13 / 294
― 第一章・旅立ち ―
第13話 元金山
しおりを挟む
[鮮紅の豹一団]によって、見張り達が敗れ去った。
団長であるラーザが、
「よし! このまま一気に行こう!」
と、揚々とする。
それに対して、副団長の弥太郎が、
「ここまでは上出来だったが、ここら先は分からん。」
「洞窟内は不明だしな。」
と引き締めたのである。
秀嗣が、
「ならば、俺とウィヴが先頭に立とう。」
と、提案し、皆が同意した。
内部の道幅は、5人程が横に並べるくらいの広さだ。
しかし、そのパーティーは、2列になって進んでいる。
隙間ない状況で襲撃されてしまったら、対応できないからだ。
確かに、一番前には【忍者】と【盗賊】がいた。
トラップを警戒して。
二番目以降に、メンバーの中でも強い方のサーヴァントが続き、真ん中あたりに【武闘家】と【剣士】が見受けられる。
弥太郎も、そのあたりに居た。
背面から急襲されるのを懸念して、ラーザとバウンが最後尾を固める。
[兎の半獣]であるラットが、
「それにしても静かだねぇ~。」
「私の耳でも、この洞窟に何かしらが生息しているかどうか捉えきれないぐらいだよ。」
と述べる。
「ふむ…。じゃが、まぁ、油断せぬことじゃな。」
と、年長者たるイザッドが意見した。
緩やかな坂を登っていくこと、およそ30分。
直径20Mほどの、いびつな円形状の広場に出た。
両端には2つずつテーブルが置いてあり、幾つかの丸椅子が乱雑している。
おそらく、かつての作業員たちにとっての、小休憩の場所だったのであろう。
正面には、道が二つある。
弥太郎が、
「どうする? ラーザ。」
と声を掛けてきたので、
「二手に分かれるしかないみたいだね。」
と、答えた。
主だった者たちの話し合いによって、ラーザ率いる[A班]が右側の道に、弥太郎の[B班]が左に。と決まったようだ。
ちなみに紫蓮は、A班である。
それから10分――。
B班が、今度は直径40M前後の開けた場に到着したようだ。
そこには、10体のジャイアントアントに、5体のホブゴブリンと、1体のゴブリーナの、姿があった。
「さっきまでとは打って変わって、なかなか強そうじゃないか。」
と口を開いたのは、ウィヴだ。
ラットが、
「どうやら、あのゴブリーナがボスみたいだね。」
と、察知する。
「敵も、やる気満々のようじゃのぉ。」
とイザッドが認識した。
弥太郎が、静かに、
「上等だ。」
と、刀の柄を掴んだ。
杖の先に直径1Mの魔法陣を出現させたイザッドが、[氷撃]を乱射した。
魔法陣と同じ幅で、長さは1Mあり、楕円形が全体的に角ばった感じだ。
ドンッ!ズバンッ!
と次から次に、ジャイアントアントが、これをくらう。
全身を覆っている硬めの甲殻に罅が入り、B班のサーヴァント達が、そこを狙った。
ラットに、ウィヴなどは、ホブゴブリンどもの攻めを躱している。
十中八九、殺した人族や獣人族に妖精族から奪ったのだろう。
連中は、[騎士系]と[戦士系]の、銅製の武器と防具を装備していた。
薙ぎ払われる大剣や斧を搔い潜っては、[水のスキル]や、アサシンダガ―等で、ダメージを与えていく。
離れた位置から【弓使い】が援護射撃しているのも、功を奏しているようだ。
弥太郎は、リーダー各と思しきゴブリーナと、一騎討ちになっていた。
こちらも、元々は人間などの装備品だったのであろう[鉄の爪]で、刺そうとしたり引っかこうとしてくる。
それを、弥太郎が、
ガキィンッ!ガシャンッ!
と、受け止めては、上下左右に刀を振るう。
時折、[風撃]も織り交ぜるが、どれもこれもギリで避けられた。
5分は経っただろうか?
互角の弥太郎とゴブリーナが、肩で息しながら睨み合っている。
(一進一退になるとはな…。)
(こいつ、やりやがる。)
〝ギリッ!〟と歯軋りした弥太郎に、ゴブリーナが飛び掛かってくる。
が。
右側面から、
ズバァアンッ!
