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58.からくり
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倉庫の内外を問わず、[H.H.S.O]に緊張が走るなかで、
「さて…。」
「殺し合おうか。」
口を開いた“三上・ディン・煌士”を、
「待ってください。」
「まだ確認していない事があります。」
沖奈朔任隊長が窺う。
「ん?」
「なんだ??」
三上が軽く眉をひそめたところで、
「〝他人に姿を変えられる能力者〟がいますよね?」
そのように沖奈が尋ねた。
「あぁー。」
沖奈が言わんとしていることを察したらしい三上が、右斜め後ろを振り返って、
「お披露目してやれ。」
こう促したのである。
〝こくっ〟と頷き、前に進み出たのは、身長155㎝ぐらいの女性だ。
セミロングパーマの髪を、ライトブラウンに染めている。
そのレディーススーツ姿の女は、
「発動。」
ノーリアクションで唱えるなり、ある“小太りの中年男性”になった。
「!」
「“妖魔対策課の担当責任者”か。」
「国会議員の。」
ふと気づいた総監に、
「ご名答です。」
〝ニヤリ〟とした三上が、
「本物は既に死んでいます。」
「我々の手によってね。」
「そして、彼女にすり替わってもらい、こちらにとって不都合な事はもみ消したり許可を下ろさないようにしてきたのですよ。」
このように述べたのである。
女性が元に戻るなか、
「〝一度でも見た対象の容姿をコピーできる〟といったスキルでね……。」
「人間だけでなく動物にも変身できる。」
そう伝える三上だった。
「いつ、何処で、僕を目撃したのです??」
沖奈が疑問を投げかけたことによって、
「岩田とかいう刑事に成り済ましていたとき…。」
「警察署で。」
女は無表情のまま白状したのである。
「……、あの時、架浦さんを取り調べていましたね?」
「お蔭で、彼は、難を逃れたという訳ですか。」
「“仲間同士”だったから…。」
「それと。」
「おそらくですが、あなた方は反社に危険ドラッグを製造販売させて、自分達の運営資金を得ていたのでしょう。」
いろいろ推理した沖奈に、
「ああ、間違いない。」
「ま、それ以外にも“カラス”や“ネズミ”などになって、お前たちを監視してもらっていたがな。」
「しかし、普段は〝さっきの政治家〟として活動しているため、第十三番隊に付きっきりという訳にはいかなかった。」
「そうしている間に、架浦達が捕まってしまったのは、痛いとこだ。」
このように知らせた三上が、
「アイツらに教えてもらったのか??」
「我々の居場所を。」
逆に訊ねたのであった。
「〝ヒントだけは〟ですよ。」
「そこから先は、東京組の二番隊に属している“千里眼の能力者”が探してくれました。」
そう沖奈が喋ったら、
「何?」
「そんな“スキル持ち”が存在しているなど、聞いたことがないが??」
三上が首を傾げる。
「能力を2つ備えておるからな。」
「千里眼のほうは基本的に隠しておいたのだ。」
総監が告げたところ、
「成程。」
「私のようにですか。」
不敵な笑みを浮かべる三上だった。
総監や副総監に第十三番隊が〝なッ?!!〟と驚いたタイミングで、左の掌を突き出した三上が、
「発動!」
数本の【雷】を飛ばす。
これらに当たってしまった隈本一帆たちは感電してしまい、膝を屈する。
いささか痺れている状況で、
「“重力系”のみではなかったのか。」
総監が〝ぐぬぅ~ッ〟と眉間にシワを寄せた。
「あー、こっちがお望みでしたか??」
惚けた顔つきの三上が、今度は、右の掌を下向きにして、
「発動。」
愉快そうにスキルを扱う。
それによって、真上から〝ズゥンッ!!〟と圧迫された一帆達が、うつ伏せで倒れる。
どれくらいの力が掛かっているのかは不明だが、骨が〝ミシミシ〟と音を立てた彼女らは、
「がはッ!」
吐血したのであった。
ただし、タイムリミットは5秒らしく、すぐに解放された一帆たちである。
ふらつきながらも全員が立ち上がっていくなかで、
「よく今まで雷撃を秘匿しておいたな。」
総監が忌々しそうにした。
「……、まぁ、実際は何度か使った事もありますが。」
〝フッ〟と口元を緩めた三上に、
「そのうちの1つは“先代の十三番隊”の拠点に乗り込んだときですね?」
「付近の防犯カメラをショートさせるため、周辺地域を“雷の能力”で停電させたのでしょう。」
沖奈が話しかける。
「かつて架浦から報らされてはいたが…。」
「確かに頭が切れるみたいだな。」
割と感心した様子の三上は、
「お前の考えどおりだ。」
こう認めながらニヤつくのだった。
▼
その頃、世界規模で[大中小の歪]が際限なく出現する。
これらから続々と登場するは、いろんな妖魔だ。
雨が降り注ぐ埠頭には“磯女/一目入道/海犬/和尚魚河童/蟹坊主/蝦蟇/衣蛸/水虎/化鯨”が出て来た。
しかも、数えきれないほどに。
未曾有の危機に誰もが浮き足立っている。
[現・関東司令官]が両手を叩きつつ、
「発動!!」
スキルを用いた。
それによって、眼前の妖魔どの動きが鈍くなる。
更に、彼は、右回りで同じアクションを起こしていった流れで、宙に向けても行なう。
こうして、魑魅魍魎のスピードを半減させたのであった。
ちなみに、本人が敵と見なした者らにしか効かない能力らしい。
そんな関東司令官が、
「このスキルの制限時間は1分です!」
「落ち着いて妖魔に対処してください!!」
