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19.打破
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全ての[輪入道]が動きを止めた。
それは、架浦聖徒の能力によるものであった。
屈伸するかのようなポーズで〝ゼェハァ ゼェハァ〟と息を切らす架浦の右隣で、
「うおりゃあぁ―ッ!!」
緋島早梨衣が機関銃から〝ダダダダダダダダッ!!!!〟と弾丸を放ちまくる。
「架浦さん! 緋島さん!」
沖奈朔任隊長が嬉しそうにしたタイミングで、鐶倖々徠副隊長の【バリア】が効力を失った。
「発動!!」
両の拳を〝ゴンッ!〟と合わせた隈本一帆が、ダッシュするなり、攻撃を再開したのである。
沖奈と鐶に筺健は、ピストルで一帆を援護していく。
この間に、妖魔の半数くらいが“回れ右”して、鼻息を〝ふぅ――――んッ!!〟と噴射した。
「おい!」
「へばってる場合じゃねぇぞ!!」
「早くスキルを使えって!」
緋島に急かされた架浦が、〝うぷッ〟と気持ち悪そうにしながらも、
「発動。」
改めて〝パチィン!!〟と手を叩き、敵どもをストップさせる。
そこへ、周囲の避難誘導を終えたらしい[アンドロイド警察]の4体が、南西より走ってきて、戦闘に参加したのだった。
30秒のタイムリミットを迎え、緋島の機関銃が消えたのである。
右足で〝ドンッ!〟と道路を踏んだ緋島が、自身の眼前に[和風の槍]を出現させた。
彼女の能力には〝同系統の武器は一日一回のみ〟との制限があるため、今日はもうマシンガン類を登場させることが出来ない。
緋島は、手にした槍で、輪入道の額を突いていく…。
暫く経ち、妖魔の100体ぐらいが灰と化していた。
鐶のバリア内で、一帆が呼吸を整えている。
他の三人は、ピストルの弾倉を新しい物に変えていく。
「もう予備がありません。」
副隊長の報告に、
「僕もですよ。」
「使い切ったあとは、“スタンガン式の警棒”で戦いましょう。」
隊長が述べ、
「了解です。」
筺が頷いた。
「隈本さん、一撃で仕留められそうにないときは、仰向けに倒してください。」
「取り敢えず起き上がれないようにしておいて、後ほど止めを刺していきましょう。」
沖奈の指示に、
「承りました。」
一帆が応える。
ちなみに、敵の【火炎】によって、ロボット達の二体が黒焦げとなっていた。
更には、所々、溶けてしまっているようで、もはや、機能を停止している。
残りのアンドロイドも部分的には焦げているが、まだ大丈夫そうだ。
かくして、勝利を掴むために連携していく人間&ロボットであった。
▼
あれから、架浦は15回以上スキルを扱ったみたいだ。
緋島はというと、武器が[ピストルグレネードランチャー]からの[サーベル]になっていた。
仰向けになっている輪入道の額に、男性警察官が拳銃を発砲する。
妖魔が消滅するのを見届けた警察が、
「終わりました。」
沖奈に伝えた。
少し離れた位置では、
「こちらもです。」
別の警官が述べたのである。
現場には、男女問わず、制服姿の警察が10人くらい見受けられた。
敵の殆どが灰となった後に、一帆が転がしておいた約30数を、近くに待機していた警察官らに沖奈が頼んで始末してもらったのである。
「皆さん、ご苦労さまです。」
沖奈が会釈したところで、
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
“機械的な女性の声”によるアナウンスが流れていく。
胡坐ずわりして、両手を後ろに着き、空を見上げた架浦が、
「はぁ――ッ。」
「オーバーヒートになる前に済んで、良かったぁ。」
と、安堵した。
架浦と緋島の側に、一帆たちが歩いて来る。
沖奈隊長が、
「お陰で助かりましたよ。」
「一時はどうなる事かと焦っていましたからね。」
「お二人とも、ありがとうございます。」
お礼を告げた。
「いや、ここに駆け付けたら4人が居たので、少し驚いたっスよ。」
「俟團組の件は片付いたんすか?」
「だとしたら割と早かったスね。」
緋島の意見に、
「いいえ、実は……。」
沖奈が経緯を語っていく。
「マジっすか??」
「…、連中は、どこに逃げたんスかね?」
〝ふぅ~む〟と緋島が首を捻る。
「さぁ??」
「僕らには全くもって分かりません。」
「ちなみにですが、架浦さんは何か知りませんか?」
沖奈に尋ねられ、
「え?!」
「なんでオレに聞くわけ??」
架浦が眉をひそめた。
「いえ、深い意味はありませんが……、飲み屋さんで反社の情報を得ていらっしゃったみたいですから。」
沖奈の説明に、
「あー、成程。」
納得した架浦が、
「ただ、残念ながら、そこまでは入手してねぇな。」
「もしかしたら、大将が喋ってたかもしれないけど…、何度も言うように、酔っ払ってたからイマイチよく覚えてねぇや。」
こう返したのである。
「ふんッ。」
「役立たずめ。」
緋島の冷たい視線を受け、
「悪かったな!!」
架浦がムキになった。
それを放置しつつ、鐶副隊長が、
「あくまで仮定の話しですが……。」
「別のアジトを所有しているか、もしくは、トップに君臨しているとかいう“漠皁組”に匿ってもらっているかもしれませんね。」
「…、他の可能性もあるでしょうけど。」
このように推測したのである。
「ま、どれにしたって、我々は、警察の調査結果を待つしかないんじゃないですか?」
筺の指摘に、
「そうですね……。」
理解を示した沖奈が、
「では、僕らは職務に戻るとしましょう。」
笑顔で隊員を促す。
