GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第62話 来夢と権蔵

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ズドォオンッ!!

神が仰向けで倒れた。

「やったか!?」

永虎ながとらが様子を窺ったところ、一柱が上体を〝むくッ〟と起こしたのである。

「げッ! マジかよ…。」

眉間にシワを寄せたのは凛琥りくだ。

紫蓮しれんの一撃は、確かに、敵の首を貫いた。

しかし、死滅させるには至らなかったようだ。

現時点での紫蓮と、神との、“強さ”の差であろう。

それでも、

「がはぁあッ!!」

と、血を吐かせるほどのダメージは与えられたようだ。

「この機を逃すな!」
「全員、突撃ぃーッ!!」

セルグの合図で、誰もが走り出す。

紫蓮は、信義のぶよしによって、地面に着地させてもらっている。

「良き戦働いくさばたらきをしたな、若武者よ。」

そう褒めた信義が、一柱の方へと飛んでいく。

見れば、他にも、翼や羽を有している獣人や半獣にサーヴァントが、敵めがけて下降していた…。


紫蓮が徒歩で合流する頃には、セルグたちが神を討ちとっていた。

彼に気付いた永虎が振り向いて、

「お! 紫蓮、お手柄だな。」

と微笑み、その左隣に居る凛琥が、

「流石だぜッ!」

右の拳を突き出す。

その向こう側から、

「痛ててててッ!!」

と、言いながら、騎士用の甲冑を〝ガシャン! ガシャン!〟と脱ぎ捨てている者がいた。

その存在を認識するなり、

「もしかして…、権蔵ごんぞうか?!」

紫蓮が目を丸くしたのである。

無理もない。

「あ、ご主君、すみません。」
「体が成長して、鎧兜が合わなくなったみたいなので…。」

そう説明するゴブリンの身長が15㎝は伸びて、157㎝程になっていたのだから。

更には、12歳くらいの見た目だったのが、14~15歳になっている。

髪の毛だけは以前と変わりがないようだ。

ただ、衣服は七分丈みたいになっていた。

「いや、それはいいとして……、喋れるのか?」

未だ状況が掴めないでいる紫蓮に、

「はい。」
「新たに進化した結果、会話が可能になったみたいです。」

と権蔵が説明したのである。

驚きを隠せないでいる彼の左側から、

「紫蓮くん、こっちもだよ。」

ラルが声を掛けてきた。

どうやら、千代ちよたちも、勝利を収めたらしい。

その女性陣のなかにいる人型・・が、

「マスター、これ、小っちゃい。」

と、口を開いたのである。

「……、来夢らいむ、だよな?」

再び戸惑う紫蓮の視線の先には、武道着が寸足らずになっているスライムが立っていた。

胸当てなどの装備品は、権蔵と同様に外してしまったようだ。

そんな来夢は、背丈が160㎝ぐらいで、17歳前後の容姿になっている。

「その色は??」

紫蓮の質問に、

「バブルスライム、に、なった、から?」

来夢が首を傾げた。

このスライムは、全身が紫色になっていたのだ。

髪や、黒い眼球と爬虫類のような黄色い瞳は、変わっていない。

ちなみに、二体とも裸足になっている。

来夢と権蔵の姿には、紫蓮だけでなく、永虎と、凛琥に、永美香えみかや、幸永歌さえかも、言葉を失っていた。

そこに近づいてきた馬上の清虎きよとらが、

「ほぉう、どちらも成長したようじゃの。」

と述べる。

「お祖父じい様、どういうこと?」

質問する幸永歌に、

「ふむ。」
「知らなんだか…。」
「人外たちは、進化に伴い、姿形すがたかたちが変貌したり、知能が発達するんじゃよ。」
「また、実力も、当然ながら上がっておる。」
「ま、成長するか否かは種族によるがのぉ。」

そう教えてくれた侍王であった―。
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