GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第61話 裏技的な・・・・。

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紫蓮しれんら近衛兵や、“影”たち隠密隊の男性陣が、膝を屈していたり、尻餅を着いていたり、横倒れになっている。

金時きんときを中心に、その周辺に居る者らは、彼の【癒しの光】で、それ以外は各自の[ポーション]にて、傷を治していく。

相対する一柱は、ラージソードを〝杖代わり〟にして倒れまいと堪えていた。

立ち上がった凛琥りくが15㎝くらいの“氷の礫《つぶて》”を100個ほど放ち、永虎ながとらが直径40㎝の球体による爆発を起こす。

二人の、現在のクール(リキャスト)タイムは、一つのスキルにつき、8分である。

口から直径30㎝の“火の玉”を発射した権蔵ごんぞうのクールタイムは、8分30秒だ。

このゴブリンは【武器伝導】が使えないらしい。

今のところ・・・・・は。

セルグが右手から“雷撃”を飛ばし、影が左手から“毒霧”を噴射した。

彼らのリキャストタイムは、4分である。

また、二人に続いて直径3Mの球体である“神火かみび”を放った金時きんときも、4分間のクールタイムが必要なようだ。

ちなみに、彼の【結界】は6分間の使用後に、やはり4分間のリキャストタイムになる。

そんな、狸の獣人である金時は、神官の白装束と浅葱色の袴に、黒鉄の額当て/胸当て/籠手/腰回り/脛当てを装備していた。

額当ては、ハチマキ型ではなく、幅広タイプのようだ。

話しを戻そう。

ヒーゴン側の連続攻撃に、

「ぐぬぅ~ッ!」

と呻いた敵が、翼をはためかせて、5Mぐらい浮き上がり、彼らに向けて直径3Mの魔法陣を構築していく。

四神将ししんしょうらのクールタイムは、一つの能力につき、2分30秒のようだ。

リキャストタイムなどに縛られていないのは“成れの果て”くらいである。

連中は、この世の“ことわり”から外れた存在なので、クールタイムが無いのだそうだ。

さて…。

金時は、およそ2分前まで結界を張っていたので、あと2分は発動できない。

他の者たちも、各自、リキャストタイムに突入してしまっている。

状況は、確実に不利だ。

そのような形勢のなかで、一柱の近くに居た紫蓮が、〝ぐッ〟と、しゃがんで、両足に“雷”を纏っていく。

バチッ! バチバチッ! バチィッ!

音が鳴った次の瞬間、それ・・を下方に発射して、

ビュオッ!!

と、飛んだのである。

凛琥や永虎が、

「うおッ?!」

と驚き、

「その手があったか…。」
「いや、〝そのがあった〟と言うべきか?」

セルグが苦笑いした。

彼もまた、足で“雷撃”を扱えるのだが、本来、紫蓮のような使い方はしないので、発想になかったようだ。

なにはともあれ、紫蓮が飛び上がりながら、今度は刀に“雷”を帯びさせていく。

かなりの速度で、胸元あたりまで接近した甲冑姿の人間に、

「なッ?!」

と、驚いた一柱の動きが止まる。

それを逃さない紫蓮が、両手で握りしめた刀を突き出したところ、

ズバァアンッ!!

と放たれた一筋の“雷撃”が相手の首を貫通した。

敵が〝ぐらぁッ〟と仰向けで倒れゆくなか、紫蓮も落下していく。

(やべぇ、着地のこと考えてなかった。)

いささか焦る紫蓮の両肩を、鳥特有の足で〝ガシッ!〟と掴んだのは、信義のぶよしだった―。
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