GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第82話 大巫女

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紫蓮しれんが通されたのは、床張りで30畳はありそうな横長の広間だった。

そこには、4人の巫女が、座布団に正座して、待っていたのである。

紫蓮も、わらを編んで作られた円形の座布団に座った。

彼の場合は胡坐あぐらだが。

紫蓮の正面には、60代くらいの女性が居る。

白髪交じりの長い髪を、巫女らしく束ねているようだ。

巫女装束の上から何やら羽織っている。

千早ちはやという代物らしく、なにかしらの絵柄が見受けられた。

彼女の左斜め前には、40代ぐらいの女性が座っており、こちらも千早を羽織っているが、柄は一つもないようだ。

長い黒髪を、やはり、巫女らしく束ねている。

60代の巫女の右斜め前には、20代であろう女性が座っていた。

彼女の黒髪は肩あたりまでの長さだ。

その巫女の更に右斜め前に、紫蓮と同じ年頃の女性が座っている。

こちらは、腰あたりまでの長さの黒髪であった。

ちなみに、この二人は千早を羽織っておらず、巫女装束のみを纏っている。

彼女ら4人は、誰もが、凛とした印象だ。

60代の巫女…、おそらく“大巫女おおみこ”に間違いないであろう女性の背後には、大きな神棚みたいなものが設置されている。

祭壇だろうか?

ともあれ、紫蓮は、[ヒーゴンの侍王]からの紹介状を差し出した。

それを、一番手前に居る10代の巫女が受け取り、大巫女に渡す。

封を開け、手紙に目を通して、

「成程……。」
「神を討つべく、修行の一環として、旅をしておられる、と…。」

大巫女が要約を述べた。

これに、最も若い巫女が〝ピクッ〟と反応を示す。

大巫女が、

「しかしながら、わたくしどもでは、お力になってあげられないでしょう。」
「お侍さんの鍛錬を、巫女が手助けするのは無理でございます。」
「“畑違い”ですので。」

と、意見する。

(じゃあ、俺は、なんの為に、ここまで来たんだ?)

軽く眉間にシワを寄せた紫蓮であったが、〝フ〟と思った事があるらしく、

「ところで……、“神”を崇めているのか? あ、…ですか?」

そのような聞き方をした青年に、大巫女が一瞬は〝キョトン〟としたものの、すぐに、

「ふふふふ。」

と微笑んだ。

「ええ、その通りです。」

頷いた大巫女が、

れども…、地上に蔓延はびこるあの者どもを崇拝している訳ではありません。」

そう答えた。

紫蓮は、[鮮紅せんこうの豹一団]に所属している巫女のかおるを回想して、

「確か…、“しんの神々”が存在している、とか?」

首を傾げる。

「ご存知ですか?」

窺う大巫女に、

「あ、いや、ちょっとだけであって、殆ど知らない、…です。」

と、紫蓮が返す。

「そうですか…。」
「では、言い伝えを、少々、お教えしましょう。」

こうして、静かに語りだす大巫女だった―。
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