GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第114話 各々の発達

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息絶えたレッドミノタウロスが消滅したところ、紫蓮しれんのサーヴァント達の全身が〝カッ!〟と光った。

次の瞬間、それぞれに進化しんかしたのである。


来夢らいむは、身長が165㎝になったが、容姿は17歳前後のままだ。

ただ、全体的に黄色きいろくなっていた。


権蔵ごんぞうの背丈は一気に伸びて、170㎝ぐらいになっている。

髪の毛は肩あたりまでの長さになったみたいだ。

見ためは18歳前後といったところだろう。


2.5Mだった新羅しんらは、倍の5Mになった。


夜摩やまは4Mに、美麗みれいは3.5Mに、なっている。


来夢・権蔵・夜摩の成長に合わせて、防具のサイズが自動的に大きくなっていた。

「ちょっと待て。」
「一度、整理させてくれ。」
「……、来夢と権蔵の装備品は、かつての進化後に、そういう物・・・・・を買ってあげていたが…、夜摩は?」

紫蓮が首を傾げたところ、

「吾輩のは、祖父から父へと受け継いできた代物であります。 あるじよ。」

ブラックミノタウロスが述べたのである。

「お前……、喋れるようになったのか??」

少なからず驚く紫蓮に、頷いた夜摩が、

「吾輩の祖父は、数十年前にサーヴァントになり、自身の主君らと共に旅をしていたそうです。」
「その人に、この鎧などを与えてもらったと、聞き及んでおりまする。」

説明した。

この世界の、衣服や装備品のなかには、[魔鉱石・魔法・錬金術]の三つを用いて伸縮が自在になっている物も存在しているのだが…、それらは割と値が張るので、金銭的に余裕がないと購入が厳しいようだ。

「そうか……。」

紫蓮が理解していたら、白虎が〝スッ〟と近づき、

「ありがとう、紫蓮殿。」

頭を下げ、

「お陰さまで、宿願を果たせたわ。」

微笑んだ。

「美麗まで会話が可能になったのか…。」

更に目を丸くした紫蓮ではあったが、冷静になって、

「来夢と権蔵は、どういう状況だ?」

確認していく。

「んー、……、コンフュージョンスライム、に、なった、みたい。」
こんらん混乱、させるの、できる。」

いまだ片言ながらも解説した来夢に、

「自分は、ホブゴブリンになりました。 ご主君。」

権蔵が続いた。

「まぁ、何はともあれ、めでたいのぉッ!!」

〝わっはっはっはっはッ!〟と高らかに笑ったのは、黒龍の新羅である…。


B班のメンバーは、人間とサーヴァントを合わせて20数ほどが亡くなっていた。

幸いにも、[ゴッド・スレイヤーズ]は、全員が無事だったようだ。

遺体を並べ終え、〝ふぅ〟と息を吐いた“ルギー”が、やや悲しげな表情で、

「皆、一度、回復しておこう。」

周囲を促す。

彼女のパーティーは、1Fでのバトルの流れで、10数が命を落としていた。


各自、“ポーション”を飲んだり、“回復魔法”を発動していく。

鈴音すずねのような[巫女]と[神官]は、【癒しのひかり】を用いている。

[白金の光り]に包まれた者たちの傷が治っていくが、現時点での鈴音は、“本人&自分のサーヴァント”の計6数だけが範囲内らしい。

タリアノのサーヴァントである“メスのホルスタウロス”は、【ブレスト・レイン恵みの雨】を使っていた。

これ・・は、[クレリック]や[ビショップ]らが、収得できるそうだ。

タリアノと、彼のサーヴァント達の、頭上1.5M程の位置に出現した直径1Mの魔法陣から[水色のシャワー]が降り注ぐも、濡れる事はない。

その魔法もまた、計六数のみが範囲となっている。


「さて……、三階に行こうか。」

気を取り直したルギーが、次の方針を述べた―。
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