GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第111話 争闘・序

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敵集団の最前線に居た約50人が、B班へとダッシュしてくる。

この20代~40代の男女は、盗賊や海賊の恰好をしていた。

窮地に陥るなかで、ルギーのパーティーに属している女性の【クレリック】が、

「く…うッ。」
インタフィアレンス障害リリース解除。」

かろうじて呟いた事によって、動けるようになったみたいだ。

ダガー短剣や、レイピア細身の剣などによる襲撃を、ルギー達が、武器に、盾で、防ぐ。

なかには、弓矢であったり、魔法にて、応戦している者たちもいる。

ただ、彼女らのメンバーは、サーヴァントを含めて45数なので、それ以外の面子は首や心臓といった急所を斬られたり突かれたりして、致命傷を負った。

幸いにも、ルギーたちの右斜め後ろにいた[GOD SLAYER’S]は、全員、難を逃れている。

双方の一部がバトルになっていく状況で、身動きが取れるようになった“夜摩やま”が、

ヴオオ――――ッ!!

と、発した。

“黒いミノタウロス”による仕返しの【咆哮】に、敵の過半数がすくんだ。

すかさず、ルギーらが、賊どもを狩っていく。

ほぼ同時に、白虎の“美麗みれい”が、20㎝大の[氷の礫《つぶて》]を100個ぐらい放ち、着地した黒龍の“新羅しんら”が、上体を反らす流れで、石造りの床に両手を叩き付け、10㎝、20㎝、30㎝、40㎝、…、と、段々に隆起させた。

この間に、敵味方問わず、支障をきたしていない者らが、いまだ動けない面子に[異常回復ポーション]を飲ませていった。

紫蓮しれんに、

「行くぞ。」

と声を掛けられた[ゴッド・スレイヤーズ]が、赤いミノタウロスを目指して直進していく。

「邪魔させるな!」
「援護しろッ!!」

ルギーに促されたB班は、紫蓮たちをバックアップするかのように、敵集団に攻撃を仕掛ける…。


喧騒のなかで、[GOD SLAYER’S]の30名が、レッドミノタウロスおよび辺りの約40数と睨み合う。

白虎が沈黙を破るかのように、長さ1M×最大幅50cmで“歪なクリスタル形の氷”を、赤牛へと、飛ばす。

レッドミノタウロスが、鉄球に炎を纏わせた[モーニングスター]を、右斜め下から左斜め上へと振るって、

ガゴォンッ!!

と、砕く。

それを合図に、各自、飛び出した。

美麗は、周囲の乱戦を余所に、赤いミノタウロスめがけて一目散に駆けていく。

ジャンプした白虎が、右前足の爪で、レッドミノタウロスの顔を狙うも、口から吐かれた直径50㎝の【火炎】がヒットしてしまう。

半身を燃やされつつ、床に背を叩きつけられた美麗ではあるが、すぐさま体勢を整え直す。

炎が消えるなり、赤牛へのアタックを再び試みようと、姿勢を〝グッ!〟と低くして構えた白虎の死角から、一体のハーピーが急下降してくる。

どうやら、美麗は、背後の“鳥人間”に気付いていないみたいだ―。
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