GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
112 / 303
― 第三章・南陸行路 ―

第112話 争闘・破

しおりを挟む
ハーピーが両足で、白虎の頭を掴みにかかる。

その鋭い爪を突き立てようと。

だが、右の脇腹を、

ズンッ!

ゴブリンの“権蔵ごんぞう”が槍で刺して、阻んだ。

左方向に倒れゆく“鳥人間”の顔面に、左のハイキックを、

バンッ!!

と、くらわせたのは、ポイズンスライムの“来夢らいむ”である。

これに気付いた“美麗みれい”が、

「グガガァ、グガッ、ガガ、ガァ~ッ。」

何かを述べた。

どうやら感謝されたらしいと察した二体が頷く。

その隙に、レッドミノタウロスが[モーニングスター]を、石造りの床に〝ドンッ!〟と叩き付け、直径2M×高さ4Mの“歪な円錐形”を発生せたのである。

慌てて離れようとした白虎たちではあったが、反応が遅れてしまい、躱しきれず、各自、弾かれてしまった。

起き上がろうとする三体に、魔物らが近づく。

来夢には、ワーラット(人型のネズミ)/ヘルハウンド(黒犬)/1M大のジャイアントアント(蟻)が、権蔵には、二足歩行のアルミラージ(兎)/1.5M大のアラクネ(蜘蛛)/1M大のキラービー(蜂)が、美麗には、ホブゴブリン/1.5M大のモスマン(蛾)/3M級のトロールが、一数ずつ襲い掛かろうとする。

体勢が整っていない三体が、ピンチに陥っていくも、宙に浮いている黒龍の“新羅しんら”が全身から幅5㎝の【黒雷こくらい】を、10本、放った。

九発は来夢たちに迫っていたモンスターらに、一発は赤いミノタウロスに、ヒットして、感電させる。

この機を逃さず、来夢は【毒霧】を噴射し、権蔵は直径50㎝の【火の玉】を飛ばした。

当然、口から。

その流れで、二体が、武器を振り回していく。

ちなみに、来夢は、[トンファー]を装備している。

“ナーガァートゥの首都”で、[GOD SLAYER’S]がポーションなどを補充する際に、紫蓮しれんに買ってもらったみたいだ。

美麗は、尻餅を着いているトロールへとジャンプして、首に噛み付いた。

左膝を屈しているレッドミノタウロスの正面から、ブラックミノタウロスの“夜摩やま”が、[バトルアックス戦斧]の刃で、床を、後ろから前と擦る。

10㎝、20㎝、30㎝、40㎝、…、と、段々に隆起していく石の床は、赤いミノタウロスの眼前で1.5Mの高さになっていた。

「ぐぬぅッ!」

動けるようになったレッドミノタウロスが、モーニングスターを左から右へと払い、

ドゴオンッ!!

と砕く。

〝スッ〟と立ち上がって構え直す赤牛を、夜摩が睨み付ける。

一瞬の静寂を破り、新羅が、口から直径25㎝の【黒炎】を吐いた。

これを、赤いミノタウロスが左のてのひらから放った直径50㎝の【火炎】で打ち消す。

「ぬぅ~ッ、予想はしておったが、なかなかの強敵よのぉう。」

眉間にシワを寄せながらも、感心する新羅であった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

隣国から有能なやつが次から次へと追放されてくるせいで気づいたらうちの国が大国になっていた件

さそり
ファンタジー
カーマ王国の王太子であるアルス・カーマインは父親である王が亡くなったため、大して興味のない玉座に就くことになる。 これまでと変わらず、ただ国が存続することだけを願うアルスだったが、なぜか周辺国から次々と有能な人材がやってきてしまう。 その結果、カーマ王国はアルスの意思に反して、大国への道を歩んでいくことになる。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...