GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第56話 黒鼬

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ワーウルフの攻撃が停止したタイミングで、さちが結界を解除した。

それに合わせて跳風はねかぜら隠密隊が突撃していく。

流石はアサシンの集団なだけあって、目にも留まらぬ速さだ。

敵勢との距離を一気に詰めていき、“ダガー短剣”や“忍び刀”で急襲する。

声をあげることさえ許さず死滅させていく手際に、

「見事ね。」

と、感心した幸が、直径4Mの魔法陣を構築した。

「さて…、覚悟はいいかしら?」
「いくわよ!」

幸が魔法陣と同じ大きさの“白金の球体”を放つ。

これは“鬼火”や“狐火”のようなものらしいが詳細は不明であり、ほぼほぼ丸い形をしている。

俗に“神火かみび”と呼ばれているそうだが、この世界で幅を利かせているアイツらとは関係ないみたいだ。

〝ビュオッ!〟と発射された神火が、上半身に直撃するなり〝バシュッ!!〟と破裂して、粉砕される狼型であった…。


一方、右翼軍に合流している晴清はるきよは、配下の神官が張った【結界】に守られている。

この男性は40代であり、羽織袴に軽めの鎧兜を装着しているようだ。

馬上の晴清は、緑色を基調とした“ウィザードローブアーマー”を纏っている。

サークレット・胸当て・腰回り・籠手・脛当ては銀で作られているみたいだ。

また、1.8Mぐらいの長さがあり割と豪華な装飾が施されている“魔法の杖”を、右手で握っている。

そんな彼の左側に、黒装束で身長170㎝程の男が進み出て、

「あのノールは、我々が片付けましょうか?」

と窺った。

この者は、イタチの黒い半面を被っており、その目元や耳などには黄色で模様が描かれている。

「やあ、“旋風つむじ”。」
「久しぶりだね。」

微笑んだ晴清に、

「ご無沙汰しております。」

と、隠密隊のNo.3が頭を下げた。

彼もアサシンではあるが、詳しくは【忍者】らしい。

その旋風もまた、100名ほどを率いているようだ。

「んー、それでも構わないんだが…、私が倒すのが良いだろうね。」
「防戦になって意気消沈している皆の士気を高める為にも。」
「なので、君たちは“成れの果て”を操っている連中に当たってもらえるかい?」

晴清の言葉に、

「はッ!」

と旋風が応じる。


晴清の命令で神官が結界を解くなり、隠密隊が駆けていった。

こちらも次から次へと敵兵を屠っていく。

その場から旋風たちが離れたのを見計らって、晴清が、ハイエナ型の真下に直径3Mの魔法陣を展開する。

〝スーッ〟と浮き上がった直径1Mでオレンジ色の玉が、ハイエナ型の腹部で〝ピタッ〟と止まり、

ズドォォンッ!!

と、爆発したのだった―。
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