GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第45話 事後

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敵の敗走から二時間以上が経っていた。

南方領土の都市…、特に城内の偵察に赴いていた隠密隊が戻って来たようだ。

ヒーゴン軍の本陣にて、“影”が、総帥に現状を知らせる。

「もぬけの殻じゃと?!」

と、少なからず驚いた清虎きよとらに、

「は!」
「金銀財宝を始めとした貴重品を持って、完全に撤退しております。」

と影が説明した。

「ふぅ~むッ。」
「民を見捨てるとは、腐りきっておるのぉ。」
「何が“神”じゃ!」

と、侍王が眉間にシワを寄せる。

そこへ、リスの半獣である“ラル”と、褐色肌の女性である“ヴォニ―”が、訪れた。

「ん? どうした?」

と尋ねる総帥に、ラルが、

「班長とバンヌを弔ってあげたいので、一度、ヒーゴンの首都に帰っても構いませんか?」
「また直ぐに合流しますので…、お願いします!」

と、頭を深々と下げる。

更に、

「どうか、ご慈悲を。」

とヴォニ―が続いた。

「うむ。」
「許可しても良いが…、幾ら冬とは言え、辿り着く頃には遺体が割といたんでおるやもしれん。」
「“瞬間移動”を収得しておる魔術師を手配してやろう。」
「それと…、ヒーゴンの国主になった虎政とらまさに、保次やすじとバンヌの墓を建てるよう連絡する故、暫し待て。」
「馬の面倒をよくみてくれていた礼じゃ。」

と、告げた清虎に、ラルとヴォニーが、それぞれ、

「ありがとうございます!」

「心より感謝します。」

と改めて会釈したのである…。


影の案内で、入城した侍王たちが、[謁見の間]に足を運んだ。

他に、総帥の孫らや、紫蓮しれんたち近衛衆に、左翼隊・右翼隊・最後尾を指揮していた幹部らが同行していた。

そこ・・に設置されている玉座風の大きめできらびやかな椅子に、

「ふんッ!」
「立派なことじゃのぉ。」

と、顔をしかめた清虎が、

「まぁ、よい。」

と振り向き、

「取り敢えず、みな、ゆっくり休め。」
「明後日から、再び、本格的に働いてもらうからの。」

と、笑みを零す。

「ははッ!」

と全員が、お辞儀するなか、セルグが、

「ところで…、誰が清虎様の馬を世話するんで?」

と、窺い、

「あ!」

と侍王が今更ながらに気付く。

これに、千代ちよが、

「新たに募集しては如何でしょうか?兵役免除を条件に。」
「そうすれば、即座に決まると思います。」
「それと…、可能であればですが、ラルとヴオニーを近衛兵に加えて戴けませんでしょうか?」

と、申し出て、狼の獣人であるフーリィが、

「どちらも、それに相応しい実績はあります。」

と後押しする。

これらを受けて、

「…………。」
「よし!ならば、一切合切を、そのように計らおう!」

と、承諾する総帥であった―。
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