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― 第二章・それぞれの成長 ―
第35話 和解
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翌朝――。
15畳ほどの室内で、永美香と幸永歌が対面していた。
そこは、白銀のボブショートに、ライトグリーンの瞳で、晴清の娘である永美香の部屋だ。
彼女の身なりは、白のワイシャツ/ピンクのネクタイ/薄紫色のブレザー&スカート/黒ニーソ/ベージュのショートブーツであった。
石とガラスで造られたローテーブルを挟んで、二脚の白いソファが置かれている。
彼女らは、それぞれソファに座って、向き合っていた。
背中あたりまでの長さがあり若干ウエーブしている髪と瞳が赤い、幸の娘である幸永歌に、
「お断りよ。」
と永美香が告げる。
自身の顔の前で、両手を〝パチン!〟と合わせた幸永歌が、
「この通り!」
と、何かを、お願いした。
こちらは、黒色で長袖のドレスワンピース/襟元に細長い赤のリボン/赤色ニーソ/黒の革靴といった服装だ。
「はぁーッ。」
と溜息を吐いた永美香が、
「一人で行きなさいよ。」
と、冷たい視線を送る。
「そこを、なんとか!」
と引かない幸永歌に、
「あのね、私は“クレリック”で、あなたは“ウィッチ”なんだから、必要ないでしょ?!」
と、半ば呆れ顔になる永美香だった。
〝スッ〟と体勢を戻した幸永歌が、
「そうだけど…、闘っていたら止むを得ず敵と接近戦になる時もあるだろうから、護身術みたいなのを習得しても損はないでしょ?」
と窺う。
「どういう風の吹き回し?」
「今まで、鍛錬なんて本気で取り組もうとしなかったくせに。」
「紫蓮にでも影響されちゃった?」
と、尋ねる永美香に、幸永歌が〝コクッ〟と頷いて、
「うまく言えないけど、このままじゃいけないって思わされたの。」
と真顔になる。
「……、確かに、そうね。」
と、同意して、〝ス―〟と立ち上がり、
「いいわ、一緒に頼んであげる。」
「ただし!」
「私はそこまでガチではやんないわよ。」
と意思表示する永美香に、
「ありがとう!」
〝ニパァ〟と笑みを浮かべる幸永歌であった。
訓練場には、5㎝ほどの短髪と瞳がライトブラウンで、虎政の息子である永虎と、凛琥が訪れていた。
眉あたりまでの長さの髪と瞳がスカイブルーである凛琥は、凛の息子だ。
その彼が、
「すまなかった!」
と、紫蓮に深々と頭を下げる。
「別にいいけど…。」
と返す紫蓮に、
「本当か!?」
と、凛琥が顔を上げたタイミングで、
「あー! なんでアンタたちまで居んのよッ?!」
と幸永歌が入ってきた。
その後ろには、永美香も見受けられる。
ちなみに、幸永歌は白の、永美香は緑の、ロングコートを羽織っていた。
「なんでって…、昨日の事を、紫蓮に謝りに来たんだけど?」
と、凛琥が答え、永虎が、
「俺は、その付き添いだ。」
と続いたのである。
「あ、そぉう?」
「別に、〝一緒に鍛錬したい〟って頼みにきた訳じゃないのね?」
と、どこか安心する幸永歌に、
「いや、これから、お願いするけど?」
と凛琥が伝える。
「なんでよッ!!」
と何故か怒る幸永歌に、
「なにキレてんだ?」
と、永虎が呆気に取られた。
永美香が、
「私たちの目的も同じよ、あなた達と。」
「ま、私は適当に流させてもらうけどね。」
と告げる。
「え? お前らも鍛錬するつもりなのか?」
と、少なからず驚く紫蓮に、凛琥と、永美香が、
「ダメなのか!?」
「嫌なの!?」
と距離を詰めてきた。
「い、いや、俺は構わねぇけど。」
と、紫蓮が許可したところ、
「よっしゃーッ!」
「やったぁあ!」
と二人が喜ぶ。
千代が、
「これって…、丸く収まったってことよね?」
