GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第115話 騒動の顛末

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B班が戦っていた場所の西側に、同じくらいの大きさの部屋が在った。

そこの南北には扉が一つずつ見受けられる。

おそらく、廊下に通じているのだろう。

この大部屋の西側に、3Fへと繋がる幅広の階段が設けられていた。

のぼるとしよう。」

ルギーを先頭に、B班が進んでいく……。


彼女たちが三階に到着したところ、グリュー率いるA班と、砦の西方面から侵入していたしのびたちが、何者かを取り囲んでいた。

床の、あちらこちらには、忍び装束姿の獣人・・が転がっている。

グリュー達が円になっている中心には、上半身を縄で縛られた“鳥型の忍者”が正座させられていた。

「お、来たか。」

B班に気付いたグリューが声を掛ける。

「お縄になっているのは…、タカ、かい?」

ルギーが聞いてみたら、サッツゥ―の忍である“鹿毛かげ馬の獣人”が、

「いや、トビだ。」
「国や地域によっては“トンビ”と呼ばれている。」
「……、コイツは、我らの里の“にん”だ。」

と、返した。


イーガー/サッツゥー/ヒーゴンの面子と、A班は、二階の通路で合流したらしい。

その後、3Fへと赴き、敵を壊滅させ、親玉を捕らえたのだそうだ。

この“鳶”は、もともと、“サッツゥーの忍びの里”における幹部の一体であった。

およそ一年前に、頭領である“はやぶさの獣人”と、ささいな事から衝突し、〝気にくわない〟との理由で、50数の部下を引き連れて、里から出っていったのだそうだ。

グリューらの尋問によると…、里を抜けてからは、各地を旅しつつ、忍者としての仕事を請け負うとしたものの上手くいかず、〝サッツゥーとイーガーの忍たちを共倒れさせよう〟と悪巧みしたらしい。

なにせ、ここ“南陸なんりく”では、人間などが忍者を雇う場合、サッツゥーかイーガーに依頼するのが当たり前になっていたので。

また、ヒーゴンの“隠密隊”のように、お抱えの組織を有する国も、幾らか存在している。

要は、新たな集団は知名度が低く信用してもらえないため、行く先々で断られてしまい、サッツゥーとイーガーを潰し合わせようとの考えに至ったとのことだった。

自分たちが、忍びの商売を独占するために。

完全な“逆恨み”である。

ただ、それが失敗に終わってしまい、何処かに身を隠そうと逃げていた際に、“赤いミノタウロス”に遭遇したらしい。

レッドミノタウロスは、強さを求めて、いろんな地域を渡り歩いていたそうだ。

サッツゥーの抜け忍らともバトルになりかけたが、〝このミノタウロスを味方につけよう〟と思った鳶が交渉し、承諾させたとの経緯いきさつである。

賊と魔物どもを従えた流れで、ナーガァートゥーの砦を抑え、それを拠点に一大勢力を築くつもりだったものの、[討伐連合隊]によって、この計画も頓挫とんざしてしまった。

ちなみに、海沿いの砦を選んだのは、いざという時に船で別の場所へと移動するためだったらしい。

しかし、連合隊が東西南北から同時に攻め込んだため、脱出は不可能になったのである……。

撫子なでしこが、

「それで??」
「この者の処罰は、どうするのだ?」

イーガー国主の息子である“真成まさなり”に伺ってみたところ、

「ああ、…、さっき、父に連絡してみたところ、〝判断は、サッツゥーに委ねる〟って言ってたから、あとは任せる事にした。」

このように説明した。

彼と目が合った“馬の獣人”が頷き、

「我々の頭領に引き渡して沙汰を仰ぐが……、死刑は免れんだろうな。」

と述べる。

首謀者たる“鳶”は、力なく項垂うなだれていた―。
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