GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第75話 協同

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翌朝、紫蓮しれんたちは、城塞都市から南東へと向かっていた。

ミノタウロスに占拠されたという森林までは、徒歩で一日ぐらい掛かるらしい。

その途中で、何度か魔物らとの戦闘になり、合計で約20体を倒したようだ。

夕暮れ時になり、紫蓮は野宿するとこに決めた。

テント(ゲル)を張って、焚火を起こし、干し肉をサーヴァント達に配る。

これを受け取った来夢らいむ権蔵ごんぞうが、〝ピクッ〟と反応を示し、南西の方角に視線を送った。

「何か、来る。」

来夢の発言に、

「敵か?」
「数は??」

紫蓮が訊ねたところ、

「人間か、人外かは、分かりませんが、一つのみです。」

権蔵が述べたのである。

ゆったりとした足取りで、彼らの前に現れたのは、気品漂う、青い瞳の“白虎”であった。

全長は、新羅しんらと同じ2.5Mくらいだろう。

紫蓮が刀の柄に手を掛けたら、〝ピタッ〟と止まった白い虎が、

「グゥ~、ガ、ガ、ガウッ、ガ、ググゥ~ッ」

と、唸ったのである。

(威嚇か??)

そう思った紫蓮に、宙に浮いている新羅が、

「ふむ。」
「〝ここら辺で、ミノタウロスを見なかったか?〟と聞いておる。」

と通訳した。

「分かるのか?」

紫蓮が、いささか目を丸くし、

「しつこいようじゃが…、龍族は知能が高いからの。」

新羅が微笑んだ。

〝森林のミノタウロスを討伐しに行く〟ことを、紫蓮が告げる。

この虎は、どうやら人間の言葉を理解できるらしく、

「ガガッ、ガッ、グゥ~、ガ、ガウッ。」

と、返してきた。

それを、

「同行を願っておるようじゃ。」

新羅が解説する。

こんな感じで、白虎の話しを聞いていったところ…、なんでも、二週間ほど前に、住処すみかにしていた竹林ちくりんを、一頭のミノタウロスに荒らされてしまったらしい。

[オゥスミ―国]の南方領土に在るという竹林には、白い虎以外に、幾らかのモンスターと動物が住んでいたものの、半数近くが命を奪われてしまったそうだ。

また、多くの竹が破損しているとも…。

いずれにせよ、この虎は、仇を討つべく、オゥスミ―からトゥーサーに渡ってきて、ミノタウロスを探しているとの事だった。

「成程…。」
「俺たちは、明日の朝に出発する。」
「取りあえず、腹が減ってんなら、一緒に飯を食うといい。」
「干し肉でも良ければ、だがな。」

促した紫蓮に、

「ガガ、グ、ガウ~ッ。」

白虎が頭を下げ、

「〝かたじけない〟と申しておるぞ。」

新羅がやくす。

「ところで……、お前の性別は?」

紫蓮が窺い、

「グガッ。」

白い虎が答え、

「“メス”のようじゃな。」

新羅が伝えたのであった―。
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