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― 第二章・それぞれの成長 ―
第65話 王城にて・前編
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「なッ?!」
突如、その広間の中央に現れた集団に、[南陸第十神国]の王である神が驚いて立ち上がり、
「きさまらは一体?」
眉間にシワを寄せた。
一歩前に〝ズイッ〟と出た清虎が、
「ヒーゴン軍の総大将と、その身内じゃよ。」
不敵な笑みを浮かべる。
「何ッ??」
目を丸くした一柱が、その団体の中に、自身の配下である“神次”を見付けたようだ。
「お前は……、裏切ったのか?」
「いや、余に献上すべく連れて来たのであろう。」
「余は、そなたの忠誠心を常日頃から高く評価しておる!」
「決して謀反を起こすわけがない。」
「よくやった! 大義である!!」
神の発言に、“影”が自身の左腰に帯びている刀を抜こうと、柄に手を掛けた。
この場に【瞬間移動】させた宮廷魔術師を斬首するために。
しかし、その男が、
「いいえ。」
首を横に振った後に、
「陛下への、お別れを告げに参りました。」
と、会釈したことによって、“影”が刀の柄から手を放したのである。
「な、ん、だ、とぉ~ッ!」
「舐めくさりおってぇッ!!」
「かくなるうえは、皆殺しにしてくれるわぁあッ!!!!」
怒りを顕わにした一柱が、直径4Mの魔法陣を構築し、幅30㎝×長さ2Mの【光線】を200本ほど放っていく。
これに素早く反応した幸が【結界】を張ったことによって、全て防ぎきれたようだ。
後ろを向かずに、
「あとは儂に任せよ。」
と侍王が促し、軽く頷いた幸が結界を解いた。
2歩、3歩と、進み出る総帥に、
「一人で余に挑む気か?」
「よかろう、その度胸に免じて、お前から葬ってやろうぞ、老いぼれめッ!!」
再び怒鳴った神が、改めて直径4Mの魔法陣を展開していく。
それに対して、清虎が右脚に炎を宿す。
ズボゥッ!!
発射された幅4Mのビームに、侍王が右足を蹴り上げ、同じぐらいの大きさの火炎を、
ボォウワッ!!
と、飛ばした。
ドォオ―ンッ!!
ぶつかり合った光線と炎とが爆発する。
煙が漂うなかで、一柱と総帥が睨み合う。
すると、紫蓮たちの背後10Mくらいの場所に在る扉が開き、覗き込んだ二人の衛兵が、
「侵入者だ!」
「応援を呼びに行こう!」
と慌てた様子で去っていった。
「それじゃあ、俺らは、あっちに集中しますかね。」
セルグの意見に、清虎以外の面子が体を反転させる。
「では、私も共に戦いましょう。」
申し出た神次が、自分の“魔法の杖”を強く握りしめた。
ほぼ同時に、この国の王が右手の“ラージソード”を振り上げる。
ヒーゴンの侍王を両断すべく―。
突如、その広間の中央に現れた集団に、[南陸第十神国]の王である神が驚いて立ち上がり、
「きさまらは一体?」
眉間にシワを寄せた。
一歩前に〝ズイッ〟と出た清虎が、
「ヒーゴン軍の総大将と、その身内じゃよ。」
不敵な笑みを浮かべる。
「何ッ??」
目を丸くした一柱が、その団体の中に、自身の配下である“神次”を見付けたようだ。
「お前は……、裏切ったのか?」
「いや、余に献上すべく連れて来たのであろう。」
「余は、そなたの忠誠心を常日頃から高く評価しておる!」
「決して謀反を起こすわけがない。」
「よくやった! 大義である!!」
神の発言に、“影”が自身の左腰に帯びている刀を抜こうと、柄に手を掛けた。
この場に【瞬間移動】させた宮廷魔術師を斬首するために。
しかし、その男が、
「いいえ。」
首を横に振った後に、
「陛下への、お別れを告げに参りました。」
と、会釈したことによって、“影”が刀の柄から手を放したのである。
「な、ん、だ、とぉ~ッ!」
「舐めくさりおってぇッ!!」
「かくなるうえは、皆殺しにしてくれるわぁあッ!!!!」
怒りを顕わにした一柱が、直径4Mの魔法陣を構築し、幅30㎝×長さ2Mの【光線】を200本ほど放っていく。
これに素早く反応した幸が【結界】を張ったことによって、全て防ぎきれたようだ。
後ろを向かずに、
「あとは儂に任せよ。」
と侍王が促し、軽く頷いた幸が結界を解いた。
2歩、3歩と、進み出る総帥に、
「一人で余に挑む気か?」
「よかろう、その度胸に免じて、お前から葬ってやろうぞ、老いぼれめッ!!」
再び怒鳴った神が、改めて直径4Mの魔法陣を展開していく。
それに対して、清虎が右脚に炎を宿す。
ズボゥッ!!
発射された幅4Mのビームに、侍王が右足を蹴り上げ、同じぐらいの大きさの火炎を、
ボォウワッ!!
と、飛ばした。
ドォオ―ンッ!!
ぶつかり合った光線と炎とが爆発する。
煙が漂うなかで、一柱と総帥が睨み合う。
すると、紫蓮たちの背後10Mくらいの場所に在る扉が開き、覗き込んだ二人の衛兵が、
「侵入者だ!」
「応援を呼びに行こう!」
と慌てた様子で去っていった。
「それじゃあ、俺らは、あっちに集中しますかね。」
セルグの意見に、清虎以外の面子が体を反転させる。
「では、私も共に戦いましょう。」
申し出た神次が、自分の“魔法の杖”を強く握りしめた。
ほぼ同時に、この国の王が右手の“ラージソード”を振り上げる。
ヒーゴンの侍王を両断すべく―。
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