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― 第三章・南陸行路 ―
第90話 四人目の。
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40代の男性と女性が、
「ペイニー!?」
「待ちなさい!」
と、慌て出す。
これらに対して、
「嫌よ!」
「なんと言われようとも、絶対、一緒に行くんだから!!」
10代の女性がムキになる。
紫蓮は、彼女のことを、容姿こそ違えどヒーゴンの幸永歌に、どことなく似ているなと思ったようだ。
そういえば、ここの面子は、全員、髪が赤い。
[鮮紅の豹]との異名を持つ“ラーザ”あたりとルーツが同じなのかもしれないが、詳細は不明である。
「昨年の“チークゥゼン国”での出来事かい?」
ギルドマスターの問い掛けに、“ペイニー”と呼ばれた女性が、
「ええ。」
と頷いた。
少し考え込んで、
「しょうがないねぇ。」
「本当は、“マッドリィードー”を、と思ったんだけど…。」
「マッディーには、ゆくゆく、私や、父親の跡を継いでもらいたいから……、あんたが打って付けかもしれないね。」
このように述べたギルド長に、
「母さん!!」
「お義母さま?!」
驚いた40代の男女が声を荒げる。
「まぁ、いいじゃないのさ。」
「私も、あんた達も、ペイニーと同じぐらいの年頃のときには、冒険していたんだし。」
「それに…、涼楓ちゃんの孫たちは旅に慣れているみたいだから、安心して送り出せるだろうよ。」
[剣の女王]の言葉に、
「ありがとう、お婆ちゃん!」
ペイニーが喜ぶ。
「取り敢えず、“忍びの里”に行ったら、一回、ここに帰って来なさい。」
「場合によっては、他者の協力を得ないといけなくなるかもしれないからねぇ……。」
ギルマスが真顔になった。
ちょっとした間を挟んで、
「あ、そうだ。」
「“赤いミノタウロス”について、何か知らない…、ませんか?」
紫蓮が窺う。
「ん?」
「さぁ??」
「初耳だね。」
首を傾げたギルドマスターが、
「それこそ、“忍びの里”で聞いてみちゃあどうだい?」
「なにせ、情報収集に長けている集団だからねぇ。」
「何かしら分かるかもしれないよ。」
との提案を示してくれたのである。
「なるほど、確かに。」
呟いた紫蓮が、ギルド長に対して、お辞儀した……。
紫蓮たちは、サーヴァントを連れて、中央広場に移動している。
そこへ、
「ごめん! お待たせ!!」
と、ペイニーが合流してきた。
彼女の身長は162㎝といったところだろう。
黒色を基調としつつ、ところどころ白い、ゴシックなワンピース姿だ。
革靴とロングソックスも黒い。
ペイニーの後ろからは、オスで紫色の人型スライム/オスで体が黒いオーク(豚)/メスの獣人である二足歩行の羊/メスで四足歩行の赤いサラマンダー(火蜥蜴)/性別不明のコカトリス(怪鳥)が、続いて来る。
「うむ!」
「では、ペイニーを、正式に“GOD SLAYER‘S”に迎え入れよう!!」
「な? 紫蓮。」
撫子はメンバーが増えることが嬉しいようだ。
「ゴッド・スレイヤーズ??」
訊ねたペイニーに、
「ええ。」
「私達の“パーティー”で、紫蓮がリーダーを務めています。」
涼音が説明する。
「そう。」
「じゃあ、加入させてもらうわ。」
「皆、よろしくね!」
かくして、[剣の女王]の孫娘が、新たな仲間として加わったのであった―。
「ペイニー!?」
「待ちなさい!」
と、慌て出す。
これらに対して、
「嫌よ!」
「なんと言われようとも、絶対、一緒に行くんだから!!」
10代の女性がムキになる。
紫蓮は、彼女のことを、容姿こそ違えどヒーゴンの幸永歌に、どことなく似ているなと思ったようだ。
そういえば、ここの面子は、全員、髪が赤い。
[鮮紅の豹]との異名を持つ“ラーザ”あたりとルーツが同じなのかもしれないが、詳細は不明である。
「昨年の“チークゥゼン国”での出来事かい?」
ギルドマスターの問い掛けに、“ペイニー”と呼ばれた女性が、
「ええ。」
と頷いた。
少し考え込んで、
「しょうがないねぇ。」
「本当は、“マッドリィードー”を、と思ったんだけど…。」
「マッディーには、ゆくゆく、私や、父親の跡を継いでもらいたいから……、あんたが打って付けかもしれないね。」
このように述べたギルド長に、
「母さん!!」
「お義母さま?!」
驚いた40代の男女が声を荒げる。
「まぁ、いいじゃないのさ。」
「私も、あんた達も、ペイニーと同じぐらいの年頃のときには、冒険していたんだし。」
「それに…、涼楓ちゃんの孫たちは旅に慣れているみたいだから、安心して送り出せるだろうよ。」
[剣の女王]の言葉に、
「ありがとう、お婆ちゃん!」
ペイニーが喜ぶ。
「取り敢えず、“忍びの里”に行ったら、一回、ここに帰って来なさい。」
「場合によっては、他者の協力を得ないといけなくなるかもしれないからねぇ……。」
ギルマスが真顔になった。
ちょっとした間を挟んで、
「あ、そうだ。」
「“赤いミノタウロス”について、何か知らない…、ませんか?」
紫蓮が窺う。
「ん?」
「さぁ??」
「初耳だね。」
首を傾げたギルドマスターが、
「それこそ、“忍びの里”で聞いてみちゃあどうだい?」
「なにせ、情報収集に長けている集団だからねぇ。」
「何かしら分かるかもしれないよ。」
との提案を示してくれたのである。
「なるほど、確かに。」
呟いた紫蓮が、ギルド長に対して、お辞儀した……。
紫蓮たちは、サーヴァントを連れて、中央広場に移動している。
そこへ、
「ごめん! お待たせ!!」
と、ペイニーが合流してきた。
彼女の身長は162㎝といったところだろう。
黒色を基調としつつ、ところどころ白い、ゴシックなワンピース姿だ。
革靴とロングソックスも黒い。
ペイニーの後ろからは、オスで紫色の人型スライム/オスで体が黒いオーク(豚)/メスの獣人である二足歩行の羊/メスで四足歩行の赤いサラマンダー(火蜥蜴)/性別不明のコカトリス(怪鳥)が、続いて来る。
「うむ!」
「では、ペイニーを、正式に“GOD SLAYER‘S”に迎え入れよう!!」
「な? 紫蓮。」
撫子はメンバーが増えることが嬉しいようだ。
「ゴッド・スレイヤーズ??」
訊ねたペイニーに、
「ええ。」
「私達の“パーティー”で、紫蓮がリーダーを務めています。」
涼音が説明する。
「そう。」
「じゃあ、加入させてもらうわ。」
「皆、よろしくね!」
かくして、[剣の女王]の孫娘が、新たな仲間として加わったのであった―。
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