GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第80話 そんな日。

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森林から北東へと進み続け、四日が経とうとしている。

道中、何度か、賊や魔物に襲撃されたが、紫蓮しれんたちの敵ではなかったようだ。


PM15:30頃――。

彼らは、[トゥーサー国]の西方領土に在る中心都市に、足を踏み入れた。

ここ・・は、西方で最も栄えているため、街は割と大きく、人口も多い。

その表通りを歩きながら、夜摩やま美麗みれいが、

「ヴモモ、モ、モォー。」

「グガガ、ガ、ガァ~。」

瞳を輝かせて〝キョロキョロ〟している。

これに対して、

「うむ、うむ。」
「そうであろう、そうであろう。」
「我も、初めて人間の街を見た時は、感心させられたものよ。」

と、新羅しんらが述べた。

「それで、これから、どうします?」

窺う権蔵ごんぞうに、

「まずは、魔鉱石を売るとしよう。」

紫蓮が答える。

それを受けて、[取引所]を探す面子であった。


これまでに入手していた“魔鉱石”を、硬貨に変えた紫蓮らは、ある店舗に訪れていた。

ちなみに、魔鉱石は、金貨114枚・銀貨381枚・銅貨605枚、になったようだ。

これは、[ヒーゴン国]からの計算である。

さて…。

紫蓮たちが今いる場所は、テント(ゲル)関連を販売している店だ。

店主だという50代で小太りの男性が対応してくれている。

身長は155㎝くらいだろう。

腕毛は濃いが、髪の毛は薄めである。

見るからに気立ての良さそうな店主が、

「ん~。」
「現段階では、三番目に大きいテントで大丈夫だろうけど…。」
「“進化系”となると、体がどこまで成長するか不明だから、特大サイズにしておくのが良いかもしれないねぇ。」

との見解を示す。

「成程。」

紫蓮が頷き、

「じゃあ、それを購入しよう。」

と、承諾した。

「そうかい?」
「それじゃあ……、本来、金貨200枚のところ、150枚にしておいてあげるよ。」

まけてくれる店主に、

「いいのか?」

紫蓮が確認したところ、

「まぁ、一番大きなテントは、軍部の、お偉いさんぐらいしか買わないし…、よほどの事がない限り10年以上は余裕でもつからね、正直、売れ行きはかんばしくないんだよ。」
「なので、購入してくれれば、こちらとしては万々歳さ。」
「値引きしたとしてもね。」

と返ってきたのである。


新たなテントを買って、店を出たら、

「マスター、もう、出発、する?」

来夢らいむが訊ねてきた。

「いや、今日は、この街に泊まるとしよう。」

紫蓮が、そのように答えたところ、

来夢と新羅が〝よし!〟とガッツポーズしたのである。


この都市のなかでも、一二を争う規模だという宿で、最も広い部屋を押さえた紫蓮は、サーヴァントらと共に、干し肉や携帯用の水などを購入しながら、散歩を満喫していく。

その流れで入った大食堂での夕食にて、新羅と夜摩が、暴飲暴食している。

紫蓮や、他のサーヴァントも、飲食を楽しんでいた。

通常の食事のであれば、一人あたり銀貨が2枚もあれば充分で、お酒を何杯か頼んだとしても、ご飯との合計で銀貨4~5枚あれば事足りるところだ。

が。

新羅&夜摩によって、全員で金貨3枚の支払いになってしまったのである。

例えば、街や村にもよるが、銅貨10枚でコップ一杯分の水が相場のようだ。

そんな銅貨一枚の100倍にあたるあたいが、銀貨一枚となる。

更に、銀貨一枚の10倍値が、金貨一枚になるそうだ。

なにはともあれ、それなりに酔っ払った紫蓮らが、宿へと帰ってきた。

来夢も飲酒したが、スライムだからか全く酔っていない。

そんな一行は、“一泊・一人(一体)あたり金貨10枚=金貨50枚”の部屋にて、眠りに落ちていくのであった―。
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