それに対して、疲労困憊の架浦は、またも〝ガッカリ〟したのだった―。
それは、架浦聖徒の能力によるものであった。
屈伸するかのようなポーズで〝ゼェハァ ゼェハァ〟と息を切らす架浦の右隣で、
「うおりゃあぁ―ッ!!」
緋島早梨衣が機関銃から〝ダダダダダダダダッ!!!!〟と弾丸を放ちまくる。
「架浦さん! 緋島さん!」
沖奈朔任隊長が嬉しそうにしたタイミングで、鐶倖々徠副隊長の【バリア】が効力を失った。
「発動!!」
両の拳を〝ゴンッ!〟と合わせた隈本一帆が、ダッシュするなり、攻撃を再開したのである。
沖奈と鐶に筺健は、ピストルで一帆を援護していく。
この間に、妖魔の半数くらいが“回れ右”して、鼻息を〝ふぅ――――んッ!!〟と噴射した。
「おい!」
「へばってる場合じゃねぇぞ!!」
「早くスキルを使えって!」
緋島に急かされた架浦が、〝うぷッ〟と気持ち悪そうにしながらも、
「発動。」
改めて〝パチィン!!〟と手を叩き、敵どもをストップさせる。
そこへ、周囲の避難誘導を終えたらしい[アンドロイド警察]の4体が、南西より走ってきて、戦闘に参加したのだった。
30秒のタイムリミットを迎え、緋島の機関銃が消えたのである。
右足で〝ドンッ!〟と道路を踏んだ緋島が、自身の眼前に[和風の槍]を出現させた。
彼女の能力には〝同系統の武器は一日一回のみ〟との制限があるため、今日はもうマシンガン類を登場させることが出来ない。
緋島は、手にした槍で、輪入道の額を突いていく…。
暫く経ち、妖魔の100体ぐらいが灰と化していた。
鐶のバリア内で、一帆が呼吸を整えている。
他の三人は、ピストルの弾倉を新しい物に変えていく。
「もう予備がありません。」
副隊長の報告に、
「僕もですよ。」
「使い切ったあとは、“スタンガン式の警棒”で戦いましょう。」
隊長が述べ、
「了解です。」
筺が頷いた。
「隈本さん、一撃で仕留められそうにないときは、仰向けに倒してください。」
「取り敢えず起き上がれないようにしておいて、後ほど止めを刺していきましょう。」
沖奈の指示に、
「承りました。」
一帆が応える。
ちなみに、敵の【火炎】によって、ロボット達の二体が黒焦げとなっていた。
更には、所々、溶けてしまっているようで、もはや、機能を停止している。
残りのアンドロイドも部分的には焦げているが、まだ大丈夫そうだ。
かくして、勝利を掴むために連携していく人間&ロボットであった。
▼
あれから、架浦は15回以上スキルを扱ったみたいだ。
緋島はというと、武器が[ピストルグレネードランチャー]からの[サーベル]になっていた。
仰向けになっている輪入道の額に、男性警察官が拳銃を発砲する。
妖魔が消滅するのを見届けた警察が、
「終わりました。」
沖奈に伝えた。
少し離れた位置では、
「こちらもです。」
別の警官が述べたのである。
現場には、男女問わず、制服姿の警察が10人くらい見受けられた。
敵の殆どが灰となった後に、一帆が転がしておいた約30数を、近くに待機していた警察官らに沖奈が頼んで始末してもらったのである。
「皆さん、ご苦労さまです。」
沖奈が会釈したところで、
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
“機械的な女性の声”によるアナウンスが流れていく。
胡坐ずわりして、両手を後ろに着き、空を見上げた架浦が、
「はぁ――ッ。」
「オーバーヒートになる前に済んで、良かったぁ。」
と、安堵した。
架浦と緋島の側に、一帆たちが歩いて来る。
沖奈隊長が、
「お陰で助かりましたよ。」
「一時はどうなる事かと焦っていましたからね。」
「お二人とも、ありがとうございます。」
お礼を告げた。
「いや、ここに駆け付けたら4人が居たので、少し驚いたっスよ。」
「俟團組の件は片付いたんすか?」
「だとしたら割と早かったスね。」
緋島の意見に、
「いいえ、実は……。」
沖奈が経緯を語っていく。
「マジっすか??」
「…、連中は、どこに逃げたんスかね?」
〝ふぅ~む〟と緋島が首を捻る。
「さぁ??」
「僕らには全くもって分かりません。」
「ちなみにですが、架浦さんは何か知りませんか?」
沖奈に尋ねられ、
「え?!」
「なんでオレに聞くわけ??」
架浦が眉をひそめた。
「いえ、深い意味はありませんが……、飲み屋さんで反社の情報を得ていらっしゃったみたいですから。」
沖奈の説明に、
「あー、成程。」
納得した架浦が、
「ただ、残念ながら、そこまでは入手してねぇな。」
「もしかしたら、大将が喋ってたかもしれないけど…、何度も言うように、酔っ払ってたからイマイチよく覚えてねぇや。」
こう返したのである。
「ふんッ。」
「役立たずめ。」
緋島の冷たい視線を受け、
「悪かったな!!」
架浦がムキになった。
それを放置しつつ、鐶副隊長が、
「あくまで仮定の話しですが……。」
「別のアジトを所有しているか、もしくは、トップに君臨しているとかいう“漠皁組”に匿ってもらっているかもしれませんね。」
「…、他の可能性もあるでしょうけど。」
このように推測したのである。
「ま、どれにしたって、我々は、警察の調査結果を待つしかないんじゃないですか?」
筺の指摘に、
「そうですね……。」
理解を示した沖奈が、
「では、僕らは職務に戻るとしましょう。」
笑顔で隊員を促す。
それに対して、疲労困憊の架浦は、またも〝ガッカリ〟したのだった―。
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