周りに声をかける。
結果、冷静になっていく[H.H.S.O]だった―。
「さて…。」
「殺し合おうか。」
口を開いた“三上・ディン・煌士”を、
「待ってください。」
「まだ確認していない事があります。」
沖奈朔任隊長が窺う。
「ん?」
「なんだ??」
三上が軽く眉をひそめたところで、
「〝他人に姿を変えられる能力者〟がいますよね?」
そのように沖奈が尋ねた。
「あぁー。」
沖奈が言わんとしていることを察したらしい三上が、右斜め後ろを振り返って、
「お披露目してやれ。」
こう促したのである。
〝こくっ〟と頷き、前に進み出たのは、身長155㎝ぐらいの女性だ。
セミロングパーマの髪を、ライトブラウンに染めている。
そのレディーススーツ姿の女は、
「発動。」
ノーリアクションで唱えるなり、ある“小太りの中年男性”になった。
「!」
「“妖魔対策課の担当責任者”か。」
「国会議員の。」
ふと気づいた総監に、
「ご名答です。」
〝ニヤリ〟とした三上が、
「本物は既に死んでいます。」
「我々の手によってね。」
「そして、彼女にすり替わってもらい、こちらにとって不都合な事はもみ消したり許可を下ろさないようにしてきたのですよ。」
このように述べたのである。
女性が元に戻るなか、
「〝一度でも見た対象の容姿をコピーできる〟といったスキルでね……。」
「人間だけでなく動物にも変身できる。」
そう伝える三上だった。
「いつ、何処で、僕を目撃したのです??」
沖奈が疑問を投げかけたことによって、
「岩田とかいう刑事に成り済ましていたとき…。」
「警察署で。」
女は無表情のまま白状したのである。
「……、あの時、架浦さんを取り調べていましたね?」
「お蔭で、彼は、難を逃れたという訳ですか。」
「“仲間同士”だったから…。」
「それと。」
「おそらくですが、あなた方は反社に危険ドラッグを製造販売させて、自分達の運営資金を得ていたのでしょう。」
いろいろ推理した沖奈に、
「ああ、間違いない。」
「ま、それ以外にも“カラス”や“ネズミ”などになって、お前たちを監視してもらっていたがな。」
「しかし、普段は〝さっきの政治家〟として活動しているため、第十三番隊に付きっきりという訳にはいかなかった。」
「そうしている間に、架浦達が捕まってしまったのは、痛いとこだ。」
このように知らせた三上が、
「アイツらに教えてもらったのか??」
「我々の居場所を。」
逆に訊ねたのであった。
「〝ヒントだけは〟ですよ。」
「そこから先は、東京組の二番隊に属している“千里眼の能力者”が探してくれました。」
そう沖奈が喋ったら、
「何?」
「そんな“スキル持ち”が存在しているなど、聞いたことがないが??」
三上が首を傾げる。
「能力を2つ備えておるからな。」
「千里眼のほうは基本的に隠しておいたのだ。」
総監が告げたところ、
「成程。」
「私のようにですか。」
不敵な笑みを浮かべる三上だった。
総監や副総監に第十三番隊が〝なッ?!!〟と驚いたタイミングで、左の掌を突き出した三上が、
「発動!」
数本の【雷】を飛ばす。
これらに当たってしまった隈本一帆たちは感電してしまい、膝を屈する。
いささか痺れている状況で、
「“重力系”のみではなかったのか。」
総監が〝ぐぬぅ~ッ〟と眉間にシワを寄せた。
「あー、こっちがお望みでしたか??」
惚けた顔つきの三上が、今度は、右の掌を下向きにして、
「発動。」
愉快そうにスキルを扱う。
それによって、真上から〝ズゥンッ!!〟と圧迫された一帆達が、うつ伏せで倒れる。
どれくらいの力が掛かっているのかは不明だが、骨が〝ミシミシ〟と音を立てた彼女らは、
「がはッ!」
吐血したのであった。
ただし、タイムリミットは5秒らしく、すぐに解放された一帆たちである。
ふらつきながらも全員が立ち上がっていくなかで、
「よく今まで雷撃を秘匿しておいたな。」
総監が忌々しそうにした。
「……、まぁ、実際は何度か使った事もありますが。」
〝フッ〟と口元を緩めた三上に、
「そのうちの1つは“先代の十三番隊”の拠点に乗り込んだときですね?」
「付近の防犯カメラをショートさせるため、周辺地域を“雷の能力”で停電させたのでしょう。」
沖奈が話しかける。
「かつて架浦から報らされてはいたが…。」
「確かに頭が切れるみたいだな。」
割と感心した様子の三上は、
「お前の考えどおりだ。」
こう認めながらニヤつくのだった。
▼
その頃、世界規模で[大中小の歪]が際限なく出現する。
これらから続々と登場するは、いろんな妖魔だ。
雨が降り注ぐ埠頭には“磯女/一目入道/海犬/和尚魚河童/蟹坊主/蝦蟇/衣蛸/水虎/化鯨”が出て来た。
しかも、数えきれないほどに。
未曾有の危機に誰もが浮き足立っている。
[現・関東司令官]が両手を叩きつつ、
「発動!!」
スキルを用いた。
それによって、眼前の妖魔どの動きが鈍くなる。
更に、彼は、右回りで同じアクションを起こしていった流れで、宙に向けても行なう。
こうして、魑魅魍魎のスピードを半減させたのであった。
ちなみに、本人が敵と見なした者らにしか効かない能力らしい。
そんな関東司令官が、
「このスキルの制限時間は1分です!」
「落ち着いて妖魔に対処してください!!」
周りに声をかける。
結果、冷静になっていく[H.H.S.O]だった―。
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