GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
28 / 294
― 第二章・それぞれの成長 ―

第28話 敵国へ

しおりを挟む
ひと際大きなテント内には、国主である清虎きよとらに、虎政とらまさ晴清はるきよと、東西南北の領主が集まり、軍議用のテーブル席で飲酒していた。

みなが談笑しているところ、清虎が、

「このまま北上しようと思う。」

と口を開いたので、その場が静まり返ってしまったのである。

晴清の、

「制圧なさるので?」

との問いに、

ゆくゆく・・・・は、の。」
「まずは国境付近の城塞都市を手に入れ、少しずつ版図を拡げていく算段である。」

と、答えた清虎が、更に、

「嫡子である虎政に家督を譲り、ヒーゴン国を任せる所存じゃ。」

と告げたのだ。

これには、虎政が、

「親父殿が乗り込むつもりで!?」

と、目を丸くし、晴清が、

「逆に、我らが敵国を攻略しますので、父上は首都に戻られては?」

と続いたのである。

しかし、

「いいや。」

と、首を横に振った清虎が、

「最終的には、かの国を晴清に治めさせるつもりではあるが…、それまでの間は虎政を補佐して政務を学んでおいてもらいたい。」
「これから年老いていく儂ならばいざ知らず、将来のあるお前たちを失う訳にはいかん。」
「何が起きるから分からんしのぉ。」

と述べたのだった。

数秒の沈黙を経て、

「ならば、父上に目付役を付けておきましょう。」

と、言いだした晴清に、

「なぬッ?!」

と清虎が反応を示したのである。

「ふははははッ!!」

と、豪快に笑った虎政が、

「それは良いッ!」

と何度も頷く。

「では、姉上と、涼にも、伝えて、それぞれの子を一人だけ送らせましょう。」
「跡継ぎ以外を。」

と、促す晴清だった。

ちなみに、彼らは4兄弟で、長男:虎政/長女:さち/次男:晴清/次女:りんの順である。

東方領主で【狙撃手】の女性が、清虎に、

「国境を超える人員は、どのようになさるおつもりでしょうか?」

と尋ねた。

37歳の彼女は、スレンダーな体型で、白金の髪を背中あたりまで伸ばしており、瞳はライトブラウンだ。

なかなかに美形である東方領主の質問に、

「今から選別したとて、時間がないしのぉ…。」
「う~む。」

と、清虎が悩む。

そこで、よわい61の西方領主が、

「ひとまず、全軍を投入し、城塞を陥落してから、そこで生活する者たちを決めれば宜しいのでは?」

と提案したのだった。

こちらは、白髪交じりの髪を〝お団子〟にしている。

瞳が青く、小太りである彼女のジョブは【クレリック】だ。

そんな東方領主の意見に、北方領主と南方領主の男性陣が同意する。

【騎士】である北方領主の年齢は58で、ダークブラウンの髪を短く刈っており、瞳は金色だ。

南方領主は33歳の【魔術師】で、華奢な体つきであり、眉辺りまでの長さの髪と瞳は黒い。

何はともあれ、

「うむ。西方領主の案を採用しよう。」
「それでは明日あす、“南陸なんりく第十神国しんこく”へと足を踏み入れようぞ!」

と、まとめる清虎であった。


翌日、朝食を済ませたヒーゴン国が進軍を開始する。

小一時間後のAM9:00頃に、目的地に到着した軍勢が、城塞都市を包囲していくのだった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神に冷遇された不遇スキル、実は無限成長の鍵だった

昼から山猫
ファンタジー
女神の加護でスキルを与えられる世界。主人公ラゼルが得たのは“不遇スキル”と揶揄される地味な能力だった。女神自身も「ハズレね」と吐き捨てるほど。しかし、そのスキルを地道に磨くと、なぜかあらゆる魔法や武技を吸収し、無限成長する力に変化。期待されていなかったラゼルは、その才能を見抜いてくれた美女剣士や巫女に助けられ、どん底から成り上がりを果たす。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

処理中です...