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― 第二章・それぞれの成長 ―
第27話 束の間の。
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刀を右から左へと振るい、“雷撃”を放ったのは、紫蓮であった。
[鮮紅の豹一団]との旅や、千代たちによる特訓を経て、彼は、【雷撃4(武器伝導)】を収得していたのだ。
この雷を、
ズババババァンッ!!
と、くらった一柱の神が、感電によって、
ビクッ!ビクッ!
と痙攣する。
これには、国主の清虎を始め、千代らも、
「おぉッ。」
と、少なからず驚いた。
最前線に構えている長男の虎政が、周囲に、
「止めを刺せぇいッ!!」
と号令を下す。
その一声に反応した味方の兵が、
「うおおおお――ッ!!!!」
と、殺到し、パニックに陥った敵軍が逃げ出したのであった…。
その夜は、野営地にて、祝勝会となった。
至る所で、それぞれの班が、焚火を囲んで、飲食や会話に花を咲かせている。
なかには、浮かれて踊っている面子もいるようだ。
「いやぁ~ッ、しっかし、あそこで紫蓮が雷撃を飛ばすとは、思いもよらんかった。」
と口を開いたのは、彼らの班長である“保次”だった。
リスの半獣である“ラル”が、
「確かにねぇ~、ビックリだったよ。」
と、続き、褐色肌で【戦士】の“ヴォニー”が、
「いずれにしても、大したもんだよ。」
「誰かさんと違ってな。」
と犬の半獣で【クレリック】の“バンヌ”に視線を送ったところ、
「しょうがないだろ。」
「僕はヒーラーなんだから、負傷者がいない限り出番はないのッ!」
と、ふてくされたので、〝ドッ!〟と笑いが生じたのである。
両脇を、スライムの来夢とゴブリンの権蔵に挟まれている紫蓮が、
「しかし、アイツら、“神”の割には、そんなに強くなかったような…。」
と疑問を呈したところに、背後から、
「なかでも下級の者たちだったんでしょ。きっと。」
との声が聞こえてきた。
これに一早く、バンヌが、
「おお! 千代さぁーんッ!!」
と、目を輝かせて立ち上がろうとするも、隣に座っているヴォニ―によって、
「失礼だろ!」
と左腹部に、右のグーパンチを、
ドスンッ!
と、くらわせられてしまった。
「ぐおッ!!」
と蹲る彼を他所に、千代/金時/フーリィ/セルグが、輪に入ってきたのである。
「“下級”って?」
と、尋ねる紫蓮に、狼の獣人である【武闘家】のフーリィが、
「ああ、そのままの意味さ。」
「つまり、今回の連中より強い神々は自国に控えていて、下っ端を送ってきたという訳だ。」
と説明した。
「成程…。」
と、納得しつつも、気になったのだろう、紫蓮が、
「その、高みの見物を決め込んでいる奴らは、どれくらいの力を持っているんだ?」
と質問する。
これに、金時が、
「さぁ、僕たちには分からないよ。」
「かつて上位の神々と戦った事のある清虎様たちは知っているんだろうけど…。」
と、返したのである。
「ま、なんにせよ、お前は活躍したんだから、難しいこと考えずに勝利の美酒を味わえよ。今は。」
と勧める【騎士】のセルグだった―。
[鮮紅の豹一団]との旅や、千代たちによる特訓を経て、彼は、【雷撃4(武器伝導)】を収得していたのだ。
この雷を、
ズババババァンッ!!
と、くらった一柱の神が、感電によって、
ビクッ!ビクッ!
と痙攣する。
これには、国主の清虎を始め、千代らも、
「おぉッ。」
と、少なからず驚いた。
最前線に構えている長男の虎政が、周囲に、
「止めを刺せぇいッ!!」
と号令を下す。
その一声に反応した味方の兵が、
「うおおおお――ッ!!!!」
と、殺到し、パニックに陥った敵軍が逃げ出したのであった…。
その夜は、野営地にて、祝勝会となった。
至る所で、それぞれの班が、焚火を囲んで、飲食や会話に花を咲かせている。
なかには、浮かれて踊っている面子もいるようだ。
「いやぁ~ッ、しっかし、あそこで紫蓮が雷撃を飛ばすとは、思いもよらんかった。」
と口を開いたのは、彼らの班長である“保次”だった。
リスの半獣である“ラル”が、
「確かにねぇ~、ビックリだったよ。」
と、続き、褐色肌で【戦士】の“ヴォニー”が、
「いずれにしても、大したもんだよ。」
「誰かさんと違ってな。」
と犬の半獣で【クレリック】の“バンヌ”に視線を送ったところ、
「しょうがないだろ。」
「僕はヒーラーなんだから、負傷者がいない限り出番はないのッ!」
と、ふてくされたので、〝ドッ!〟と笑いが生じたのである。
両脇を、スライムの来夢とゴブリンの権蔵に挟まれている紫蓮が、
「しかし、アイツら、“神”の割には、そんなに強くなかったような…。」
と疑問を呈したところに、背後から、
「なかでも下級の者たちだったんでしょ。きっと。」
との声が聞こえてきた。
これに一早く、バンヌが、
「おお! 千代さぁーんッ!!」
と、目を輝かせて立ち上がろうとするも、隣に座っているヴォニ―によって、
「失礼だろ!」
と左腹部に、右のグーパンチを、
ドスンッ!
と、くらわせられてしまった。
「ぐおッ!!」
と蹲る彼を他所に、千代/金時/フーリィ/セルグが、輪に入ってきたのである。
「“下級”って?」
と、尋ねる紫蓮に、狼の獣人である【武闘家】のフーリィが、
「ああ、そのままの意味さ。」
「つまり、今回の連中より強い神々は自国に控えていて、下っ端を送ってきたという訳だ。」
と説明した。
「成程…。」
と、納得しつつも、気になったのだろう、紫蓮が、
「その、高みの見物を決め込んでいる奴らは、どれくらいの力を持っているんだ?」
と質問する。
これに、金時が、
「さぁ、僕たちには分からないよ。」
「かつて上位の神々と戦った事のある清虎様たちは知っているんだろうけど…。」
と、返したのである。
「ま、なんにせよ、お前は活躍したんだから、難しいこと考えずに勝利の美酒を味わえよ。今は。」
と勧める【騎士】のセルグだった―。
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