GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第50話 侮るなかれ

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凛琥りく晴虎はると清斗きよとや、幸永歌さえか幸彩さあやが、10Mほど離れた位置で、睨み合う。

今回は、晴清はるきよが審判を請け負ったようだ。

「あんた、本当に、私に勝てるって信じてるの?」

と冷めた視線の幸彩に、

「何度も言わせないで!」
「余裕よ!!」

と、幸永歌が告げる。

幸彩は、

「どうやら、お仕置きが必要そうね。」

と忌々しそうにした。

一方、

「謝るなら今のうちだぞ。」

と、見下す晴虎に、

「そっちこそ。」

と凛琥が突っぱねる。

晴清の、

「では…、始めぇ!!」

との合図に、鉄製の“忍び刀”を右手に握り締めている幸彩が、

「“瞬足”!」

と、唱えて駆け出した。

以前までの幸永歌であれば、そのスピードに対応できなかったであろう。

だが、今は違う。

正面に、直径1Mの魔法陣を出現させた幸永歌が、それと同じサイズの“水”を放つ。

その先端は、まるでとげのようだ。

幸彩は、それ・・をサイドステップで右へとかわす。

その右側面に、新たな魔法陣が展開される。

「くッ!」

と幸彩がバックステップで逃れ、誰も居なくなった場所に、幅10㎝×長さ50㎝の“風の矢”が、50本も飛んでいく。

〝スタッ!〟と左膝を地面に着けた幸彩が「少しは成長し」と褒めようとしたところ、足元に直径2Mの魔法陣が現れ、高さ4Mに昇る“火炎の柱”が発せられたのである。

「きゃッ!」

と、うつ伏せで倒れた幸彩が、

「やってくれたわね!」

と起きようとする真上に、再び直径2Mの魔法陣が展開されて、10本ぐらいの“雷”が落とされた。

まともにヒットした幸彩は、追加のダメージをくらうと共に、痺れで動けなくなってしまったようだ。


ほぼ同じ頃――。

右に左にと振り回される戦斧を、凛琥が〝ひょいッ ひょいッ〟と避けまくっていた。

「どうした、どうしたぁあッ!?」
「さっきまでの威勢はよぉッ!!」

と、晴虎が挑発するも、凛琥は冷静に様子を窺っている。

何故なら、清斗が、晴虎の後ろに〝ピッタリ〟くっついて、飛び出すタイミングを計っているからだ。

(持久戦に持ち込んでもいいんだけど…、それだと、こっちの強さが分からないか?)

と思案した凛琥は、(それならば!)と大きくバックステップして、最大幅2Mでいびつなクリスタル形の“氷の塊”を、右のてのひらから放った。

しかし、晴虎が、バトルアックスを右斜め上から左斜め下へと振るい、

バッゴォオンッ!!

と、粉砕する。

そこを、清斗が、

「隙あり!」

とダッシュで距離を詰めて来て、右のパンチを凛琥の顔めがけて繰り出す。

「わざとだよ。」

〝ニッ〟と笑みを浮かべた凛琥が左へと躱すなり、清斗の右太腿をレイピアの先端で刺した。

すると、清斗の右脚から腰にかけてが、

ビキビキビキビキィッ!!

と、氷漬けになったのである。

「な?! 武器伝導??」
「いつの間に覚えたんだ?!」

と驚く清斗に、

「つい、こないだ。」

と、述べた凛琥が、胸あたりを、右足の裏で蹴った。

仰向けで倒れゆく清斗を、晴虎が背後から受け止める。

そんな彼らに、凛琥が15㎝くらいの“氷のつぶて”を100個ほど出現させて、一斉に発射した。

晴虎と清斗が、これら・・・を浴びながら、

「待て! 待てって、凛琥!」

「痛てッ! 痛ててててッ!!」

と喚く。

「降参か?」

と、尋ねる凛琥に、二人が、

「ああ、認める!」

「参った! 参ったって!!」

とギブアップするのだった―。
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