GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第68話 適材適所

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翌日、敵味方関係なく戦で亡くなった兵士や、神の犠牲となって命を落とした民間たちの、追悼式が執り行われた。

更に次の日、晴清はれきよの国主就任の儀と、“チークゥゴン国”の復活が、王都あらため首都にて、盛大に祝われたのである。

これらを見届けた元神次かみつぐは、清虎きよとらたちに別れを告げ、都を去った。

その際に、宮廷魔術師らの中から、10名ほどが、彼の考えを尊重して、伴ったようだ。

ここから一週間内には、新生チークゥゴン国の中央に在る全ての街が、恭順の意を示した。

東・北・西の領主である神々は、徹底抗戦の構えを見せたが、民衆の激しい反発によって、国から逃げ出したのである。

それによって、総帥は、さちを宰相に任じ、これまでの戦で活躍した者たちを新たな領主に定めた。

【騎士】である老将は例の如く拒否したものの、侍王と、チークゥゴンの国主による、再三の説得にて、

「最も暴れられる領土であれば、お引き受けしましょう。」

と、折れたのである。

“影”ら隠密隊の情報収集によれば、約二ヶ月後には他の神国しんこくが動き出しそうだとの事であった。

なかでも本腰を入れそうなのは、北西の[南陸なんりく第五神国]と、北東の[南陸第六神国]のようだ。

西の[南陸第九神国]や、東の[南陸第十一神国]は、どちらも南側に人間の国が存在しているので、チークゥゴン国との戦は、極力、避けたいらしい。

隙を突かれて北上された場合、挟み撃ちにされかねないので。

こういった理由で、かの老将は、激戦区になりそうな北方の領主になる事を決めたのだった…。


清虎は、一旦、ヒーゴン国に帰還していた。

紫蓮しれんたち“近衛兵”も、それに従ったようだ。

だが、幸永歌さえか永美香えみかは、チークゥゴン国に残っている。

幸永歌は姉の幸彩さあやと共に、母親である幸を手伝うため。

永美香は、兄の晴虎はるとや弟の清斗きよとと一緒に、父親の晴清に助力すべく。

ちなみに、晴清は、妻も呼び寄せたらしい。

永虎ながとら凛琥りくは、それぞれの実家に帰省している。

隠密隊は、数を半分に分けたようだ。

“影”は、それまでどおり、ヒーゴン国を担当する。

チーグゥゴン国の隠密隊に関しては、黒兎こと“跳風はねかぜ”が隊長に、黒いたちこと“旋風つむじ”が副長になっていた。

信義のぶよしはヒーゴン側である。


年が明け、神や、人間に、獣人と、妖精の国では、宴が催されていた。

魔物には、そのような習慣が無いものの、他国と同様に、暫し戦いを忘れて過ごしているみたいだ…。


なんだかんだで、およそ一ヶ月が経った。

近衛兵用の男性宿舎にて、ベッドで仰向けになり、天井を見つめる紫蓮は、何やら考え込んでいるようだ―。
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