GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第60話 雪時雨

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光線ビームで射抜かれた来夢らいむが尻餅を着いた。

近くに居たリスの半獣である“ラル”が、

「来夢ちゃん!!」

血相を変える。

だが、当のスライムは、平然と立ち上がった。

「んんー??」

首を傾げるラルの背後から、狼の獣人である“フーリィ”が、

「おそらく、コアを直撃しなかったんだろう。」

と、述べたのである。

それを聞いて、

「あー、そういう事か。」

ラルが納得した。


この世界のスライム達は、長さ5㎝×最大幅2.5㎝の“クリスタル形”のコアを、体内に有している。

その色は容姿と一緒らしい。

例えば…、普通のスライムであれば水色、毒のポイズンスライムは紫色、混乱のコンフュージョンスライムが黄色、麻痺のパラライズスライムは赤色であり、特殊なメタルスライムが銀色なのだそうだ。

そのため、外側から見ても、どこに核があるのか分かり辛い。

ちなみに、進化系のスライムが人型になっている時には、胸の中心にコアが収まっている。

なので、来夢は、死なずに済んだようだ。


このグループの最後尾から、

「およそ8分は“冥護みょうご”が使えないから、皆、そのつもりでいて!」

永美香えみかが声を掛けた。

右隣の幸永歌さえかが、

「私に任せておけば大丈夫よ!!」

と直径50㎝の魔法陣を自身の正面に出現させ、一本の雷撃を放つ。

左太腿にヒットした一柱の動きが止まるも、すぐにラージソードを右上から叩き付けてくる。

標的になったのは、褐色肌の“ヴォニー”だ。

彼女が、自分の大剣を横にして、

ガキィインッ!!

と、受け止めるも、パワー負けしてしまい、地面に右膝を着く。

「あれ? 雷で痺れていない??」

目を丸くする幸永歌に、

「それだけ相手が格上ってことでしょ。」

永美香が見解を示した。

その間に、ソードでヴォニ―を押し込んでいる神の上半身に、千代ちよが、25㎝サイズの“氷のつぶて”を200個ほど浴びせ掛けたのである。

5歩ぐらい後退した敵が、直径3Mの魔法陣を構築した。

それと同じ大きさの光線を発射すべく。

こちらには【結界】を張れる者がいないので、くらったら一溜まりもないであろう状況に、千代たちが緊張する。

一柱の攻撃を阻もうと、来夢が、

ブワッ!!

と広がりながら、顔面を襲う。

しかし、右斜め下から左斜め上へと、ラージソードを払われ、

シュパンッ!

と、斬れて、地面に落ちた。

両断されてしまった来夢ではあったが、即座に合わさり、一つに戻ったのである。

このスライムのお陰で、神の集中が削がれ、魔法陣が消失したようだ。

そんな敵の腹部を、ヴォニーが左のてのひらから放射した最大幅1Mの“火炎”が燃やす。

これを反撃の狼煙として、千代らが続く。

そこへ、親衛隊を倒したらしい“隠密隊”の女性陣44名が駆け寄って来る。

気づけば、雪は雨混じりとなっており、雲の切れ間から光が差し込んでいた―。
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