と、首を傾げ、セルグが、
「ああ、清虎様の狙い通りにな。」
と苦笑いするのだった―。
15畳ほどの室内で、永美香と幸永歌が対面していた。
そこは、白銀のボブショートに、ライトグリーンの瞳で、晴清の娘である永美香の部屋だ。
彼女の身なりは、白のワイシャツ/ピンクのネクタイ/薄紫色のブレザー&スカート/黒ニーソ/ベージュのショートブーツであった。
石とガラスで造られたローテーブルを挟んで、二脚の白いソファが置かれている。
彼女らは、それぞれソファに座って、向き合っていた。
背中あたりまでの長さがあり若干ウエーブしている髪と瞳が赤い、幸の娘である幸永歌に、
「お断りよ。」
と永美香が告げる。
自身の顔の前で、両手を〝パチン!〟と合わせた幸永歌が、
「この通り!」
と、何かを、お願いした。
こちらは、黒色で長袖のドレスワンピース/襟元に細長い赤のリボン/赤色ニーソ/黒の革靴といった服装だ。
「はぁーッ。」
と溜息を吐いた永美香が、
「一人で行きなさいよ。」
と、冷たい視線を送る。
「そこを、なんとか!」
と引かない幸永歌に、
「あのね、私は“クレリック”で、あなたは“ウィッチ”なんだから、必要ないでしょ?!」
と、半ば呆れ顔になる永美香だった。
〝スッ〟と体勢を戻した幸永歌が、
「そうだけど…、闘っていたら止むを得ず敵と接近戦になる時もあるだろうから、護身術みたいなのを習得しても損はないでしょ?」
と窺う。
「どういう風の吹き回し?」
「今まで、鍛錬なんて本気で取り組もうとしなかったくせに。」
「紫蓮にでも影響されちゃった?」
と、尋ねる永美香に、幸永歌が〝コクッ〟と頷いて、
「うまく言えないけど、このままじゃいけないって思わされたの。」
と真顔になる。
「……、確かに、そうね。」
と、同意して、〝ス―〟と立ち上がり、
「いいわ、一緒に頼んであげる。」
「ただし!」
「私はそこまでガチではやんないわよ。」
と意思表示する永美香に、
「ありがとう!」
〝ニパァ〟と笑みを浮かべる幸永歌であった。
訓練場には、5㎝ほどの短髪と瞳がライトブラウンで、虎政の息子である永虎と、凛琥が訪れていた。
眉あたりまでの長さの髪と瞳がスカイブルーである凛琥は、凛の息子だ。
その彼が、
「すまなかった!」
と、紫蓮に深々と頭を下げる。
「別にいいけど…。」
と返す紫蓮に、
「本当か!?」
と、凛琥が顔を上げたタイミングで、
「あー! なんでアンタたちまで居んのよッ?!」
と幸永歌が入ってきた。
その後ろには、永美香も見受けられる。
ちなみに、幸永歌は白の、永美香は緑の、ロングコートを羽織っていた。
「なんでって…、昨日の事を、紫蓮に謝りに来たんだけど?」
と、凛琥が答え、永虎が、
「俺は、その付き添いだ。」
と続いたのである。
「あ、そぉう?」
「別に、〝一緒に鍛錬したい〟って頼みにきた訳じゃないのね?」
と、どこか安心する幸永歌に、
「いや、これから、お願いするけど?」
と凛琥が伝える。
「なんでよッ!!」
と何故か怒る幸永歌に、
「なにキレてんだ?」
と、永虎が呆気に取られた。
永美香が、
「私たちの目的も同じよ、あなた達と。」
「ま、私は適当に流させてもらうけどね。」
と告げる。
「え? お前らも鍛錬するつもりなのか?」
と、少なからず驚く紫蓮に、凛琥と、永美香が、
「ダメなのか!?」
「嫌なの!?」
と距離を詰めてきた。
「い、いや、俺は構わねぇけど。」
と、紫蓮が許可したところ、
「よっしゃーッ!」
「やったぁあ!」
と二人が喜ぶ。
千代が、
「これって…、丸く収まったってことよね?」
と、首を傾げ、セルグが、
「ああ、清虎様の狙い通りにな。」
と苦笑いするのだった―。
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