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― 第三章・南陸行路 ―
第102話 野営地にて・中編
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「俺は、“グリュー”ってんだ。」
「この、討伐連合隊の隊長で…、隣に居んのが……。」
金髪ソフトモヒカンの【戦士】が左に視線を送り、
「ルギー。」
「副長よ。」
銀髪ロングで褐色肌の女性が名乗った。
彼女の背丈は168㎝といったところだろう。
30代半ばと思しき“ルギー”は、装備品から【剣士】と推測される。
白鉄の防具は軽装で、左腰に[ロングソード]を帯びているようだ。
「俺達は、“ゴッド・スレイヤーズ”ていうパーティーだ。」
告げたのは、代表の、紫蓮であった。
そこからは、一人ずつ自己紹介していく流れで、これまでの経緯を、タリアノが簡潔に説明したのである。
まだ短い付き合いではあるが、その知識の豊富さや、冷静さから、タリアノは[GOD SLAYER‘S]の“頭脳”になったみたいだ。
「成程、な。」
理解を示したグリューが、
「じゃあ、やっぱり、討伐連合隊に加入しちゃあどうだい?」
改めて勧誘してきた。
「なんか得する事でもあんのか??」
訊ねた紫蓮に、
「おー、威勢がいいなぁ。」
隊長が肩をすくめるも、
「だが、まぁ、そんくらいねぇとな!」
「最近の若い連中は軟弱で困るぐれぇだし。」
左右の腰に手を添えて〝うん うん〟と頷く。
「勝手に納得してるとこ悪いんだけど…、状況を教えてやったら?」
副長が促したところ、
「お、そうだな。」
グリューが我に返り、
「まず、三日ほど前に、仲間の数人が行商を装って、港に情報収集に赴いたんだが……。」
語りだしたのである。
昨夜、野営地に帰ってきたという偵察メンバーによれば、砦が占拠されてから約半月が経っているそうだ。
石造りの砦は、敵が海から上陸してくるのを防ぐために、割と大きいらしく、3000人以上の兵士を収容できるらしい。
ここを襲撃した連中は、およそ1500数とのことである。
その内訳は、忍者が20程で、賊の類が150くらいの、サーヴァントが100ぐらいで、あとは魔物ばかりだ。
これは、酒や食事を砦に届けたことがある町人による証言であった…。
「1500……、結構いるわね。」
ペイニーが呟く。
それが聞こえたらしい撫子が、
「うむ。」
「我々だけで挑むのは避けるのが良さそうだな。」
と、述べる。
「ちなみに…、皆さんは、どれほどの数なのですか??」
涼音の質問に、
「500ってとこね。」
ルギーが答えた。
「紫蓮……。」
タリアノが言わんとしていることを察して、
「ああ、分かった。」
「“討伐連合隊”に参加しよう。」
紫蓮が意思表示したら、
「そうこなくっちゃあなッ!!」
隊長が喜んだ。
40過ぎであり、数々の修羅場を潜り抜けてきたグリューにしてみれば、相手は小僧や小娘の集団でしかない。
しかし、〝サーヴァントを伴っている彼らは貴重な戦力になりそうだ〟と判断したのである―。
「この、討伐連合隊の隊長で…、隣に居んのが……。」
金髪ソフトモヒカンの【戦士】が左に視線を送り、
「ルギー。」
「副長よ。」
銀髪ロングで褐色肌の女性が名乗った。
彼女の背丈は168㎝といったところだろう。
30代半ばと思しき“ルギー”は、装備品から【剣士】と推測される。
白鉄の防具は軽装で、左腰に[ロングソード]を帯びているようだ。
「俺達は、“ゴッド・スレイヤーズ”ていうパーティーだ。」
告げたのは、代表の、紫蓮であった。
そこからは、一人ずつ自己紹介していく流れで、これまでの経緯を、タリアノが簡潔に説明したのである。
まだ短い付き合いではあるが、その知識の豊富さや、冷静さから、タリアノは[GOD SLAYER‘S]の“頭脳”になったみたいだ。
「成程、な。」
理解を示したグリューが、
「じゃあ、やっぱり、討伐連合隊に加入しちゃあどうだい?」
改めて勧誘してきた。
「なんか得する事でもあんのか??」
訊ねた紫蓮に、
「おー、威勢がいいなぁ。」
隊長が肩をすくめるも、
「だが、まぁ、そんくらいねぇとな!」
「最近の若い連中は軟弱で困るぐれぇだし。」
左右の腰に手を添えて〝うん うん〟と頷く。
「勝手に納得してるとこ悪いんだけど…、状況を教えてやったら?」
副長が促したところ、
「お、そうだな。」
グリューが我に返り、
「まず、三日ほど前に、仲間の数人が行商を装って、港に情報収集に赴いたんだが……。」
語りだしたのである。
昨夜、野営地に帰ってきたという偵察メンバーによれば、砦が占拠されてから約半月が経っているそうだ。
石造りの砦は、敵が海から上陸してくるのを防ぐために、割と大きいらしく、3000人以上の兵士を収容できるらしい。
ここを襲撃した連中は、およそ1500数とのことである。
その内訳は、忍者が20程で、賊の類が150くらいの、サーヴァントが100ぐらいで、あとは魔物ばかりだ。
これは、酒や食事を砦に届けたことがある町人による証言であった…。
「1500……、結構いるわね。」
ペイニーが呟く。
それが聞こえたらしい撫子が、
「うむ。」
「我々だけで挑むのは避けるのが良さそうだな。」
と、述べる。
「ちなみに…、皆さんは、どれほどの数なのですか??」
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「500ってとこね。」
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「紫蓮……。」
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「ああ、分かった。」
「“討伐連合隊”に参加しよう。」
紫蓮が意思表示したら、
「そうこなくっちゃあなッ!!」
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40過ぎであり、数々の修羅場を潜り抜けてきたグリューにしてみれば、相手は小僧や小娘の集団でしかない。
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