報だったのだろうか??」
首を傾げる。
これに、
「この大陸の〝南方の国々は土地が豊かで、中央の諸国が砂漠地帯になっており、北方の各国は冬になると雪が降り積もる〟と、書物で読んだことがあります。」
タリアノが述べた。
「あー、うん、そうね。」
頷いたペイニーが、
「私が子供の頃に、うちのギルドに来た事がある冒険者たちが西の大陸出身で、そんな話しを聞かせてくれたから、きっと間違いないわ。」
そう補足する。
涼音の、
「やはり、砂漠は、暑いのでしょうか?」
との疑問に、
「日中は、そうみたいですが…、夜は冷え込むみたいですよ。」
タリアノが答えた。
「そういやぁ、お前達が目指してる国って、どこだ??」
紫蓮が訊ねたところ、[PEACE MAKER’S]のリーダーであるロンド―が、
「ん?」
「言ってなかったスか??」
「“ハーリマー国”っす。」
「紫蓮の兄貴。」
と、返したのである。
「そこは、どのような国なのだ?」
撫子の問いには、
「“ドワーフの国”で、他にも、人間や獣人など、腕の立つ職人に錬金術師が集まっているそうですよ。」
「撫子の姐御。」
赤髪ボブショートの少女武闘家であるルーシャが説明した。
「何故、その国に赴こうとしているんです??」
涼音が尋ねてみたら、茶髪坊主の少年戦士であるヌラーバが、
「僕らが居た孤児院の、院長が、古くからの友人を紹介してくれたんだけど……、その人が〝ハーリマーの都で生活している親戚に、手紙を届けて欲しい〟って、報酬の前払いで発注してくれたんですよ、涼音の姐御。」
このように伝えたのである。
黒髪ボブの少女弓術士である真凪の、
「私たちの年齢や実績だと、ギルドで受けられるのは、畑仕事とか、川や池の掃除だったり、逃げ出したペットの捜索みたいなのしか、ないから…、ロンド―が〝そんなの冒険者らしくない〟って駄々をこねていたのを、見かねた院長が、親友の方に頼んでくれたんじゃないかな?」
そういった予想に、
「え?!」
「マジで??」
ロンド―が驚いて、黒髪ショートヘアーの少年クレリックである悟に視線を送ったところ、
「うん。」
と肯定された。
「まぁ、ロンド―以外は、みぃんな、気付いてたけどね。」
茶髪セミロングの少女魔法使いであるララベーリャの指摘に、
「嘘……。」
「なんか、俺だけバカみたいで、ショックだわ。」
ヘコんだ少年騎士を、
「ロンド―は、それぐらいで丁度いいよ。」
少年戦士が慰める。
「いや、フォローになってねぇよ、ヌラーバ。」
ロンド―が顔を引きつらせ、
「そぉう?」
ヌラーバが惚けたことによって、周囲に笑いが生まれていた…。
[GOD SLAYER’S]が、自分達のテント(ゲル)を、六人の少年少女らにも使わせようとしたものの、
「俺らは、男と女のチームで、ゲルを一つずつ購入しているから、大丈夫っス。」
ロンド―が断ったのである。
しかし、テントの所有者であるタリアノが、
「遠慮する必要はありませんよ。」
と、勧めたので、利用させてもらう事にしたようだ。
結果、〝この選択は正しかった〟とロンド―たちは思ったのである。
なぜなら、快適なので。
日々、鍛錬を積んだり、遭遇した魔物や賊を倒しつつ、北へ進むこと半月。
紫蓮達は、ビーゼェーンの首都に到着したのであった―。
そんなビーゼェーン国の南に拠を構える港町にて、大食堂での朝食を済ませた一同は、首都へと北上していた。
幅広の“土の道”を歩きながら、撫子が、
「ふ…む?」
「〝西の大陸は、砂漠が多い〟と、かつて聞いた事があったが……。」
「基本的に草原が広がっているし、遠くには森林も見受けられる。」
「あれは、嘘の情報だったのだろうか??」
首を傾げる。
これに、
「この大陸の〝南方の国々は土地が豊かで、中央の諸国が砂漠地帯になっており、北方の各国は冬になると雪が降り積もる〟と、書物で読んだことがあります。」
タリアノが述べた。
「あー、うん、そうね。」
頷いたペイニーが、
「私が子供の頃に、うちのギルドに来た事がある冒険者たちが西の大陸出身で、そんな話しを聞かせてくれたから、きっと間違いないわ。」
そう補足する。
涼音の、
「やはり、砂漠は、暑いのでしょうか?」
との疑問に、
「日中は、そうみたいですが…、夜は冷え込むみたいですよ。」
タリアノが答えた。
「そういやぁ、お前達が目指してる国って、どこだ??」
紫蓮が訊ねたところ、[PEACE MAKER’S]のリーダーであるロンド―が、
「ん?」
「言ってなかったスか??」
「“ハーリマー国”っす。」
「紫蓮の兄貴。」
と、返したのである。
「そこは、どのような国なのだ?」
撫子の問いには、
「“ドワーフの国”で、他にも、人間や獣人など、腕の立つ職人に錬金術師が集まっているそうですよ。」
「撫子の姐御。」
赤髪ボブショートの少女武闘家であるルーシャが説明した。
「何故、その国に赴こうとしているんです??」
涼音が尋ねてみたら、茶髪坊主の少年戦士であるヌラーバが、
「僕らが居た孤児院の、院長が、古くからの友人を紹介してくれたんだけど……、その人が〝ハーリマーの都で生活している親戚に、手紙を届けて欲しい〟って、報酬の前払いで発注してくれたんですよ、涼音の姐御。」
このように伝えたのである。
黒髪ボブの少女弓術士である真凪の、
「私たちの年齢や実績だと、ギルドで受けられるのは、畑仕事とか、川や池の掃除だったり、逃げ出したペットの捜索みたいなのしか、ないから…、ロンド―が〝そんなの冒険者らしくない〟って駄々をこねていたのを、見かねた院長が、親友の方に頼んでくれたんじゃないかな?」
そういった予想に、
「え?!」
「マジで??」
ロンド―が驚いて、黒髪ショートヘアーの少年クレリックである悟に視線を送ったところ、
「うん。」
と肯定された。
「まぁ、ロンド―以外は、みぃんな、気付いてたけどね。」
茶髪セミロングの少女魔法使いであるララベーリャの指摘に、
「嘘……。」
「なんか、俺だけバカみたいで、ショックだわ。」
ヘコんだ少年騎士を、
「ロンド―は、それぐらいで丁度いいよ。」
少年戦士が慰める。
「いや、フォローになってねぇよ、ヌラーバ。」
ロンド―が顔を引きつらせ、
「そぉう?」
ヌラーバが惚けたことによって、周囲に笑いが生まれていた…。
[GOD SLAYER’S]が、自分達のテント(ゲル)を、六人の少年少女らにも使わせようとしたものの、
「俺らは、男と女のチームで、ゲルを一つずつ購入しているから、大丈夫っス。」
ロンド―が断ったのである。
しかし、テントの所有者であるタリアノが、
「遠慮する必要はありませんよ。」
と、勧めたので、利用させてもらう事にしたようだ。
結果、〝この選択は正しかった〟とロンド―たちは思ったのである。
なぜなら、快適なので。
日々、鍛錬を積んだり、遭遇した魔物や賊を倒しつつ、北へ進むこと半月。
紫蓮達は、ビーゼェーンの首都に到着したのであった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる