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― 第三章・南陸行路 ―
第97話 五人目の。
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「さて……。」
「パ―ニ―からの書状によれば、イーガーの現国主を襲った賊どもを探し出すのと、神を討つに至る修行のために、旅しておると…。」
「ふぅ~む。」
「…………。」
「タリアノよ、この者たちと共に冒険してみるか?」
そう訊ねた祖父に、
「よろしいですのか?!」
孫が返す。
「お前の望みでもあろう。」
「行ってくるがよい。」
「ただし!」
「死なずに帰って来るのじゃぞ。」
[大魔導師]の言葉に、
「はい。」
「肝に銘じます。」
タリアノが頭を下げた。
紫蓮たちは、一階のエントランスで待っている。
そこに、
「すみません。」
「祖父から紹介状などを受け取ったり、伯父の家族に挨拶していたので、少し遅くなってしまいました。」
タリアノが合流してきた。
彼に続いてきたサーヴァントは、オスのリザードマン/オスのマンティコア/メスで二足歩行のジャガー/メスのホルスタウロス/ウッドゴーレム(樹木人形)である。
「手紙??」
ペイニーの質問に、
「ええ。」
「〝もし、西の大陸に渡ることがあれば、ビィーゼェーン国に赴くと良い〟〝かつての仲間が暮らしておるから〟と、祖父が申していました。」
タリアノが答える流れで、
「ところで……、これから、どちらに?」
と、伺った。
紫蓮が、代表して、経緯を説明していき、
「成程…、分かりました。」
大魔導師の孫が理解を示す。
「それでは、彼を、“ゴッド・スレイヤーズ”に迎え入れようではないか!!」
「な、紫蓮!」
促す撫子に、紫蓮が頷く。
「ん?」
「皆さんのパーティー名ということでしょうか??」
タリアノが質問してみたところ、
「ええ、そうですよ。」
涼音が答えたのである。
「では、よろしくお願いします。」
会釈するタリアノを、リーダーの紫蓮が[GOD SLAYER‘S]に加入させた。
撫子・涼音・ペイニーと女性ばかりが増えていき、人知れず肩身の狭い思いをしていた紫蓮にとっては、男性が仲間になってくれるのは嬉しい出来事だったようだ。
これは、彼だけの秘密だが……。
一同は、南西を目指している。
“赤いミノタウロス”が向かったという[ナーガァートゥ国]が目的地である。
そのためには、[イッワーミ国]を経由しなければならない。
道中、メンバーは、タリアノに関する話しを聞いてみた。
彼は、現在、17歳で、初冬には誕生日が巡ってくるのだそうだ。
つまり、紫蓮の二つ年上である。
そんなタリアノは、およそ10年前に、父親を亡くしている。
彼が生まれ育った[ヒーゼェン国]と[南陸第九神国]との戦で、命を落としたとの事だ。
約一年後には、母親が病で他界したらしい。
いずれにしろ、彼にとっても“神”は忌べきものであり、打倒したい存在である。
ちなみに、タリアノの父は次男なのだそうだ。
彼の伯父にあたる長男と、奥さんや、その子どもたち兄妹は、健在である。
タリアノは一人っ子らしい。
なにはともあれ、[GOD SLAYER‘S]に、【魔術士】が加わったのだった―。
「パ―ニ―からの書状によれば、イーガーの現国主を襲った賊どもを探し出すのと、神を討つに至る修行のために、旅しておると…。」
「ふぅ~む。」
「…………。」
「タリアノよ、この者たちと共に冒険してみるか?」
そう訊ねた祖父に、
「よろしいですのか?!」
孫が返す。
「お前の望みでもあろう。」
「行ってくるがよい。」
「ただし!」
「死なずに帰って来るのじゃぞ。」
[大魔導師]の言葉に、
「はい。」
「肝に銘じます。」
タリアノが頭を下げた。
紫蓮たちは、一階のエントランスで待っている。
そこに、
「すみません。」
「祖父から紹介状などを受け取ったり、伯父の家族に挨拶していたので、少し遅くなってしまいました。」
タリアノが合流してきた。
彼に続いてきたサーヴァントは、オスのリザードマン/オスのマンティコア/メスで二足歩行のジャガー/メスのホルスタウロス/ウッドゴーレム(樹木人形)である。
「手紙??」
ペイニーの質問に、
「ええ。」
「〝もし、西の大陸に渡ることがあれば、ビィーゼェーン国に赴くと良い〟〝かつての仲間が暮らしておるから〟と、祖父が申していました。」
タリアノが答える流れで、
「ところで……、これから、どちらに?」
と、伺った。
紫蓮が、代表して、経緯を説明していき、
「成程…、分かりました。」
大魔導師の孫が理解を示す。
「それでは、彼を、“ゴッド・スレイヤーズ”に迎え入れようではないか!!」
「な、紫蓮!」
促す撫子に、紫蓮が頷く。
「ん?」
「皆さんのパーティー名ということでしょうか??」
タリアノが質問してみたところ、
「ええ、そうですよ。」
涼音が答えたのである。
「では、よろしくお願いします。」
会釈するタリアノを、リーダーの紫蓮が[GOD SLAYER‘S]に加入させた。
撫子・涼音・ペイニーと女性ばかりが増えていき、人知れず肩身の狭い思いをしていた紫蓮にとっては、男性が仲間になってくれるのは嬉しい出来事だったようだ。
これは、彼だけの秘密だが……。
一同は、南西を目指している。
“赤いミノタウロス”が向かったという[ナーガァートゥ国]が目的地である。
そのためには、[イッワーミ国]を経由しなければならない。
道中、メンバーは、タリアノに関する話しを聞いてみた。
彼は、現在、17歳で、初冬には誕生日が巡ってくるのだそうだ。
つまり、紫蓮の二つ年上である。
そんなタリアノは、およそ10年前に、父親を亡くしている。
彼が生まれ育った[ヒーゼェン国]と[南陸第九神国]との戦で、命を落としたとの事だ。
約一年後には、母親が病で他界したらしい。
いずれにしろ、彼にとっても“神”は忌べきものであり、打倒したい存在である。
ちなみに、タリアノの父は次男なのだそうだ。
彼の伯父にあたる長男と、奥さんや、その子どもたち兄妹は、健在である。
タリアノは一人っ子らしい。
なにはともあれ、[GOD SLAYER‘S]に、【魔術士】が加わったのだった―。
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