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― 第三章・南陸行路 ―
第73話 新羅の訳柄
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「お陰で助かったわいッ。」
「心より感謝するぞ。」
黒龍の“新羅”が頭を下げる。
権蔵が、
「ところで…、何故、あれほどの傷を負っていたのです?」
「“龍”であれば、あれしきの敵に追い詰められる事など、ないでしょうに。」
との疑問を投げかけた。
これに、
「うむ。 それがな……。」
「我は、龍族が住まう秘境とも言える巨大な島から、広い世界を見て回るべく、数日前に旅立ったのだが…、なにもかもが目新しくて、眠るのも殆ど忘れて飛行しておったら、疲れてしまっての。」
「つい、この場で、うたた寝をしてしもうたのよ。」
「そこを襲撃されてしまい、あのようになっていたという訳じゃ。」
「とんだ醜態をさらしてしまって、恥ずかしい限りじゃわッ!」
「ふははははッ!!」
愉快そうに笑う新羅であったが、次の瞬間には真顔になり、
「しかし…、我は、龍族の中でも、たかだか150年ほどしか生きておらぬ“ひよっこ”故に、あ奴らには勝てなかったやもしれん。」
「“龍の国”から出たのは初めてのことだし、実戦経験など無いに等しいからのぉ。」
「サーヴァントを4体は倒したものの、己らの加勢がなければ、きっと殺されておったじゃろうな。」
「いや、危ない所であったわい。」
「我を救ってくれて、有難い限りじゃ。」
と、目を細める。
「龍って、強えのか? 弱えのか? どっちなんだ??」
首を傾げる紫蓮に、
「最強の種族、の、一つ。」
来夢が答えた。
「他の面子は?」
紫蓮が訊ねてみたところ、
「こちらの新羅さんとは別のタイプが存在している筈です。」
「なんでも、〝二足歩行であり、背中に翼が生えている〟とか…。」
「あとは、神や、魔王などの、一族が、“最強”に名を連ねています。」
権蔵が説明したのである。
「そうか…。」
〝ふむ〟と頷く紫蓮に、
「ところで、己らは、どこかへ行く途中なのか?」
新羅が質問した。
「ああ、“トゥーサー”という国を目指して、旅しているところだが……、まずは、この国の東に在る街に寄ろうと思っている。」
紫蓮が答えたら、
「何?!」
「それは、もしや、“人間の街”か?」
新羅の表情が曇った。
「そうだが…、なんか問題でもあるのか?」
紫蓮が窺い、
「う…む。」
「あれは、一昨日あたりであった。」
「そことは別の街に入ろうとしたら、弓矢に魔法で威嚇されてのう…、退散を余儀なくされてしもうたのじゃ。」
新羅が返す。
「ああー、それなら、多分、大丈夫だろう。」
「今は、お前の額に“サーヴァントの刻印”が有るからな。」
「それが無いと、敵とみなされて攻撃されてしまうんだ。」
そのように教えた紫蓮に、
「おおう! 真か!?」
「ならば、我も、人族の街で大手を振るえるのじゃな?!」
新羅が瞳を輝かせた。
「そうだな、この国も、人間や獣人などが街に入るのを認めているからな。」
「サーヴァント以外の魔物とかは、許可してねぇけど。」
紫蓮が述べたところ、
「で、あるか!」
「我は、以前より、人族や獣人族に妖精族の街を散策してみたかったからのぉ…、己と契約して良かったわい!」
嬉しそうにする新羅であった―。
「心より感謝するぞ。」
黒龍の“新羅”が頭を下げる。
権蔵が、
「ところで…、何故、あれほどの傷を負っていたのです?」
「“龍”であれば、あれしきの敵に追い詰められる事など、ないでしょうに。」
との疑問を投げかけた。
これに、
「うむ。 それがな……。」
「我は、龍族が住まう秘境とも言える巨大な島から、広い世界を見て回るべく、数日前に旅立ったのだが…、なにもかもが目新しくて、眠るのも殆ど忘れて飛行しておったら、疲れてしまっての。」
「つい、この場で、うたた寝をしてしもうたのよ。」
「そこを襲撃されてしまい、あのようになっていたという訳じゃ。」
「とんだ醜態をさらしてしまって、恥ずかしい限りじゃわッ!」
「ふははははッ!!」
愉快そうに笑う新羅であったが、次の瞬間には真顔になり、
「しかし…、我は、龍族の中でも、たかだか150年ほどしか生きておらぬ“ひよっこ”故に、あ奴らには勝てなかったやもしれん。」
「“龍の国”から出たのは初めてのことだし、実戦経験など無いに等しいからのぉ。」
「サーヴァントを4体は倒したものの、己らの加勢がなければ、きっと殺されておったじゃろうな。」
「いや、危ない所であったわい。」
「我を救ってくれて、有難い限りじゃ。」
と、目を細める。
「龍って、強えのか? 弱えのか? どっちなんだ??」
首を傾げる紫蓮に、
「最強の種族、の、一つ。」
来夢が答えた。
「他の面子は?」
紫蓮が訊ねてみたところ、
「こちらの新羅さんとは別のタイプが存在している筈です。」
「なんでも、〝二足歩行であり、背中に翼が生えている〟とか…。」
「あとは、神や、魔王などの、一族が、“最強”に名を連ねています。」
権蔵が説明したのである。
「そうか…。」
〝ふむ〟と頷く紫蓮に、
「ところで、己らは、どこかへ行く途中なのか?」
新羅が質問した。
「ああ、“トゥーサー”という国を目指して、旅しているところだが……、まずは、この国の東に在る街に寄ろうと思っている。」
紫蓮が答えたら、
「何?!」
「それは、もしや、“人間の街”か?」
新羅の表情が曇った。
「そうだが…、なんか問題でもあるのか?」
紫蓮が窺い、
「う…む。」
「あれは、一昨日あたりであった。」
「そことは別の街に入ろうとしたら、弓矢に魔法で威嚇されてのう…、退散を余儀なくされてしもうたのじゃ。」
新羅が返す。
「ああー、それなら、多分、大丈夫だろう。」
「今は、お前の額に“サーヴァントの刻印”が有るからな。」
「それが無いと、敵とみなされて攻撃されてしまうんだ。」
そのように教えた紫蓮に、
「おおう! 真か!?」
「ならば、我も、人族の街で大手を振るえるのじゃな?!」
新羅が瞳を輝かせた。
「そうだな、この国も、人間や獣人などが街に入るのを認めているからな。」
「サーヴァント以外の魔物とかは、許可してねぇけど。」
紫蓮が述べたところ、
「で、あるか!」
「我は、以前より、人族や獣人族に妖精族の街を散策してみたかったからのぉ…、己と契約して良かったわい!」
嬉しそうにする新羅であった―。
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