GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第101話 野営地にて・前編

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[GOD SLAYER‘S]が、幾つかのテント(ゲル)を通過して、宿営地の中心へと向かう。

時刻は、PM15:00になろうとしていた。

開けた場所には、大きめのテーブルがあり、その周囲に数名の人間や獣人などが集まっている。

このうちの一人が、

撫子なでしこ!!」

と、声を掛けてきた。

「!」
真成まさなり…、様。」

目を丸くした撫子に、

「以前のように、呼び捨てでいい。」
「俺達は兄妹じゃないか。」

“真成”と呼ばれた男が返す。

身長は170㎝くらいであろう彼は、黒装束を纏っている。

短めの髪も黒く、顔立ちは端正だ。

「兄上ですか?」

涼音すずねに確認された撫子が、

「彼は、成蔵せいぞう様の孫君だ。」
「つまり、イーガー現国主夫妻の実の息子である。」
「我らは共に育ったので、正確には“義兄妹”だな。」

と述べる流れで、

「何故、ここに??」

真成に質問したら、

「父上の許しを得てな、数人の護衛を伴って、襲撃した連中を捜索していたんだ。」
「他にも、あの不届きなやからどもの足取りを掴んだ“イーガーのしのび”が、50名は、ここに辿り着いているぞ。」

そのように答えたのである。

会話が済んだタイミングで、彼の近くに居る“鹿毛かげ馬の獣人”が、[ゴッド・スレイヤーズ]に軽く会釈した。

「確か、“サッツゥーの忍びの里”で会った…。」

ペイニーの言葉に、撫子が、

「あー、やぐらの。」

と、思い出す。

更に、この近くに佇んでいるフクロウおぼしき“黒い半面”を装着している女性に、

「ヒーゴンの隠密隊?」

紫蓮しれんが首を傾げたのである。

背丈は160㎝ぐらいで、黒髪セミロングの彼女は、ブラックで統一した軍服を着ていた。

半面の所々には、グレーで模様が描かれている。

その女性が、

「ん??」
「もしかして……、信義のぶよしが再会したとかいう、元・近衛兵?」

と伺う。

紫蓮が頷いたところ、

「やっぱり…。」
「あなたの健在を知った総帥がたは、喜んでおられたわよ。」

“梟の半面”が笑みを浮かべたのである。

これらのやり取りが終わったのを見計らって、

「お前たちも、砦に赴こうとしてんのか??」

尋ねてきた男性がいた。

身長が180㎝ありそうな彼は、筋肉質でガタイがいい。

金色の髪をソフトモヒカンにしおり、顔や腕などの数ヵ所に切り傷がある。

年齢は40代前半であろう。

装備品からして【戦士】に間違いなさそうだ。

ちなみに、[鋼の鎧]を纏っている。

「私どもは、“赤いミノタウロス”や、イーガーの国主を襲ったという忍びを、追っています。」
「“ナーガァートゥの首都”で情報を入手し、クエストを受注した後に、砦へと向かう途中で、こちらに寄らせてもらった次第です。」

タリアノの説明を聞いて、

「そうかい!」
「じゃあ、この“討伐連合隊”に参加しねぇか?」
「奴らを倒すのに仲間の数が多いに越した事はねぇからな。」
「歓迎するぜ!!」

誘ってくる金髪ソフトモヒカンであった―。
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