と[雷撃]が直撃した。
弥太郎が、その方向に視線を送ったところ、
「余計なお世話じゃったかのう?」
と、イザッドが、いささか申し訳なさそうにする。
「いや、助かった。」
と軽く会釈した弥太郎が、その場に崩れ落ちて痙攣しているゴブリーナの首筋を、刀で突いた。
弥太郎が自身のパネル画面を操作して、魔鉱石を収集していたら、ラットが、
「んん~、ここって本当に“ボスの間”だったのかなぁ?」
と疑問を呈し、
「いや、確かに、強かったんだけど…。なにせ、弥太郎と五分五分だったからね。」
「でも、何となく物足りないっていうか、さ。」
と、言葉を続けたら、ウィヴが、
「うむ。ラーザたちの方に強敵がいる可能性は否めないな。」
と肯定した。
何やら不安に駆り立てられたB班が、もう一本の道を走り、A班たちの所に辿り着く。
そこで見た光景は、誰もが膝を屈していたり横倒れになっている様だった。
ラーザも、紫蓮も、例外なく―。
団長であるラーザが、
「よし! このまま一気に行こう!」
と、揚々とする。
それに対して、副団長の弥太郎が、
「ここまでは上出来だったが、ここら先は分からん。」
「洞窟内は不明だしな。」
と引き締めたのである。
秀嗣が、
「ならば、俺とウィヴが先頭に立とう。」
と、提案し、皆が同意した。
内部の道幅は、5人程が横に並べるくらいの広さだ。
しかし、そのパーティーは、2列になって進んでいる。
隙間ない状況で襲撃されてしまったら、対応できないからだ。
確かに、一番前には【忍者】と【盗賊】がいた。
トラップを警戒して。
二番目以降に、メンバーの中でも強い方のサーヴァントが続き、真ん中あたりに【武闘家】と【剣士】が見受けられる。
弥太郎も、そのあたりに居た。
背面から急襲されるのを懸念して、ラーザとバウンが最後尾を固める。
[兎の半獣]であるラットが、
「それにしても静かだねぇ~。」
「私の耳でも、この洞窟に何かしらが生息しているかどうか捉えきれないぐらいだよ。」
と述べる。
「ふむ…。じゃが、まぁ、油断せぬことじゃな。」
と、年長者たるイザッドが意見した。
緩やかな坂を登っていくこと、およそ30分。
直径20Mほどの、いびつな円形状の広場に出た。
両端には2つずつテーブルが置いてあり、幾つかの丸椅子が乱雑している。
おそらく、かつての作業員たちにとっての、小休憩の場所だったのであろう。
正面には、道が二つある。
弥太郎が、
「どうする? ラーザ。」
と声を掛けてきたので、
「二手に分かれるしかないみたいだね。」
と、答えた。
主だった者たちの話し合いによって、ラーザ率いる[A班]が右側の道に、弥太郎の[B班]が左に。と決まったようだ。
ちなみに紫蓮は、A班である。
それから10分――。
B班が、今度は直径40M前後の開けた場に到着したようだ。
そこには、10体のジャイアントアントに、5体のホブゴブリンと、1体のゴブリーナの、姿があった。
「さっきまでとは打って変わって、なかなか強そうじゃないか。」
と口を開いたのは、ウィヴだ。
ラットが、
「どうやら、あのゴブリーナがボスみたいだね。」
と、察知する。
「敵も、やる気満々のようじゃのぉ。」
とイザッドが認識した。
弥太郎が、静かに、
「上等だ。」
と、刀の柄を掴んだ。
杖の先に直径1Mの魔法陣を出現させたイザッドが、[氷撃]を乱射した。
魔法陣と同じ幅で、長さは1Mあり、楕円形が全体的に角ばった感じだ。
ドンッ!ズバンッ!
と次から次に、ジャイアントアントが、これをくらう。
全身を覆っている硬めの甲殻に罅が入り、B班のサーヴァント達が、そこを狙った。
ラットに、ウィヴなどは、ホブゴブリンどもの攻めを躱している。
十中八九、殺した人族や獣人族に妖精族から奪ったのだろう。
連中は、[騎士系]と[戦士系]の、銅製の武器と防具を装備していた。
薙ぎ払われる大剣や斧を搔い潜っては、[水のスキル]や、アサシンダガ―等で、ダメージを与えていく。
離れた位置から【弓使い】が援護射撃しているのも、功を奏しているようだ。
弥太郎は、リーダー各と思しきゴブリーナと、一騎討ちになっていた。
こちらも、元々は人間などの装備品だったのであろう[鉄の爪]で、刺そうとしたり引っかこうとしてくる。
それを、弥太郎が、
ガキィンッ!ガシャンッ!
と、受け止めては、上下左右に刀を振るう。
時折、[風撃]も織り交ぜるが、どれもこれもギリで避けられた。
5分は経っただろうか?
互角の弥太郎とゴブリーナが、肩で息しながら睨み合っている。
(一進一退になるとはな…。)
(こいつ、やりやがる。)
〝ギリッ!〟と歯軋りした弥太郎に、ゴブリーナが飛び掛かってくる。
が。
右側面から、
ズバァアンッ!
と[雷撃]が直撃した。
弥太郎が、その方向に視線を送ったところ、
「余計なお世話じゃったかのう?」
と、イザッドが、いささか申し訳なさそうにする。
「いや、助かった。」
と軽く会釈した弥太郎が、その場に崩れ落ちて痙攣しているゴブリーナの首筋を、刀で突いた。
弥太郎が自身のパネル画面を操作して、魔鉱石を収集していたら、ラットが、
「んん~、ここって本当に“ボスの間”だったのかなぁ?」
と疑問を呈し、
「いや、確かに、強かったんだけど…。なにせ、弥太郎と五分五分だったからね。」
「でも、何となく物足りないっていうか、さ。」
と、言葉を続けたら、ウィヴが、
「うむ。ラーザたちの方に強敵がいる可能性は否めないな。」
と肯定した。
何やら不安に駆り立てられたB班が、もう一本の道を走り、A班たちの所に辿り着く。
そこで見た光景は、誰もが膝を屈していたり横倒れになっている様だった。
ラーザも、紫蓮も、例外なく―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる