GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
111 / 300
― 第三章・南陸行路 ―

第111話 争闘・序

しおりを挟む
敵集団の最前線に居た約50人が、B班へとダッシュしてくる。

この20代~40代の男女は、盗賊や海賊の恰好をしていた。

窮地に陥るなかで、ルギーのパーティーに属している女性の【クレリック】が、

「く…うッ。」
インタフィアレンス障害リリース解除。」

かろうじて呟いた事によって、動けるようになったみたいだ。

ダガー短剣や、レイピア細身の剣などによる襲撃を、ルギー達が、武器に、盾で、防ぐ。

なかには、弓矢であったり、魔法にて、応戦している者たちもいる。

ただ、彼女らのメンバーは、サーヴァントを含めて45数なので、それ以外の面子は首や心臓といった急所を斬られたり突かれたりして、致命傷を負った。

幸いにも、ルギーたちの右斜め後ろにいた[GOD SLAYER’S]は、全員、難を逃れている。

双方の一部がバトルになっていく状況で、身動きが取れるようになった“夜摩やま”が、

ヴオオ――――ッ!!

と、発した。

“黒いミノタウロス”による仕返しの【咆哮】に、敵の過半数がすくんだ。

すかさず、ルギーらが、賊どもを狩っていく。

ほぼ同時に、白虎の“美麗みれい”が、20㎝大の[氷の礫《つぶて》]を100個ぐらい放ち、着地した黒龍の“新羅しんら”が、上体を反らす流れで、石造りの床に両手を叩き付け、10㎝、20㎝、30㎝、40㎝、…、と、段々に隆起させた。

この間に、敵味方問わず、支障をきたしていない者らが、いまだ動けない面子に[異常回復ポーション]を飲ませていった。

紫蓮しれんに、

「行くぞ。」

と声を掛けられた[ゴッド・スレイヤーズ]が、赤いミノタウロスを目指して直進していく。

「邪魔させるな!」
「援護しろッ!!」

ルギーに促されたB班は、紫蓮たちをバックアップするかのように、敵集団に攻撃を仕掛ける…。


喧騒のなかで、[GOD SLAYER’S]の30名が、レッドミノタウロスおよび辺りの約40数と睨み合う。

白虎が沈黙を破るかのように、長さ1M×最大幅50cmで“歪なクリスタル形の氷”を、赤牛へと、飛ばす。

レッドミノタウロスが、鉄球に炎を纏わせた[モーニングスター]を、右斜め下から左斜め上へと振るって、

ガゴォンッ!!

と、砕く。

それを合図に、各自、飛び出した。

美麗は、周囲の乱戦を余所に、赤いミノタウロスめがけて一目散に駆けていく。

ジャンプした白虎が、右前足の爪で、レッドミノタウロスの顔を狙うも、口から吐かれた直径50㎝の【火炎】がヒットしてしまう。

半身を燃やされつつ、床に背を叩きつけられた美麗ではあるが、すぐさま体勢を整え直す。

炎が消えるなり、赤牛へのアタックを再び試みようと、姿勢を〝グッ!〟と低くして構えた白虎の死角から、一体のハーピーが急下降してくる。

どうやら、美麗は、背後の“鳥人間”に気付いていないみたいだ―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...