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― 第一章・旅立ち ―
第16話 反撃
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再び、蝙蝠人間が地上1Mくらいの所まで降りてきたところで、紫蓮が、来夢に命じる。
〝キュルルンッ!〟と直径40㎝の球体に変化した水色のスライムが、〝ビュンッ ビュンッ〟と弾みながら、ワーバットに向かっていく。
ソイツに接近した来夢が、大風呂敷のように〝ブワッ!〟と広がって、捕獲しようとしたが、こちらから見て左方向へとかわされた。
ラーザが、
「いや、逃げんのかよッ!」
と、ツッコミを入れたところ、【魔法使い】のイザッドが、
「おそらく、危険を察知したのじゃろう。」
「本能的に…。」
との見解を示した。
忍者の秀嗣が、
「ならば。」
と、[煙玉]を人型蝙蝠の右鎖骨に投げつける。
〝ボワッ!〟と灰色の煙が噴出されて、視界が悪くなったところを、来夢が狙うも、〝ヒラリ〟と避けられてしまう。
ラーザが、
「うぅ~ッ。なんだよアイツ!」
「通常攻撃に対しては微動だにしないくせに!」
と悔しがる。
だが、次の瞬間には、〝ハッ!〟として、
「そうだよ。通常攻撃だよ。フフフフッ。」
と、不敵な笑みを浮かべた。
【巫女】の薫が心配そうに、
「ラーザ…」
と声を掛けようとするも、ほぼ同時に、
「紫蓮! ボクが、あの蝙蝠の注意を引くから、せめて、顔にだけでも、“らいむん”を貼り付かせてくれ!」
と、指示を出す。
その場に居た全員が、
(らいむんって、何だよ。)
と思ったが、面倒くさいので、取り敢えず聞き流しておいた。
一方、アメーバのようなフォルムに戻っている来夢と、蝙蝠人間は、2Mぐらいの距離で、互いに様子を窺っているようだ。
そんな状況下で、ラーザによって、左から右へと薙ぎ払われた剣から、[炎の刃]が飛んでいく。
幅20㎝×横2M×厚み5㎝の炎が、ワーバットの右側面に直撃し、〝ボオオォォッ!〟と燃え上がった。
人型蝙蝠が少なからず怯むのを見逃さなかった紫蓮が、
「今だ! 来夢!!」
と、促す。
その合図で、スライムが、相手の左側頭部から顔面へ、〝グルンッ!〟と巻き付いた。
苦しそうに口を開いた蝙蝠人間が、もがきながら、両手で来夢を剥がそうとするも、如何せん半液体状なだけに、掴めずにいる。
そこへ、ラーザの、
「皆、準備はいいかい?」
「いくよッ?!」
「総攻撃ッ、始めぇえッ!!」
との号令が下った。
スキルや魔法と矢によって、
ズバァンッ!
ドゴォンッ!
とダメージをくらい続けたワーバットの、右腕と左脚が千切れ、右腹部が刳られた。
[兎の半獣]であるラットが、
「これで名誉挽回させてもらうよぉッ!」
と、両の掌から、幅10㎝×長さ2.5Mの[水の槍]を放つ。
ビュォォォォ―ッ!
と空を裂いた、その1本の槍が、人型蝙蝠の首あたりを、
ズブシュウゥッ!!
と、貫き、後方の岩壁を、一部だけ、
ドガァアンッ!!
と砕いたのである。
これが致命傷となった敵は消滅し、幅15㎝×長さ35㎝ほどの[魔鉱石]が、地面に〝ドスンッ!〟と落下したのだった―。
〝キュルルンッ!〟と直径40㎝の球体に変化した水色のスライムが、〝ビュンッ ビュンッ〟と弾みながら、ワーバットに向かっていく。
ソイツに接近した来夢が、大風呂敷のように〝ブワッ!〟と広がって、捕獲しようとしたが、こちらから見て左方向へとかわされた。
ラーザが、
「いや、逃げんのかよッ!」
と、ツッコミを入れたところ、【魔法使い】のイザッドが、
「おそらく、危険を察知したのじゃろう。」
「本能的に…。」
との見解を示した。
忍者の秀嗣が、
「ならば。」
と、[煙玉]を人型蝙蝠の右鎖骨に投げつける。
〝ボワッ!〟と灰色の煙が噴出されて、視界が悪くなったところを、来夢が狙うも、〝ヒラリ〟と避けられてしまう。
ラーザが、
「うぅ~ッ。なんだよアイツ!」
「通常攻撃に対しては微動だにしないくせに!」
と悔しがる。
だが、次の瞬間には、〝ハッ!〟として、
「そうだよ。通常攻撃だよ。フフフフッ。」
と、不敵な笑みを浮かべた。
【巫女】の薫が心配そうに、
「ラーザ…」
と声を掛けようとするも、ほぼ同時に、
「紫蓮! ボクが、あの蝙蝠の注意を引くから、せめて、顔にだけでも、“らいむん”を貼り付かせてくれ!」
と、指示を出す。
その場に居た全員が、
(らいむんって、何だよ。)
と思ったが、面倒くさいので、取り敢えず聞き流しておいた。
一方、アメーバのようなフォルムに戻っている来夢と、蝙蝠人間は、2Mぐらいの距離で、互いに様子を窺っているようだ。
そんな状況下で、ラーザによって、左から右へと薙ぎ払われた剣から、[炎の刃]が飛んでいく。
幅20㎝×横2M×厚み5㎝の炎が、ワーバットの右側面に直撃し、〝ボオオォォッ!〟と燃え上がった。
人型蝙蝠が少なからず怯むのを見逃さなかった紫蓮が、
「今だ! 来夢!!」
と、促す。
その合図で、スライムが、相手の左側頭部から顔面へ、〝グルンッ!〟と巻き付いた。
苦しそうに口を開いた蝙蝠人間が、もがきながら、両手で来夢を剥がそうとするも、如何せん半液体状なだけに、掴めずにいる。
そこへ、ラーザの、
「皆、準備はいいかい?」
「いくよッ?!」
「総攻撃ッ、始めぇえッ!!」
との号令が下った。
スキルや魔法と矢によって、
ズバァンッ!
ドゴォンッ!
とダメージをくらい続けたワーバットの、右腕と左脚が千切れ、右腹部が刳られた。
[兎の半獣]であるラットが、
「これで名誉挽回させてもらうよぉッ!」
と、両の掌から、幅10㎝×長さ2.5Mの[水の槍]を放つ。
ビュォォォォ―ッ!
と空を裂いた、その1本の槍が、人型蝙蝠の首あたりを、
ズブシュウゥッ!!
と、貫き、後方の岩壁を、一部だけ、
ドガァアンッ!!
と砕いたのである。
これが致命傷となった敵は消滅し、幅15㎝×長さ35㎝ほどの[魔鉱石]が、地面に〝ドスンッ!〟と落下したのだった―。
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