GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第三章・南陸行路 ―

第71話 遭遇

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一週間ほどが過ぎて、紫蓮しれんらは、[オゥスミー国]の北方領を南東へと進み、東方領に入ろうとしていた。

ここら辺は、あちらこちらに“岩壁”が点在している地帯のようだ。

一応は道らしい場所を歩いている紫蓮たちの、右斜め前200Mぐらいの位置から、

グオオオオ―ッ!!

といった叫び声が聞こえてきた。

「なんだ?」

首を傾げる紫蓮に、

「行ってみますか? ご主君。」

権蔵ごんぞうが確認する。

「ああ、そうだな。」

頷いた紫蓮を先頭に駆けてゆく一行であった。


100Mくらい近づいてみたところ、全長2.5M程の“黒い龍”が、腹部の数ヵ所から流血しつつ、一つの岩壁に追い詰められていたのである。

その龍の眼前には、40代前半で男性の戦士・30代後半で男性のシーフ盗賊・20代後半で女性のクレリック・20代前半のウィッチ魔女と、アント(蟻)/ゴブリン/スライム/ハーピーが、構えていた。

魔物たちは、この人間らのサーヴァントだろう。


紫蓮らが、一旦、止まって、様子を見る。


背丈が180㎝はありそうな戦士が、

「あと少しだ!」
「気ぃ抜くなよ!」

と、周囲に告げた。

身長170㎝ぐらいのシーフが、

「絶対に、逃がすんじゃねぇぞ!」

と声を掛ける。

「当前よ!」
「龍の鱗や角に牙は高値で売れるんだから、必ず仕留めましょう!」

そう述べたのは、背丈が165㎝くらいのクレリックだ。


「要は…、あの黒龍を、賊どもが狙っていることか?」

訊ねる紫蓮に、

「間違いなさそうですね。」

権蔵が答えた。

「マスター、龍、助けるべき、かも。」

来夢らいむの言葉に、

「…だな。」

同意した紫蓮が、

「装備、変更!」

と、唱えた事によって、それぞれの衣類が〝シュンッ!〟と瞬時に様変わりしたのである。

紫蓮は【武士】の鎧兜、権蔵は【騎士】の甲冑、来夢は【武闘家】の胸当てなど、になっていた。

来夢と権蔵の装備品は、紫蓮が新たに購入してあげたらしく、サイズが合っているみたいだ。

「じゃあ、救出といくが…、油断するなよ。」

意思の疎通を図り、再び走りだす紫蓮たちだった…。


「お前のお陰で一獲千金できそうだ。」
「感謝するぜ。」

戦士が〝ジリッ ジリッ〟と間合いを縮めていく。

「恨むなよぉ。」
「こんなとこで、白昼堂々と寝ていたそっちがわりぃんだからな。」

右斜め後ろからシーフが続いた。

黒い龍は、忌々しそうに、こいつらを睨んでいる。

そこへ、紫蓮が左の掌から“雷撃”を放ち、戦士の背中に、

ズバァンッ!!

と命中させた。

「がッ!?」

うつ伏せで崩れ落ちた戦士が、痙攣する。

「なんだ?!」

他の面子が振り向くなり、シーフの顔面に、来夢による右の飛び膝蹴りが炸裂した。

「ぶッ!!」

そのシーフが仰向けで倒れゆくなか、権蔵の“火の玉”が、クレリックの腹部にヒットしたようだ。

「ちょっと、皆ぁ!」

身長160㎝ほどの魔女が焦っている。

そんな彼女の喉元に、刀の切っ先が、〝ピトッ〟と当てられた。

「降伏するか?」

紫蓮が窺う。

「うぅ~……。」
「する! します!」

ピンチに陥った魔女は従ったものの、空中に居たハーピーが、紫蓮を襲うべく、急降下してくるのであった―。
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