GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
103 / 296
― 第三章・南陸行路 ―

第103話 野営地にて・後編

しおりを挟む
討伐連合隊の、隊長であるグリューと、副長のルギーは、別々のパーティーのリーダーとの事だ。

まず、グリュー達が、五日前に、この場所に来たところ、砦の攻略に失敗した連中が逃げてきていたらしい。

バッタリ出くわした彼らに聞いてみたら、もともとはサーヴァントを含めて80数ぐらいの一団だったものの、壊滅してしまい、生き残ったのは、男性2人と女性1人だけだったそうだ。

たいして情報を集めないで挑んだのが、敗因になったとの話しだった。

それによって警戒を強めたグリューは、一旦、行進をめて、どうするべきか思案したらしい。

なにせ、彼のパーティーは60数くらいなので。

砦に赴くべきか、クエストをキャンセルして撤退すべきか、野営しながら考えていた翌日に、通りかかったルギーたちが合流してきたそうだ。

彼女の一団は45数ほどなので、手を組むことにしたらしい。

とは言え、これでも勝てないだろうと判断したグリューとルギーが、いろいろと相談していたところ、他にも砦を目指していた者らが次第に集まってきたとの事である。

そうして、グリューが連合隊の隊長に、ルギーが副長に就き、三日前に偵察部隊を放ったのだと…。

ちなみに、別のルートで砦に向かい、グリュー達の存在を知らなかった幾つかのパーティーは、返り討ちにあっているようだ。

おそらく、人間たちは既に、魔物に捕食されてしまったであろう……。


「それで?」
「奴らを倒す作戦はあるのか??」

紫蓮しれんが尋ねたところ、

「ん?」
「おう。」
「ついさっき、まとまったとこだ。」

グリューが返した。

彼らが囲んでいるテーブルには、大きめの紙が置かれている。

これには、砦の外部と、周辺の地形が、描かれていた。

「いいか??」
「砦には、出入り口が二つある。」
「一つは東側で、もう一つは西側だ。」
「ただし、西の方は海に面していて、軍船が五隻ぐらい有るらしい。」
「そこで…、俺達は、班を4つに分けて、東西南北から攻め込む。」

隊長の説明に、

「北と南からも、ですか?」

涼音すずねが首を傾げる。

その疑問に、副長が、

「ああ。」
「砦の北側と南側には窓が設置されているからね。」
「四方向から同時に突撃すれば、敵は慌てふためくだろうさ。」
「こっちの兵力は、むこうの三分の一だから、どこまで相手を浮き足立たせられるかが、勝負のカギになってくると、私たちは思っている。」

と、答えた。

「成程。」

頷いたタリアノが、

「ところで、いつ出発するのですか??」

新たに伺う。

「夕刻の4時頃を予定している。」

グリューが告げたら、

「じゃあ、それまでは、ゆっくりできるわね。」

ペイニーが述べたのである。

「おう。」
「そういうことだから、取り敢えず……、各自、休憩にしてくれ。」

隊長が促し、一度、解散となったところで、

「あー、そういや、撫子なでしこ。」
「あいつらも来てるぞ。」
「“つるぎの女王”の所で会ったんだろ?」

忍者マスターの孫にあたる“真成まさなり”が伝えてきた。

「おぉー、兄弟子あにでしがたと、姉弟子あねでしがたか。」
「ふむ。」
「では…、挨拶しに行くとしよう。」

笑みを浮かべる撫子だった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

碧天のノアズアーク

世良シンア
ファンタジー
両親の顔を知らない双子の兄弟。 あらゆる害悪から双子を守る二人の従者。 かけがえのない仲間を失った若き女冒険者。 病に苦しむ母を救うために懸命に生きる少女。 幼い頃から血にまみれた世界で生きる幼い暗殺者。 両親に売られ生きる意味を失くした女盗賊。 一族を殺され激しい復讐心に囚われた隻眼の女剣士。 Sランク冒険者の一人として活躍する亜人国家の第二王子。 自分という存在を心底嫌悪する龍人の男。 俗世とは隔絶して生きる最強の一族族長の息子。 強い自責の念に蝕まれ自分を見失った青年。 性別も年齢も性格も違う十三人。決して交わることのなかった者たちが、ノア=オーガストの不思議な引力により一つの方舟へと乗り込んでいく。そして方舟はいくつもの荒波を越えて、飽くなき探究心を原動力に世界中を冒険する。この方舟の終着点は果たして…… ※『side〇〇』という風に、それぞれのキャラ視点を通して物語が進んでいきます。そのため主人公だけでなく様々なキャラの視点が入り混じります。視点がコロコロと変わりますがご容赦いただけると幸いです。 ※一話ごとの字数がまちまちとなっています。ご了承ください。 ※物語が進んでいく中で、投稿済みの話を修正する場合があります。ご了承ください。 ※初執筆の作品です。誤字脱字など至らぬ点が多々あると思いますが、温かい目で見守ってくださると大変ありがたいです。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...