GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第108話 助勢

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幅30㎝×長さ3Mの[雷撃]が横一文字に飛んでいく。

ノール(二足歩行のハイエナ)とホブゴブリンの二体ずつ計四体に直撃して、胴体の“三分の一”ほどを斬るのと共に、

ビリビリビリビリィ―ッ!!

と、感電させた。

これらの面子が、膝から崩れ落ちていくなか、他の魔物らが振り返る。

その視線の先に居たのは、紫蓮しれんだ。

【武士】の大鎧と星兜を装着している彼が、[サムライソード]を払って、“雷”を発射したらしい。

紫蓮の一撃から免れていたワーラット(人型のネズミ)/キラービー(蜂)/ジャイアントビートル(カブトムシ)の各二匹が、逆襲すべく、迫ってくる。

こいつらに対して、白虎の“美麗みれい”が、20㎝ぐらいの[氷の礫《つぶて》]を100個ほど飛ばして、正面から命中させた。

昆虫系が床に落ちて、ネズミどもが足を止めたところに、【武闘家】の恰好をしているポイズンスライムの“来夢らいむ”が、口から毒を吐く。

ほぼ同時に、【騎士】の甲冑とランスを装備したゴブリンの“権蔵《ごんぞう》”が、これまた、口から直径50㎝の【火の玉】を発射した。

のたうち回る敵に、その三者が駆けていく。

確実に屠るために。

近くにいた一体のトロールが〝ズン! ズン!〟と、紫蓮に歩を進める。

〝ズイッ!〟と間に割って入ったのは、【戦士】のブラックミノタウロスこと“夜摩やま”だ。

相手が鉄製の[棍棒こんぼう]を横へと振るう。

それとは逆方向の右から左に、夜摩が片刃の[バトルアックス戦斧]を払い、

ガキィインッ!!

互いに弾かれた。

いや、黒いミノタウロスが、少なからず押したようだ。

こちらのバトルが視界に入った10数のハーピーが飛来してくる。

〝ブワッ!〟と前に出て、立ちはだかったのは、黒龍の“新羅しんら”であった。

新羅は、“人型の鳥”たちを、ひと睨みするなり、全身を左から右へ〝グルンッ!〟と回転させて、その尾で、

ドォーンッ!!

半数くらいにダメージを負わせたようだ。

「今のうちに、俺の後方に避難しろ!」

紫蓮の呼び声にて、北西の角に追い詰められていた六人の少年少女が〝ハ!〟とする。

雷撃の効果で痙攣している連中を見ながら、並んで壁に背中を預けた彼らが、横歩きしていく。

それなりに離れたところで、顔を見合わせて、頷くと、紫蓮めがけて走り出した。

これを阻もうと一羽のハーピーが、翼を後ろから前に動かし、最大幅20㎝×長さ2Mで三日月状の[風の刃]を放ったのである。

しかし、勘づいていた紫蓮が同じぐらいのタイミングで左手を突き出し、幅10㎝の雷を二本・・、発した。

一本は“風”に、もう一本は“鳥人間”に当たる。

更には、別のハーピーに、新羅が、口から直径30㎝の【火の玉】を飛ばして、直撃させた。

残りの鳥人間どもは、床上の侍と、宙の黒龍を、警戒して、何も出来ずにいるみたいだ。

その隙に、紫蓮の後ろへと無事に逃れた少年少女が〝ホッ〟と安堵した。

いまだ終わらない戦いのなかで、六人を守ってあげるべく、[GOD SLAYER’S]が周囲に集まってくる―。
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